初見は2/29(金)、一階S席上手通路前にて。

娘と。団体席にお誘いいただきました。


観劇終わってロビーに出てスマホをつけたら

まず月組の新トップ発表と、続いて大谷翔平結婚のニュースに埋め尽くされてしまいました(笑)


そして1日おいて3/2(土)15時半で二回目。

友の会で当選。一階9列とーっても上手、

娘と。



さあ、RRR✕TAKARAZUKA






まずは初見

去年原作を映画館で見ていましたので、正直なところちょっと期待し過ぎてたかな…と。

映画館では3時間、手に汗握る緊張でしたが、さすがに映画ほどの緊迫感はなかったです。


センターの二人は圧倒的に宝塚のほうが麗しいし、大勢口のダンスなどの迫力は負けていませんでしたが、やはりCGを駆使した戦闘シーンや、荒唐無稽な飛び技、野生動物(CG)が暴れまわる場面、血しぶき、汚物まみれの拷問や投獄は再現しようがないし、きれいにまとめられ過ぎると上滑りの感じが否めなくなるのもどうしようもない。なにしろ5割バイオレンスでしたからね。そもそも親和性が高くないはずです。

いやむしろ、あの3時間をよく1時間半にまとめたな~という谷貴矢氏に感心します。ほとんどのエピソードが入っているし、3番手の極美に合わせて別のキャラクターも作り込んでいる。拍手拍手 ジェイク、いい奴に変わってました。


ただ一つだけ違和感があり。

ビームとシータとの出会いはうまくはしょられていたと思うものの、「この手紙を読んで」と言ってビームに渡したのにはちょっと(あれ?)と思いました。

私はこの映画のハイライトは、全てがうまくはこんだあと、ビームとラーマが草原で語り合う場面だと思っていて。「おかげで目的が果たせた。お礼になにかほしいものがあるか?」と聞いたラーマに、「読み書きを(教えてくれ)」とビームが答えるのが、インドの明るい未来を象徴するようで心が震えました。たぶんビームは文盲という設定だったわけなので、手紙を読む場面はちょっと余分だったな~と。原作映画と同じように、シータが手紙の内容を語って聞かせてで良かったんじゃ?

とここまでがあらすじに関するお話。


そして出演者のみなさん。

ヒイキ目全開でいきますよ(笑)

鳳真くんをあちこちで見つけました。英国側の警察通し役でセリフもありましたし。主人公に敵対する立場なのでいやらしさ、憎々しさ的確に表現していましたね〜。別格で評価されてるとは思いますが、歌唱のソロは大劇場ではまだ聞いたことがありませんし、ダンスのピックアップもまだ。スタイルは抜群、露出が増えて自信がついたのか?舞台に立っている時の、そこはかとない焦り感もなくなって、落ち着きが出てきましたよ!次回作にも期待。

輝咲玲央の英国総督は重厚ではまり役。妻の行きすぎた要望に若干困りながらも認めてしまう溺愛と、合わせて官僚の狡猾さというのも目配りのなかに現されていたように思います。う〜む、職人技。

妻の小桜ほのかも傲慢な感じがなんともいやらしくてよかった。かわいいだけでなくこんな役もできる実力発揮でした。


清涼感のあるシータ役は詩ちづるで大正解。映画より出番が少なくて、かなり遅い登場ですが、一瞬で場を浄化した感じ。


なんと言っても稀惺かずとの爆上げが目立ってた!ビームの仲間で、天華えまと天飛華音と三人組の一人。サンコイチよりもう少し個性が際立つ立ち位置で、光ってました。彼女は歌もうまい。ステラボイスを映像で見て、(イケる!)と思いました。背があまり高くないのだけが残念ですが(→お父さんに似れば良かったのに…)、なにしろ創業者に繋がるホンモノの御曹司、顔もきれいだし、実力もあるとなれば盤石。未来の星組を背負って立つはず。


映画ではジェニーとのこれからを想像できなくもないエンディングでしたが、本作ではジェニーはジェイク(極美)と腕を組んで退場。まぁ立場的にそのほうが自然ではありますが、トップコンビなのに結ばれず。ワラワラとバラけて舞台を去るのが、なんだかちょっとだけ素が見え、ほほえましくて新鮮でした。


宝塚アレンジのRRRがわかったところで、一日おいての2回目。初見よりずっーと楽しくのめり込んで見られました。

土曜日だったせいか、男女取り混ぜた30代くらいの団体客に囲まれた格好になり、否応なく彼らの感想が耳に。映画は見たという人が多く、「ちょっとやさしめ」「スピード感や圧が違う」「かなりオブラートに包んだ感じ」「映画のほうが緩急があった」「映画は残酷な描写で目を覆うようだっだので、こっちのほうが良かった」などなど。やはり男性が主役の映画と比べてどうだというのではなく、別物と思って見たほうがいいのだろうなと思って聞いていました。映画から芝居への媒体の転換はうまくいっていたと思いますが、こういう力技が目立つ演目の場合、性差はどうしたって埋め難く、宝塚(女性だけ)で演ったらどうなるか?を楽しむのがキモなんだなーとあらためて。でも幕間ワイワイと感想を言い合いながら、舞台を楽しんでくれたらしい団体さんでした。プログラムで極美慎の名前を見て「すごい名前だね!」と驚いていましたが、これが実は極真空手から付けられた名前だと知ったら、それはそれでギャップに驚くでしょうね〜とムフフニヤリ


一転、ヴィオレトピア




ショー「ヴィオレトピア」はわからない、難しいという呟きを散見しました。評価は真っ二つ。指田珠子さんと言えば作品群は『龍の宮物語』『冬霞の巴里』『渚のストルーエンセ』。独特な世界観で観客を魅了した(または煙に巻いた)若手女性演出家。好き嫌いの分かれるクリエイターだと思います。

私はキライではありません。

指田さんの言わんとすることを全て理解できるとはとても思いませんが、色彩や音楽のチョイスや全体の構成を好意的に受け取りました。


プログラムを購入しませんので、ほんとうに私が感じたことのみになりますが、キャッチできたのは大きく三つ。

おそらくはここが劇場の廃墟(跡地)あるいは、過去の劇場の投影ではないかということ。展開する場面が、(裏方を含む)舞台、サーカス、キャバレーなどショービジネス(娯楽と言ってもいい)を発信する場を表現しているのだろうということ。そして、SHOW MUST GO ONというメッセージ。


荒れ果てた劇場というのはクリエーターの創作意欲をそそるのですかね?彩凪翔退団後の初の舞台『Applause』も閉鎖した劇場が舞台でした。そこに住まう亡霊というか、主(ヌシ)とのやりとりを通して主人公が成長していく物語。見る人になんらかの記憶を掘り起こすというのもまた、指田さんの狙ったことかと感じたので、まんまとはまっていたのかと。

ヴィオレトピアは幻というのに近いのか?と思いますが(なにしろユートピアの「トピア」ですから)、走馬灯のようにめぐる情景が観客をファンタジー(どこにもない)世界にいざなう感じ。人によってはところどころ意味不明だったり、刺さらなかったり、もあるとは思うものの、そもそも全ての表現に正答はないので、「混沌」上等と飲み込んで身を任すのがいいかと。結局好きかきらいかに尽きるのかも。ただつい解説したくなる作品なのもまた、わかる気がします。

見れば見るほど発見がありそうで、奥行きのあるショー。(主にチケット事情で)満足いくほど見られないのが残念です。


ありちゃんの女装。見惚れましたね〜。彼女がテーブルに上がるのに手を貸すのは鳳真くん。テーブル下には、輝咲さんが見上げていてこちらが思わず生唾のみこみます。

中詰めの怒涛の客席降り(しかも時間が長い)は文句なく目の保養。手を出す人もたくさんいて、生徒さんたちもタッチしてくれる。コロナを乗り越えたんだな〜としみじみ思います。

2回目の観劇では鳳真くんがごく近くで踊ってくれていて、花道は上手。フィナーレも上手だったのでテンション上がりました!


そして退団の天華えまさん。上手のせり上がりから銀橋をゆくその曲は、カサブランカの『As Time goes  by』。泣かせる演出です。トレンチコートに中折れ帽。男役としてこれ以上ないはなむけだったかと。それにしてもやはり歌がうまいですね〜。私が彼女を強く意識して見るようになったのは『ロミジュリ』の死の役から。ダンスや役の捉え方にも惹きつけられるものがありました。3回の新人公演主演も、巡り合わせですがスキルが活かせる場がなくて残念。退団したらその日から「綺麗なおねえさん」になりそうな美人さん、ゆく道の幸せを祈っています。


それにしてもスパーンと明快な芝居のあとに、解釈多様なショー、このごった煮感もまたなんとも宝塚らしくないですか?

大衆エンタメとして生まれ、百年以上。

いろいろな問題があった時も、ずっと待たれていた再開。ショービジネスは不要ではなく、愛を込めて大切に作られるもの。最後のピースである観客の私は、いつでも拍手をおくり続けたいと思っています。