1/14(日)11時、セディナ貸切公演。娘と。
今日はなんと!上手ながら4列め。セブンイレブンで発券した時、思わず息をのんでしまい、レジのお姉さんの不審そうな目とぶつかりました、、、
初見では、話の展開に置いていかれがちなことが印象強くて言及できませんでしたが、舞台装置や小道具などはオシャレ~と感じていました。本を積み重ねたオブジェの上にあるドイルの書斎。活字の柄?のホームズたちの衣装もかわいかった。好きな世界に対する、生田先生のこだわりがあったのだと推察します。
観劇したあと饒舌になるときと、うんうん唸るときとありますが、この作品は初見では後者。(自身の観劇の覚えですのでなんとか)初見の感想を書いておきたいところでしたが、なにをどう書くかすごく考えました。
一回きりの一時間半ほどの観劇でなにかを感じとるには、この作品では事前に持ってる知識の差も大きいかもしれませんね。たとえばドイル自身や、ホームズについての思い入れなどの。
シャーロキアンと称する方のポスト(旧Twitter)を読みましたが、同好の仲間たちにも大受けだったそう。もちろん、そういうディープな方々にとって楽しめた作品であったことは、生田先生の深堀りがホンモノであったことの証左ではあると思います。
なんの予備知識もなく、はじめてこの作品を観て、「おもしろかった!」「引き込まれた!」と、思えるのには私は一度めではなかなかにハードルが高かったです。
さぁそして2回目。
近い!
とりあえず筋書きがわかって、初見から10日ほどの間にドイル氏の生涯をざっとさらいました。
彼はかなりの破天荒な人だったようで。
ストランド・マガジンでのホームズの連載は、1891年から1893年の「最後の事件」までたった2年だったことには驚き。
愛妻のルイーズとは20年ほどで死別したものの翌年再婚し、子どもは三男二女。版権の相続をめぐって争いが耐えなかったり、ドイルの財産で放蕩三昧と、子孫の行状はかんばしくはなかったらしい。彼の著作権は子ども、孫に受け継がれて紆余曲折の末、2023年の1月に公有に。
第一次世界中は戦意高揚に積極的に取り組み執筆活動や講演を行なったものの、戦中に身内の戦死や病死が続いたこともあって、晩年は以前から興味を持っていた心霊主義にのめり込んだ模様。ものを創る人というのは、やはりどこか変わっていると妙に納得します。
自分の本分と考えていたらしい歴史小説も上梓していますが、現在から振り返ると、やはり彼はシャーロックホームズの作者としてが最も有名。本人の望みとは違ってしまったかもしれないけど、成功も財産も名声もホームズのおかげであるのはまちがいのないところ。
ただシャーロキアンと言われる人々によって、ドイル自身の人生も解き明かされ、過ちの多い愛すべき人間として語られる後世も悪くないとあの世でほくそ笑んでいるのでは?という気もします。
ドイルの人となりを少し知り、ホームズの作者でしかなかったコナン・ドイルに血肉がついたことで、この話もわかりやすくなったと感じられます。というより、生田先生のこだわりがわかったといったほうがより近いかもしれません。
話としてはあいかわらずどこで笑ったらいいか?という感じだったのですが、登場人物のやや大げさ過ぎる漫画チックなリアクションが、笑いどころの一つなのかと思います。セリフで笑えるとか筋書きがおもしろいとかいう類でなく、ドイルに振り回される周辺、そしてドイル自身はホームズに振り回される滑稽さを楽しむ作品なのかなーと。ホームズを愛し、ひいてはその書き手のドイルを敬愛している生田先生の筆致をまるごと受け取ることで、いろいろ腑に落ちた2回目でした。
新居披露のときのバイキングの扮装は、正直なところドン引きでしたが、なんと実話とのことですよ。
ただし(たぶん生田先生の思惑とは違って)一番笑いが起きたのは、主軸にほぼ無関係の、メイヤー教授(縣)の「書きやすい〜」というセリフでしたよね?
アル中の父親のせいで貧乏で苦労した若い時代を経て自身成功者となったものの、次の世代は相続財産の奪い合いで子どもたちが仲違い。お金って無くてもあっても苦労が絶えないのね。
というのがオチ?(*もっともドイル自身の没後のことはこの作品中では語られていません)
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さてショー『フローズンホリデー』ですが、構成などはプログラムを見ればわかるので、気になったことをいくつか。
年末年始の晴の時期にふわしく、にぎにぎしい舞台で、和も洋もごたまぜな日本らしいてんこ盛り。
そしてやはり目を引いたのが和希そら。というか、望海さん、彩凪さんの卒業後、雪組を観るモチベーションのほとんとが彼女の存在だった私にとっては、申し訳ないながら、ほかはあまり目に入らず。贔屓目全開ですのでご容赦ください。
前半は「チーム教会」を率いますが、清廉というよりセクシー。修道女の皆さんに手を延ばして顔に触れるような仕草で骨抜きに。修道院じゃなくてほぼハーレムですが、まぁあの色気ならグダグダになっちゃうのも納得です。
讃美歌103番(牧人羊を)の替え歌で歌う、「ブッシュ・ド・ノエル」は、途中で観客を煽る手ぶりが入り、万雷の拍手を浴びてます。ほぼ「ノ〜エルノ〜エル〜ブッシュ・ド・ノエル」しか言ってない歌詞を朗々と歌い上げて、一曲の歌曲のようにしてしまう歌唱力はさすが。この低音がもう聞けないと思うと残念でたまらないです。
真っ赤なスーツにサンタ帽子は憎めない弟キャラに似合っていて、それはそれでキュートな魅力があり、着物ふうの衣装の時は扇をつかって下手の客席に楽しそうにからんだりして、自由そのもの。ああっ!なんで下手じゃなかったのか、口惜し過ぎる
白のヒラヒラした衣装に舞台上で早変わりしてのソロダンスは、途中からやはり退団の沙羅アンナさんと重なってのびのびと踊ってみせ。こういった一場面を埋めるダンスも、今後は目にすることもないのかな〜(泣)本当にいろいろ惜しすぎる。長身揃いの宙組からの組替えという、ちぎちゃんを思わせる異動でちょっとだけトップの妄想もしましたが、ずいぶんキッパリと見切りをつけたものですよね〜。外の世界でも活躍できるスキルがもちろんあるとは思いますが、現実にはもうこんなピックアップはないんでしょうねぇ。そもそも今後も舞台の世界で生きていくのかも今のところわからないわけですし? 彼女の判断とこれからゆく道の幸せを祈ってはいますが、どうかどうか、そのスキルを活かしてくださいますように。ものごとに執着のなさそうなサラッとした感じの人なので、案外アッサリ表舞台から姿を消してしまいそうな(イヤな)予感もしますが、舞台の片隅でも、たとえわずかな出番でも応援させてもらえたら幸いです。