3/8(金)14時

3/7が初日でして、2公演目を拝見。

カード会社の扱いで(クーポンあり)昨年11月に購入。M列(13列)上手にて。


元々は妹のためにチョイスした作品でしたが、4ヶ月先の予定はわからないとのことで、一人でいくことにチュー彼女の希望にピッタリだったのになー


安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫(あいうえお順)の12人の出演者。

おそらくミュージカルや演劇を10作くらい観れば、全員にお目にかかることができそうな著名な演劇人ぞろい。私も実見していない方もいるものの、名前を知るかたばかり。誰もがセンター付近ながら、誰もわかりやすい主役でない。

12人で約100の役を演ずるというふれこみで、少しばかり怖れながら劇場へ。ややこしいのかなー、わかるかしら…





設営


日生の舞台は宝塚劇場ほど広くない、そこに様々な形の椅子と木々のみのシンプルなセット。木々の後ろに生バンドが見え隠れする。少しずつ出入りはあるものの、ほぼ全ての出演者がいつも舞台上にいる。出演者自身が簡単な変装(帽子やメガネや上着)で、別の人物になり、舞台上の椅子は、航空機内やバス車内や、コミュニティセンターのホールや、カフェの店内と見なされる。高台からの景色を眺める場面では椅子は稜線として、(登っていない)出演者が前へ前へと移動させて、恋人たちが歩く山道を作る。歌ったり喋ったり踊ったりする他に、とにかくやることが多くて目が回る(見ているこっちも。出演者はもっと。控えの役者は動きを覚えるだけでもたいへんそう💧)



 



2001年9月11日、同時多発テロの時にアメリカ領空が閉鎖されたために、着陸できなくなった航空機が向かったカナダのニューファンドランド(島)。38機の航空機と乗客乗員7000人が降りたのは、人口約9000人のガンダーという街。そこで過ごした濃い数日をノンストップ100分で描いた、実話に基づいたミュージカルということで、2013年の発表、日本では今回初演。


911の裏にこんなことがあったんだ!と今更ながら知ってまず驚き。

私としては【911】は、娘が同年8月末の生まれで産院から退院して授乳などでバタバタしていた時期。「エライことがあった」という父の言葉でテレビを見ると、飛行機がビルに突っ込む画像が繰り返し流れていて、思わず「これ映画?」と言ったことを覚えています。

その年生れの娘がこの春社会人となるのですから、時の流れは早い。


演者のみなさんについて

それぞれに実力者、半年ほどの稽古期間があったそうで、どなたのコメントを読んでも「過去一大変な稽古だった」こと、「共演者スタッフとの距離が異様に?近かったこと」が語られています。初顔合わせのカンパニーで、集合と解散を繰り返す演劇界では珍しい密着型だったようですね。稽古期間も長く、公演期間も長い。大千秋楽まで各地をまわって50公演以上、更に絆と連携が深まることと。


まずはとうこさん(安蘭)、実は私初見です。宝塚に行き始めた当時、星組は柚希政権。しかもとうこさんの舞台を映像で初めて見たのが『王家に捧ぐ歌』のアイーダだったし、男役でなく初めから女優として見ていました。コロナの時にインスタライブで拝見すると、世話焼きのゆうさん(真飛)秘書と、なにもかもお任せのとうこ社長のコンビのような面白さで、いつか舞台を見てみたいと思いながら機会がなくて。

主役なのかな?と思うもののキャストの紹介は単にあいうえお順のようでもあり?あまり正面には出てこないけれど、グループの中で生まれた色恋の一方の当事者であり、キス3回も!びっくりニヤリニヤリ

ちえさん(柚希)。宝塚時代はたくさん拝見しましたが、卒業後は未見。『ボディガード』を観ようとチケットを買っていましたが、休演となったといういわくつき。最近の『ルパン』も真風の方しか見ておらず。ようやくの、なんと9年ぶりの実像!なんか声の出し方が全然違ってた。

ゆうみちゃん(咲妃)。あいかわらず華奢で可憐。そして気が強そう。退団後の様子を拝見していると、宝塚時代の天然ドジ娘風お慕い芸は虚像で、実はかなりのシッカリ者という感じがしています。今回は地元のルポライターを主な役どころにした目立つ配役。足踏みや体を叩くボディパーカッションで細い体を大きく使って目を惹かれました。口跡も鮮やか。宝塚時代に日生で『伯爵令嬢』を演ったことを、懐かしく思い出しました。

橋本さん。『ムーランルージュ』でジドラー演ってた方ですね。大きな迫力のある声、カンパニーの中で一番の年長者でしょうか?市長という主な役柄にふさわしくまとめ役として頼りになる存在に見えました。

森公美子さん。一般的には最も著名な方ですかね?彼女の舞台もチケット買ってて休演に合いました。ようやくの実見。思ったより小柄な方で、ちょっと驚き。大きく見えますもんね〜。キャラクターとして目立つので、つい目で追ってしまいます。

田代万里生さんや加藤和樹さん、濱田めぐみさんも、主役級の役者ですし、なんとも贅沢な出演者。

なのにガラコンサートのようにならず、それぞれの役割を心得て、同じゴールを目ざすのがさすがにみごとなものだなーと。

 

ジェットコースター?!

人種も国籍も、性別も年齢も職業も異なる人々が、思いがけなく運命共同体となり、それぞれの事情が交錯し、反発したりいがみ合ったりもありながらも次第に心を通わせていくさまが怒涛のごとく描かれています。私のお隣の方は時間の半分ほど寝ていたようでしたが、わからないでもないなー。

なんと言うか…話に緩急がない、ずーーっと「急」なので、緊張を持続するか、放棄するかの二つに一つ。どこで抜けても、どこから入っても、同じく事件のまっただ中ってことで(笑)


このジェットコースターみたいな作品のなかで、私にとって特に印象深かった驚きがいくつかあったので覚え書き。


①この時期まだほぼ全ての人が手元に端末を持っていたわけではなく、起こっていることの情報を得られずに不安に陥っている状況であったことが改めて。

直近20年の世界の変化は、コロナを経てなんとも急速なことに驚く。自分がこんな流れの早い時代に生きていることにもビックリする。


②【911】では特に、犯人がイスラム教に関係していたために、イスラム教徒というだけで、こんなギリギリの運命共同体の中にあっても、疎外されたり故無き批判をされたりすることがあったこと。人はみんな違う価値観を持っていることを認めるのは、なんと難しいことか…でもそれを乗り越える歩み寄りもできたことにはじんわりする。


③どんな時にも(こんな非常事態にあっても)、飛行機に同乗していた動物を助けようと奮起する人がいること。ペットに縁がないので驚くのみ。ノンレプリカではないとのことなので、アメリカ社会の一面の真実を表しているのだと。


④アメリカ社会の一面といえば、乗客のなかにゲイのカップルがいて、カミングアウトした時に「うちの家族にも」「私の友達にも」と次々と同調する人たちがいたこと。20年前でも、もはや珍しいことでもないのだな。宗教の違いよりもハードルが低そう。





ロビーに時系列表(上)。

公式グッズ(フライトタグ)も買いました。ロゴと色が気に入って照れ


帰宅して今日の芝居について夫に話したら、「そんなことがミュージカルになるんだ!」と。


そうか、そこか…

なんでもミュージカルになり得るのに気づいてまた驚くというのが、今回のオチとなるのかも!?