二回目行って参りました。

10/26(木)1330、A席下手で娘と。

実は前回初見のときはA席最前列のセンターととてもいいはずの位置だったのにも関わらず、二階S席のセンターにズラリ陣取った和服をお召しの大集団の、帯を締めた上に更に前のめりになるので、銀橋にまるかぶりで視界が欠けるという災難に見舞われまして…ショボーン 

しかも観劇中に複数人がスマホ操作。さすがに係員がすっ飛んできました。

今回はかなり後方の下手だったにも関わらず銀橋もストレスなし。二回目でもあったのであらためて落ち着いて見られました。


風間くんの憂鬱?

『フリューゲル』で最も塩梅の難しい役は、風間くんのルイスじゃないかと思ってます。

なにしろ、フライヤーがピース写真でしょ?いったいどんな奴?って誰もが思いましたよね。で、蓋を開けてみるとやっぱりかなり帳尻合わせをしないとならない感じで、頭かかえてるんじゃないかと。

ナディアの部屋に飛び込んできたヨナスとサーシャを追手からなんとかまいたところに、飛び込んでくるルイス。「 状況は察しました。彼女(サーシャ)を僕にあずけてください」というなんとも唐突でざっくりしたセリフ。

また「本当のテロリストは近くにいるはず!」と主張したところに、ヘルムートちなつさんにパッとライトが当たり意味もなく(こいつだ)と確信するくだり。

なんかねぇ、もう笑っちゃいますね。

以前林修先生の『日曜日の初耳学』に古田新太さんが出たときに、「演出家の言うことが全てだ、自分の考えなんてどうでもいい」と言っていて、それを聞いた天海祐希さんが「反省しなくちゃと思いました。わからないことがあるとついどうしてですか?とか聞いちゃうから」と言ってたのを思い出しました。作品に責任があるのは演出家であって、役者はその考えの通りに動くコマ。だから自分がどう思ったとしても演出家の言うようにやらなければならない。頭をかかえながらももうやるっきゃないと挑んだ役だったのではないかと思います。  


うみちゃんのはまり役を見たい

新作だし、当て書きなんでしょうから、ミスキャストという言い方は違うような気もしますが、うみちゃんの役、どうなの。本人も『NOW ON STAGE』で「挑戦」と言ってましたし、もちろん、素の自分とは違う役というのも勉強だし、経験を積むのは役者として大切だということはわかっていますが、うみちゃんの素材に似合う役というのを見てみたかったですね。これぞはまり役というような役です。私のワガママですが。

思い起こせば『ロマンス劇場』の美雪、『ギャツビー』のデイジー、『応天の門』の昭姫、『デスホリ』のグラツィア、、、全て金回りのいい、気が強いはねっかえりの役でした。はかなげな風情から、彼女にはいわゆる古風な、芯の強い耐える女性が似合うような気がするんですけどね…


ほか、気になるかたがた

順不同になりますが、気になった生徒さんを挙げてみます。

最近月組の娘役で注目しているのが、妃純凛。今作でも敵役チーム(佳城、大楠)の一人として不気味な存在感を発揮。実際の彼女はきっとおもしろい人だと確信しているのだけれど、圧の強さが勝っています。


ヘルガ役の菜々野あり。ナディアの付き人?なのだろうけど、あまり気の回りそうにないむしろうっかりが多そうなチョコマカ感がやたらに目立つ。どうして世界的スターの付き人が勤まるのか不明ですが、明るい?キャラクターがナディアのお気に入りなのかも…と、ずっとふしぎに思う人物。スカステ情報によれば、ツインテールは指定だったとかで(なぜ?笑)、それを三つ編み四本にしたのは彼女の独創らしい。見た目からだいぶぶっ飛んでる感じに仕上がっててこれはこれで成功なのか?


梨花さんのゾフィア。東ドイツの文化広報部長。タイトのロングスカートとハイヒールがいかにも歩きにくそうで気になって仕方ない。それなのに銀橋を歌いながら渡る風間くんの後ろで踊る踊る。どうかケガなきように祈ります。


爆弾がマイクに仕掛けられていることを舞台のセンターで声高に叫ぶ工作員役の甲海くん(101期)。もしかして本公演でこんなにセリフ言ったの初めてくらいでは?双子で片方が花組にいることが知られていますが、残念ながらまだスチール入りを果たせず。飛躍のきっかけになるといいと思います。


コミカルでハートウォーミング?

「コミカルでハートウォーミングなミュージカル」という触れ込みの作品なのに、ヘルムートのピストル自殺は本当に必須なのか?別に最近の事件とかぶって切ないからではなく、ルイスにあんなに無茶振りをしているのならヘルムートの幕引きだってどうとでもなったんじゃ?ましてヨナスとかつては友人どうしなんですよね?この場面初見時にも増して、幕が降りるのが早くなってるような?ヘルムートがこめかみにピストルを当てるや幕がサーっと降りてきて、一拍おいてパーンと擬音が入り幕が一瞬赤くなる。匂わせ程度の演出になっているのはまぁなにか配慮があるのかな?と思わないでもありません。コミカルでハートウォーミングというキャッチコピーを生かした大団円だとよかったのになー、サイトー先生。


これぞ月組の役作り

『万華鏡百景色』は芝居仕立ての筋の通ったショーですのでやはり月組の、『BADDY』を思い出します。静と動、明と暗くらい印象は違いますが。悪に片足を突っ込みかけた海老の頭の人から、色気のしたたる花火師へ。集大成へ向かうんだな~と感慨深い。

鹿鳴館では『デスホリ』のロシア貴族のような白の軍服で登場。れいこさんの白の軍服姿を見られるのもこれが見納めかも?

役名のない「◯◯の男」というような大勢口でも、自分で名前や背景を作り込んで臨んでいるのはよく知られているところですが、闇市の場面ではそれこそ一人一人ドラマがありそうなほどのカオス。目が足りない。一人ずつ聞いてみたいほどです。ワンフレーズ歌う大楠てらくんが意外なほど(失礼)うまくて。そのうちにもっと聞く機会がありますように。

驚くべきは『STAY TUNE』で若手男役がZ-BOYSとして踊る場面で、なんと一人一人バックボーンを考えているとのこと。10月号『歌劇』のえと文で妃純凛が紹介しているのでご覧あれ。ただダンスを踊るだけじゃないのが月組生らしいと思わずニヤリとしてしまいますね。

若い女性の演出家だから、使うJPOPもこれまでの中堅男性演出家よりもずーーっとしゃれた感じで。アイドルというよりはアーティスト寄りの曲を使ってて、今の若者受けしそうな気がします。前作花組がロマンチックレビューでほぼムード歌謡でしたから、180度転換くらいの変化です。

いつも思うことですが、宝塚の懐は深い。