6月19日(月)1300、シアターオーブ。
A席最前列下手にて娘と。
本来の初日である12日から昨日まで休演となり、そして当日もまた一人の休演者の発表がありつつも、初日の幕があいた今日という日。
奇しくも初日を観られることに。
始まる前、この公演なぜか?ちょっとチケットがダブついてる感じがありまして。チケトレにもおけぴにもいっぱい売りが出てました。東京だけの別箱公演なのに、斯く言う私も思いがけず複数確保できており、こんなに売りがあったらお譲りも難しいのかな?と、考えながら初日を迎えた頃に休演の発表となり、急転直下のチケ難公演に。
私も初日週の一公演を失いましたが、それでも割にはやめの公演再開となったおかげで、幸いほとんどのチケットが生きました。
そして今日の初日。
このあとネタバレありなので、かまわない方のみお進みください。
*プログラムの表紙 ↑
あまりに美しくてお顔は見せられない
海外ミュージカルって
第一幕85分、第二幕65分。
第二幕は実際の時間より短く感じるテンポの良さ。
楽曲は難しそうだが、ソロはもとより、出演者の大勢口のコーラスもすばらしい。真ん中の三人はもちろん、みちるちゃん、りりちゃんやるねくんも圧巻の歌唱。
芝居を盛り上げる楽曲にワクワクドキドキが止まらない。
オリジナル演目には期待もあるが、海外ミュージカルだと大きく外さないのが安心ですよね。
キャスティングとテーマ
『死神の休暇』といった邦題名から、ファンタジーのような内容を想像したものの、具体的なストーリーのイメージは浮かばなくて、真っ白な状態で客席に。
配役で一番驚いたのが、みちるちゃんが海ちゃんの婚約者の祖母(!)ということで。初の老け役?
そして風間くんが海ちゃんのお父さん。なんでも来いの彼女にはこれは全く問題無さそうだなと納得。
明確な娘②とか③ではなかったものの、白河りり、きよら羽龍の二人が、ヒロインの同世代、友だちポジで、月組も潮目が変わってきたのかな?と感じるキャスティング。りりちゃん、さすがのソロ歌唱も披露。
蓮つかさは前回の『エルピ』同様、ちょっと三枚目キャラで、キャラ変の頃合いなのか?本人的には殻を破る難しさがありそう。
いい仕事してるのが佳城葵。脇役としてかなり爪痕を残す大活躍。舞台隅にいてもつい見ちゃう。
108期から別箱へただ一人帯同の雅耀。死神が人間サーキから死神に戻った瞬間の、替え玉を演じる。顔は出さないものの、プログラムに『死神(カゲ)』と役名で名前が掲載される抜擢に期待を感じる扱い。
今日初演なのに、かなりあちこちでセリフや所作に笑いが起きる上質なコメディ要素を含んだ作品。死神がヒロインに恋をして真実の愛を知るという、真面目な大筋はあるものの、死神のやけにものを知らない純粋さや、屋敷に集まる人々の勝手な思惑が(しょうがないなぁ)と苦笑を誘う。ヅカファンなら思い浮かぶこの死神とヒロインの恋という設定は、そう『エリザベート』。ただ、エリザベートにおけるトートは【黄泉の帝王】とあくまで高圧的なのに対して、『休暇』のサーキにはバラの香りを愛し、目玉焼きを美味しいと喜ぶような一種人間的な魅力がある。
語られない後日談
死神であるのを知っても受け入れたヒロインの「愛は死より強い」という結論はそれとして、死神はこのあとどうするのか?人々を死にいざなうのをやめてしまうのか?やめてしまったとしたらその代わりの仕事は誰がやるのか?とか、死神として仕事は続けるものの、これまでのようにクールに命を刈るのでなく、死にゆく人や、その回りの人に寄り添った形で行うのか?など語られない後日談が気になって仕方ない。
でもあの、ボロをまとったような衣裳に、醜いマスクを付けた死神のビジュアルが、ヒロインの愛を受け入れたとたんに輝くような真っ白な王子様に変わってしまったからには、もはやこれは死神とは言えないんだろうなぁ。眩しすぎる美しさ。アシメトリーに分けた銀髪もステキすぎる。こんな死神に手招きされるなら、死ぬのも悪くないと思ってしまう。笑
語られない後日談と言えば、腰痛が戻ってきた英真ダリオのように、みちるエヴァンジェリンのせっかく戻ってきた記憶がまた混濁することはなさそうでよかった。死神が愛の化身に変わったことで、いろいろ小さなバグが起こったようだ。かたくなにグラツィアを求めていた元婚約者の蓮コラードも、もしかしたらそばにある別の愛の形に気がつくのかもしれない。
願わくば戦争で失った息子に続いて、死神についていくのを選んだことで娘グラツィアも失ってしまうことになる、風間くんさちかさん夫妻になにか救いがあるといいのだが。
強引な帳尻合わせでなく、何もかも語り尽くすのでなく、余韻の残る終わりにも納得。
シアターオーブという劇場
今回は二階でしたが、座席の前後にゆとりがあり、最前列に床からの仕切りがあるほかはにっくき手すりもなく(笑)、座席に背をつけて見ても、舞台の前面が欠けることなく、たいへん見易い状況でした。
舞台の上には持ち込んだと思われる盆があり(おそらく据え付けではないのでは?)、セットの後ろには生オーケストラがスタンバイ、階段や高めのお立ち台もあって高さも使い、壁やドアや窓も左右に開いたり上に上がって収納されたり、と、舞台装置を大劇場公演のように自在に使って、別箱とは思えないクオリティ。全日程が同じ劇場で行われるからこその装置でしょうが、幕前芝居で暗転でごまかさないのはすばらしい!
ヒカリエという都心の商業施設のなかの劇場なのでアクセスが上へ上へと延びるのは致し方なくて、11階という高所で上り下りは面倒ですが、エスカレーターやエレベーターもあり、駅直結で天気にも左右されずの便利な劇場。
地下鉄からの上がり口には『1789』のデジタルサイネージがあっちにもこっちにも!気分も上がります。
七階八階のレストランで食事をすると、チケットを見せれば一割引
最初から最後まで気分よく楽しめました
すばらしい作品と楽曲、
すばらしい演技と歌唱、
生徒さんたちの努力がムダにならず、
開幕できて本当によかった!