12/6(水)18時、

大宮ソニックシティホールにて花組の全国ツアー。

地方公演などを手がける興行会社の先着販売で。

一階26列の下手、娘と。


まずは初めての会場。

17列目くらいから階段となり、前のかたがまったく舞台にかぶらずストレスなく見られました。26列ということでかなり後方と思っていましたが、そんなに舞台も遠く感じなくて、鑑賞のストレスは距離じゃないんだと実感。観客目線から言って、とてもいい会場でした。


原作はプロスペル・メリメの小説『カルメン』。(1845年)

派生作品である、ビゼーのオペラの方が有名かな~。

宝塚の『激情』は、原作小説とオペラをミックスした感じの仕上がり。

小説のほうは、ある考古学者が、スペインの山奥で山賊となっていたドン・ホセとたまたま出会い、その身の上を聞き語りをするというのが大筋で、

オペラの方は、兵隊が奔放なジプシー女に翻弄されて身を持ち崩す話しに、闘牛士やフラメンコなどを加えて華やかにしたもの。

宝塚では語り手をメリメという名前にして、原作者を映す存在として残し、一方オペラの背景を取り入れて大衆受けする作品にしたものかと。

宝塚初演は1999年宙組、姿月あさと、花總まり、和央ようか(メリメ&ガルシア)、湖月わたる(エスカミリオ)の配役。


なんかいろいろ引っかかることがありすぎて、うまくまとまらないかもと思いつつ、、、



 メリメイコール柴田氏なのでは?


まずはあらすじに関するいつもの怒りとしては、どうしてこんな女に引っかかるのか?ということで(笑笑)        

今も昔もそういう話がたまにあり、かつ、自分の回りにそうあることではないからこそ、スキャンダラスなのかも?と理解はしますが、私の倫理観からはあまりに遠く、怒りを通り越して呆れるしかない。

ここまでは原作があるから仕方のないこととしても、最も違和感があったのは、冒頭でメリメが語る「男として、あこがれとも言える生き方に感じ入ったのです」というセリフ。(はぁ?)。これはおそらく、演出の柴田氏の言葉そのもの。原作者の視点を借りて柴田氏の考えを述べているのだと感じました。欲情に溺れて堕ちていく人生が憧れって、どんだけ自己陶酔。「何にも縛られない自由な心」はけっこうだけど、それって他者の犠牲の上に成り立つのか?

あ、また怒りが再燃してきた。ムキー



 メリメとガルシアが同一の俳優の必然性は?


語り手メリメと、ロマの親分であるガルシアは、二役をかちゃが演じていますが、普通に混乱しません?

初演では和央ようか、星組では涼紫央、月組では今回同様かちゃが演じていて、二番手の役であることがわかります。しかし、芝居の上でこの二人は同じ人というわけではなく、まったくの別人。

ガルシアの方は特に、すぐに殺されて退場してしまうので、もっと下級生の(路線に近い)男役に振ってもいいのにと思います。メリメとガルシアを二役で演じる必然性が理解できなかったです。


 あかさん、テイスト違いすぎる(笑)


むさ苦しい兵隊だの、うす汚れた衣装の犯罪集団だのが群れを成しているなかに、急にキラキラ輝くマタドールとして現れるあかさんが、芝居の全体の雰囲気とテイストが違いすぎて…とまどいましたね。もちろんあかさんはアイドル然としてすごーくステキではありましたが、なんか急に別物を見せられてる気がしました。翌日に星組全ツの録画を見てみましたが、夢乃聖夏さんのエスカミリオはもっと泥臭い感じがしましたし、衣装も抑えめの色味であまり芝居から浮いてなかった。今回衣装を一新して、プレお披露目のひとこのためには喜ばしいことでしたが、そうでなくても目立つ長身のあかさんが、宝塚を初めて見る方々には違和感が強く残ったのでは、と若干心配になりました。


 結局男は、最後は母親というロマン


人を殺して故郷にも帰れず逃げ隠れしているドンホセの元に、婚約者が訪ねてきて母親の死を告げます。

母親には心配をかけてばかりだった、と嘆くドンホセ。死んでから後悔するなら生きてるうちに孝行せんかい!と説教をたれたくなるオバサンです。(笑)

男が最後に母親に甘えたことをいうのは常套ですが、それできれいに幕が引けると思ってるのに舌打ちする思い。親不孝息子❗母の哀しみは尽きない。

最初から最後まで、いわゆる『男のロマン』がぷんぷん匂う作品だったな~というのが総括。


とは言いながら、こうして堕ちていく男は、ひとこに似合っていました。ちょっと影のある役を見たい冷たい美貌。これからを楽しみにしたいです。


さてショー『グランミラージュ』ですが、

かちゃが、1.5番手!?という感じの露出でした。

やはりまだ正式発表前の暫定トップでもあり、こうして真ん中に立ってみるとほんとに華奢なせいもあり、正二番手経験が前回『鴛鴦』の若殿様(バカ殿様?)だけのせいもあって、そして絶大な人気を誇る現トップの次を担う重責や、ここ最近の宝塚歌劇全体を覆う不安定な空気も、とにかく不安材料ばかりがてんこ盛りの船出。手に汗を握りながら(がんばって)と声にならない応援をするだけのファンですが、ここにきてかちゃの安定感たるや。ひとこちゃんを頼んだよ、と祈るような気持ちです。大劇場のときから変わって、かちゃをフューチャーする場面が新しく作られ、スター然とした風格はさすが。なんなら、背丈といい、顔の大きさといい、美咲ちゃんとの並びも映えてました。この八頭身(超?)のスタイルは天から与えられたギフトですよね~おねがい

初めて組を率いて全国を回るひとこにとっては、鬼に金棒の助っ人だったことはまちがいない。これだけ場面を任せられれば、ひとこの負担もだいぶ軽減されたのではないかと思います。

それにしても、美咲ちゃん大きかった。

 

余談ですが、侑輝大弥くん。

今回ショーでは、度々ひとこと見まがう化粧と表情で驚かされました。あれ?どうしてここにひとこが?と何回も目をこすりました。


大宮は1日限りで、この後の愛知で千秋楽を迎える全ツ。あっちもこっちも泣きたいような日々、ストレスもさぞ多いと思いますが、なんとか無事に走りきれることを祈ります。

多くのかたがたと同様に、宙組東京公演も全て中止の報を受け、私の今年の観劇も大宮で終わりです。

生徒さんが健やかな日常を過ごせる日が早くくることを祈って、観劇納めといたします。