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『HELI-Xスパイラル・ラビリンス』

6/8(木)14時

幕間がなく通しで2時間半ほど。

前作と同じく池袋サンシャイン劇場にて。全13公演の折り返し、7公演目です。



https://www.heli-x-p.com/spirallabyrinth/ 


同じシリーズの作品としては4作め。翔ちゃんが出てからは2作め。前作までの説明的な部分はあまりなかったので、今回初めて観る人にはちょっと厳しかったかも。


ストーリー

第三次世界大戦で世界が大打撃を受けたあとのはなし。性転換(トランス)の技術が進化し、一度だけ性転換が可能となる。そしてそのトランスを行なった人のなかから異能力(超能力)をもつものが生まれてくるようになり、旧来の人類との間で差別と対立を繰り返するようになっていった世界が、どのようにしてお互いを認め合い共存していくかというのが大きな流れとなる。題名のHELI-Xというのは、その異能力者のこと。

翔ちゃんは未来からきた情報機関の幹部で、超人類という更に進化した種族。過去の世界でサンプル(観察対象)を集めているという設定。

異質なものを排除しようとするとか、差別とか戦いとかそのへんは普遍的なテーマだが、なにしろ設定が荒唐無稽なのでこまかいことにこだわっていると大筋に置いていかれてしまう。なんか噛み合ってないなと思っても、いったん脇に置いて先に進むほうがおすすめ。笑

今回は前二作の主たる登場人物のクライの殺害現場から始まり、その犯人を探す謎解きと、融和に力を注いできたクライの死で揺らぐ平和をどう取り戻すかが主たるストーリー。

脇筋として悪役オシリスの幼なじみイシスの登場で、果たしてオシリスが変わるのかを追う。

またあたかもAIの如く感情がなく、自分にも他人にも興味のないセーレだが、イシスに惹かれていくことで『心』が生まれるのか!?も見所。


登場人物(順不同)

サッドネス(元女性のHELI-X)

オシリス(ラスボス的な悪役、HELI-X)

クライ(人類との融和共存を進めてきたHELI-X。今回殺される)

イモータル(クライと人類に共感するHELI-X)

アガタ(人類。警察官。人類とHELI-Xの共存を目指す)

イシス(HELI-Xだが能力をもたない。オシリスの孤児院時代の幼なじみ)

タカクラ(人類。警察官。サッドネスと心を通わせる)

セーレ(未来から来た超人類)


舞台装置

五段ほどの階段のある山状の高い壇が中央にひとつ。上手と下手に廃墟のような傾いた建物。以上。

あとはタブレットの画面が背後のスクリーンに投影されたり、ニュースのように声明が流れたりする画面が時折出る。

役者が左右から高い壇へ登場し、階段をかけ降りたりかけ上がったり、袖から出たりはけたりという動きで場面の転換を表す。暗転でなく、ライトが客席に向けられ、その目眩ましの間に舞台で人が入れ換わる。

日頃豪勢な舞台装置を見慣れているので、あまりのシンプルさにカルチャーショックを受ける。


チケット事情と座席

チケットはオフィシャル一次先行、二次先行、キャスト別先行の順で販売され、私はオフィシャル二次で購入。特典付き(シールとブックレット)で+1000円の10800円。買えなかったらマズイと思って早めの申し込みをしたが、当日券もありの余裕。ま、帝劇でもない普通の舞台は(残念ながら)そういうことが多いよね。キャスト別で買えばよかった。特典は写真だったのに。前回はキャスト別が早かったのでキャスト別で買った覚え。

座席位置は、今回通路より後ろの上手側。800席ほどの小さめの会場なので、舞台も遠くなく、前の人の頭も視界を遮らず快適な見えかた。

通路より前方のセンターブロックが謎にたくさん空席があり、惜しまれる。普通には早い申し込み順に前方から売ったと思うので、キャスト別またはFCの確保席なのか?早めに先行で買わず、逆に当日券の方が前方が買えるチャンスありなのか?


雑感

前回同様殺陣が大迫力。アンサンブルの方たちの動きがキレキレ!早すぎて本当に当たっているかどうかもわからず。(さすがに当たってないと思うけど)


フルカス(天真みちる)の立ち位置が不明。セーレの部下という設定のはずだが、登場がまずタンバリンを持って踊るという、わけのわからなさ。彼女的には見せ場ではあるんだろうが、毎回アドリブ(アフタートークショーで翔ちゃんいわく)だそうで、芝居からすっかり素にもどったイモータルとドクタースメラギとの寸劇のような差し込み場面で、前後に脈絡もなくて。全体に重苦しい雰囲気のなかで唯一ほっこりするところと言ってしまえばそうなのだが、たそには申し訳ないけどこの一連の流れ(しかもかなり長い)必要でしたかね?私は宝塚ファンなのでギリ受け入れ可能でしたが、宝塚になじみのない方にはナゾだったのでは、、、


超人類の目覚め

翔ちゃんは未来から来た超人類。もう美しさが超人類。前回の衣装より更に中性的。ズボンにアシメトリーなマント様のジャケット。黒髪の短髪が似合う。感情をもたないAIのような冷たさで、切れ者。格闘にも射撃にもすぐれ、しゃべり方にも男女の別が感じられない。「わたしのそばを離れるな」なんて男役の再来のセリフにほれぼれした。全人類の敵であるオシリスに会いたいというイシスを観察対象として保護するうちに、我知らず惹かれていき、そばにおきたいと願うようになるが、その自分の気持ちが制御できなくて戸惑うという役どころ。フルカス(天真)に「私はどう見える?」と闘いを挑むなかで問い、「イシスに興味をもっているようだ」と指摘される。初めて意識する『心』というものをもて余すのがいじらしい。そしてオシリスとの対決の末にイシスを失い、イシスの残骸をかき集めて呆然とするセーレの、哀しみに満ちた眼差しが痛々しかった。ようやく好きなことを自覚したときには、その相手を失くしてしまったという切なさ。『心』って見えないのに痛いんだよね。

『心』を持たなかった超人類が目覚め、さぁ次はどうなるかという布石かな。ちょうど一年ぶりのHELI-X、主たる登場人物が毎回亡くなってだんだんとキャストが変わっていっているものの、アガタがまた螺旋機関を作ると言っていたので、次回はそっち方向なのか?ラスボスオシリスは不死身のようだし、まだまだ続きはありそうにも思える。


彩凪翔に出番があれば、次回もまたここに。