9/12(火)1100、日本青年館初日は昨日でした。

一階L(12)列、下手にてお友だちと。

チケットも用意していただきました。


渡辺淳一『無影燈』が原作。

宝塚では2012年の早霧せいな主演がありその再演。

作家も好きとは言えないし、テレビドラマでやっていたときも、流行ってた「白いシリーズ」も「赤いシリーズ」も一本も見たことがありません。

今、宝塚で和希そら主演で、東上でなければ、観る選択肢はなかったでしょう。



あらすじはよく知られていますし、お約束の展開で特に驚くべきどんでん返しもなく、最後に忘れがたみが残されることまであまりにも想定内でした。

それにしても私自身驚いたのは、引き込まれて終わりまで眠気もなく観られたことで、、、ニヤリ


そのなかでもチェーザレ(桜路)さんのエピソードはとても印象深く、彼が亡くなったあとの祖母(チェーザレさんの奥さん)と孫の会話が心にしみました。

以下記憶ですが、

「おじいちゃん、天国でうまく質問に答えられたかな?」「おじいちゃんが教えてくれたの、天国では入る前に二つの質問をされるんだって。一つ目はね、お前は人生に喜びを見いだせたか?二つ目は、お前は他人の人生に喜びを与えられたか?」

このシーンは、フェルナンド(和希)が死んだあとにもチェーザレさんとのやりとりとして再現されて、その質問に穏やかに「はい」とフェルナンドが答えます。

彼はモニカに自分の病気を隠して自殺するという辛さを残して一人去ったわけで、「喜びを与えられたか」というとビミョーかもな…と思わないでもなかったですが、刹那的には恋の喜びもあったわけだし、自分が死んだ後もモニカが強く生きてくれることを信頼して命を絶ったのだろうと。子どもが生まれることを生前に知っていたら、自殺せず延命治療を試みたかもしれないとは思いますが、、亡くなった後天国から、モニカと子どもの消息は見守っているのでしょう。

一般論ですが、女は男女関係の過去にとらわれることは少ないものと思っていて。ましてや子どもがいれば、たくましく生きていけると思います。モニカの幸せを祈ります。


あとは咲城くんがよかったですね~

くしゃくしゃの髪型もきゅんとしましたし、自分の出自を聞かされた時の母親とのやりとりや、異母妹のクラリーチェ(野々花)のために躊躇なく脊髄移植を申し出ることとか、まっすぐな青年役が本当に似合ってました。お母さん(希良々)はお金には執着心があり、かつての愛人の病院長(夏美)を恐喝したり、女一人で子どもを育てるためとは言えあまり感心する人生ではなかったですが、息子はステキに育ちました。


初演時と同じ役での夏美さん、五峰さんの専科さんと奏乃さん。こなれた芝居で暗くなりがちな場面に時々笑いを呼び込んでくれました。

あすくん!白衣の多いなかで一人だけ黒の衣装だし、ちょいちょい出てきて目立ってました。でもレントゲン技師っていろんな病気の患者の写真を見てるはずと思うのに、末期の多発性骨髄腫の写真を見てもわからないものなの?というのが若干疑問で ?? 医療のことは無知ですので、専門性が高い判断なのかなーと思うのみ。


真ん中のそらくん、前回の東上(心中恋の大和路)は休演が続いて残念でしたが、今回は西を走りきり、東京へ。このまま千秋楽まで無事に幕が上がりますように。

こういう何かを秘めたシリアスな役が似合いますよね。自暴自棄になって死の恐怖を忘れるかのように女遊びをするとか、やはり男性作家だなーとは思うのですが、イケメンで医師で独身であればそりゃもてる要素しかない。原作では関係した女性が全て孕めばいい(過激!)というところもあるらしく、死を前にして命を繋ぐのならもっと誠実に向かい合ってもらいたいものですわ。たぶん宝塚的なセリフ、「大勢の女性を泣かせてきました。万死に値しますね」というのは、聞いててこっ恥ずかしかった~爆笑

ヒロインの華純さん、キュートでした。そんなに背の高くないそらくんに、抱きつくときにつま先立ちなのがツボでした。最近は娘役さんもみんな大きいので、この身長差萌えますね。ヒロイン常連のひまりちゃんを差し置いての抜擢でしたが、適材適所だったかと。ひまりちゃんは病院長の一人娘でワガママで華やかなお嬢さん役が、ほんとうにぴったり。衣裳も一人だけブイブイいわせてて、貫禄じゅうぶん。

縣の休演中不在を埋めた眞ノ宮くん。本来の看護士ルカは目立つセリフもなく、手術の際のダンスが唯一と言っていい見せ場でした炎が、あなたがいることはいつも忘れてない  (^^)d

フィナーレに短いショーが付くのがいろんな意味で救いです。重苦しい話をリセットできたり、芝居であまり活躍の場がなくてもファンもここでうっとりしたり。


紫藤りゅうと瀬戸花まりが観劇でした。

96期の同期、宙組でもありましたね。しどりゅー、それほど髪も伸びてないし、スカートでもないのに、もうきれいなお姉さんにしか見えず。元々きれいな方ですし素顔に近いメイクでもキラキラキラキラでした。地上に降りた方々と遭遇する可能性の高い別箱、これもまた楽しみのひとつ。目の保養。寿命が伸びた気がします。