8/8(火)1330公演、A席9列目下手。

団体のお席にて。


前回の観劇との間に、月組の『1789』を引っ張り出して見直してみました。一生見ないだろうと思ってた録画だけど(そのくらい刺さらなかった)、星組のキャストと比較してみるとおもしろい。もう卒業した生徒もたくさんいて懐かしい。十年一昔どころじゃないな、、、時の過ぎ去るのは早い。


サイコロとトランプがまゆぽんとあーさ。笑

時々後ろに映りこんでるるねくん。あれ?もしやぱるくん?初舞台のはずだけど、村人に混ざって出てたりしますか?ロベスピエールのたまきちが若くて緊張感が漲っててかっこいい。

星条海斗のペイロールはド迫力。まゆぽんより恐ろしいわ。声にドスがきいてる。みやちゃんのアルトワ伯、変人の域ですね。もはや狂気。せおっちはそこまでいっちゃってなくて、むしろ皮肉屋の政治家っぽい感じ。実在のアルトワ伯に近いかも(?)

くらっちももちろんうまかったけど、ちゃぴはこの頃はもはや貫禄でしたね。フェルゼン役のありちゃんがツバメみたいでした。アントワネットとフェルゼンは1755年生まれの同い年で、1789年にはお互い34歳なのに今回も若めの配役で、、、やはりツバメでした。

全体に今回の星組の方が若手が多いような印象。熱い舞台、若い星組の熱量にマッチしてました。


さて、演者の熱演はすばらしかった。こっちゃんに瑕疵はほぼない。でもなぜかなにかが引っかかる。

それは思うにたぶん、二つの意味でリアリティなのだと思います。


まずひとつめのリアリティ。

豪快で、行動力があり、気前がよく下町の人気者だったというダントン。天然痘の痕のせいもあり、醜男だったと言われています。インパクトのある容貌です。




頭がよくジャーナリストとして才覚を表したデムーラン、アジテーションがうまい。(吃音だったらしいが克服したのか?)バスティーユ攻撃を扇動する演説をしたと伝えられています。


理論武装し理想家、最も先鋭的な思想で革命をひっぱるロベスピエール。言わずと知れた革命の大立役者。後に恐怖政治を断行し、自らもギロチンに消えます。




三人とも学校に通える財力があり、弁護士をめざして勉学にも励んだ。(少なくともデムーランとロベスピエールは弁護士となった)


  三人の実在の人物が描かれているなかで、彼らよりも突出した主人公たる「なにか」…


学もなく、字がようやく読める程度、もちろんお金もなく、剣に優れているわけでもなく、弁が立つわけでもないロナンという人物に求心力が見いだせない。

もちろんこれは原作台本通りなんだろうし、こっちゃんがひとたび歌い出せば、踊り出せば、それは星組のトップスターとしてみんなをまとめあげる力がある。

ロナン=礼真琴。正直観客は知らず知らずそう思ってるんじゃないな~。

礼真琴すばらしい!=ロナンすばらしい!


リアリティのふたつめは、農民でいまは住むところにも不自由している印刷工なのに、次々と美麗な衣裳に着替えて現れるのもよく考えれば妙な話で、つまりここでもロナン=トップスターと読み替えているわけなんだと思う。プチブルのデムーラン、ダントン、ロベスピエールがほとんど一張羅なのにね。

宝塚は人を見にいくところだから、スターさんたちがキラキラしてなかったら魅力は半減してしまうのだし、そこは譲れないところ。(仮装などの一場面ならともかく)誰もボロを着たトップスターなんて見たくはない。

帝劇で上演された『1789』の映像を見ると、主人公のロナンは地味な色合いのボロの衣裳をずっと着ているようだから、この度々のお着替えは宝塚バージョン。宝塚の観客が何を求めているか、小池先生はさすがによくわかってらっしゃるなー。


ロナンその人がなぜこの話の中核となれたのか?

ここまでのドラマチックな展開にふさわしい人物像が、なんともクッキリしない。

重ねて言うが、礼真琴に瑕疵はない。

むしろ彼女だからロナンを主役として成立させているとさえ言えると思う。


幸いまだ観劇の予定があります。

楽曲についてはそのときにかるく。