8/2(水)11時、KAAT

生徒さんの取り次ぎで13列下手で。娘と。

通路側でしたし、席が中央を向いているのでたいへん見易かったです。

初日(昨日)を見た同世代の友達が、置いてきぼり感が強くて次回のファイナルファンタジーが不安になってきたと言ってたので、ちょっと緊張して臨みましたが、あにはからんや!私はおおむね楽しめました。




『逆転裁判』に限らず、ゲームは一切やりません。食わず嫌いではなく、やってみたけどおもしろいと思えなかった人です。

予習するつもりもありませんでした。

だからゲーム原作と聞いて、受け入れられるかな~、理解できるかな~と不安があったのはたしかです。


見終わって不満があるとしたら、登場人物の名前や架空の地名がちっとも覚えられない(頭にスイッと入ってこない)ということと、回収されないエピソードが多く、未消化な感じがするということでしょうか。

でもそういうことをうまくスルーして、ストーリーとして楽しめたし、ゲームのなかの人がやっている決めゼリフとかポーズとかは知らないまでも、(あー、こんなことをやってるのね)と、見ることができました。

演出の鈴木先生は(ジェンヌさんと結婚したせいなのか?)めったに登場機会のないかたですが、オリジナルの作品を、それぞれのキャラクターを上手に生かしながらとてもうまくまとめていたと思います。伏線がいっぱい張られていて、今作品中では回収しきれてないものもあり、「続編」がちらつきます。(さっきのあれはなんだったの?)という疑問が、うまいこと期待を生んでいますね。


スミマセン、漢字変換が煩わしいので固有名詞は以下カタカナにします。

一番の不明点は、「(親友)アソウギ(@風色日向)の意志(遺志?)を継ぐ」となんども主人公が言っていることで、意志(遺志)ってなんだ?ということです。

これには公演に備えてゲームを制覇した娘が解説してくれたので、私は(なるほどね)と謎解きに答えを得た気分ですが、一切そういうヘルプがないかたには、謎は謎のまま残るかもしれません。

二番目の疑問は、バンジークス(@優希しおん)は日本人を嫌っているらしいが、それはなぜか?ということで、この作品中では明かされません。

三番目の疑問は、ローラ(@水音)はいったいなんの役回りだったのか?ということで、これはネタばらししてしまうと、次回作の伏線です。一緒にいたパトリック(@ 奈央)とバカップルとして証人で登場します。

あと実は、最も重要な驚くべき点が伏せられていて、それはゲームでもかなり後半に明らかになることですが、オリジナルの今作には影響を与えていない材料です。

こうした数々の疑問点を伏せながら、巧妙に伏線を張って、それなりにまとまりのあるストーリーに仕立てているのは、なかなかの力量だと感心したほどです。私自身むすめからさまざまな種明かしを聞いたのは終演後のことでしたが、これらがわからなくても楽しめたことが、むしろ驚きでした。


主演の瑠風の髪型がどうもイケてなくて、フィナーレでようやく、かっこいい瑠風を見られてほっとしましたが、そもそもナルホドウというキャラクターがポンコツというほどでなくてもかっこ良くはない設定なので、ある意味うまく作られていたのだと思います。

ホームズ役は鷹翔。ゲーム履修後の娘が一番心配していたのがこの配役で。ホームズはすごく変な人だからこってぃだいじょうぶかしら…と。でもとてもうまく寄せていたと思いました。カジロワでカミソリのような始末屋スメルシュ、ハイローで鬼邪高校の頭の村山とちょっとクールな役が続いていたこってぃ。エキセントリックな天才探偵を振り切って演じていました。おかしな人物ながらホームズはこの芝居を回すキーパーソンなので重要なキャラクターでしたが、さすがのお芝居でした。

凄腕検事のバンジークスには優希しおん。大劇場公演ではショーでピックアップされても芝居で重要な役をすることはあまりないですが、今作ではセリフも多く、犯人を追い詰める冷徹な検事として人相も顔に傷のあるような強面(こわもて)のキャラ立ちした役を好演しています。ゲーム履修者の娘としては、これは意外な配役だったということでしたが、「意義あり!」と、足をバーンとテーブルに乗せたり、グラスやボトルを放り投げたりする身体能力のキレはやはりキヨちゃんで正解。(これもゲームにある所作だそうです)

ほかにも夏目漱石役の凰海るの、裁判長の嵐之真、刑事グレグソン役の鳳城のあんも爪痕を残しました。

専科の汝鳥さん。冒頭ワンシーンだけ峰里ちゃんとの芝居があり、これがどこに繋がっていくのかを頭の片隅において見ていましたが、大きな動機となる太い軸がみごとに回収され大団円を迎えてカタルシスを味わいました。この二人の芝居はさすがに見ごたえがありましたねー。余談ながら、汝鳥さんが追い詰められてお約束のポーズ、「グググ」と言いながら体を反らした時には、今日一番の笑いがおきました。


私はゲームをやりませんが、たぶんゲームファンにはかなり楽しめたのではないかと思われます。ゲームと言えば付き物のゲーム音楽もソフト会社の協賛を得て使われており、(ハイ、ハイ、ハイ)と頷きながら見ていたことでしょう。キャラクターの再現度の高さにも感心してくれたかもしれませんね。

原作ありだと、原作ファンのかたの感想があたかも判決を待つ被告人のように気にかかります。

お気に召しますように。


今日はマチソワでチケットがありましたが、ソワレは土壇場で娘の友達に譲りました。明日もう一度拝見する予定です。