「夢現の先に」追加公演完走おめでとうございました。
1/20(金)、11時半公演。娘と弾丸で観てきました。
12列目上手、生徒さんの取り次ぎで観劇が叶いました。
ポスターで披露された衣裳が独特で、キャストが固有名詞でなく「僕」「彼」「彼女」と代名詞だったので、いったいどんな作品なのか、と初日が上がるまではザワザワしていましたが、幕が上がってみるとそれほど難解なものでなくほっとしました。あの拘束衣のような衣裳は夢の中での「僕」の心理状態を表したもので、夢と現実を行き来しながら話が進んでいくという世界観のお話しでした。
悪夢を見続ける僕に、夢の中で明るくからんでくる彼。その遠慮のない距離の詰めかたに戸惑いながら次第に心を開いていく僕。現実での生活が充実してくるにつれて悪夢をみなくなる僕。それと裏腹に覇気を失っていく彼。
人の不幸を願うような彼ではないとは言え、現実での生活がうまくいくようになると、自分の助けも要らなくなって、だんだんと忘れられてしまうのが寂しい…
「僕」が主人公でありながら、「彼」の行く末が気になる展開で。あのんくんの明暗の演じ分けが興味をかきたてました。
いったい現実の彼はどこでどんなふうに暮らしているのか?
想定内の筋立てではありましたが、「僕」の過去と「彼」の現実がこまやかに描かれて、胸に迫るセリフがいくつもありました。全てが同じ病院に集約していくのもなかなかみごと。
こっていは言わずと知れた101期の首席。首席によくある真面目で努力家の印象。確実な歌唱力と深く考え抜かれた芝居で堅実に伸びてきている感じ。
あのんくんは103期。スタートこそ半分より下と振るわなかったものの、同期のなつ颯都くんの突然の退団で一人勝ちとなり、以降、新公の重要な役を射止めていまや押しも押されぬ路線スター。ただ綺麗なだけでなく、好みの別れるところだとは思いますが、目立つ顔立ちだなーと。見た目の明るさ華やかさと異なる陰影のある演技があのんくんの持ち味かと。芝居に定番のある月組とかも似合うかもね。
今作品の大収穫は泉堂成くん。
前作のハイローでのすんとすました役とはまったく異なり、「ご主人様が楽しいのがいちばん!」と自分の楽しみを犠牲にするのも厭わない熱い羊の役。何が大収穫って、後半にソロ歌唱があったのですが、なんと!きれいな声でした。どちらかと言えば高めの、澄んだ声!歌唱は練習で伸びますがもって生まれた声質は得難いもの。あのビジュアルでこの声。天使かな…
107期の風翔夕くん。
こってい「僕」の子ども時代の役で第二幕でソロ歌唱があったのですが、父親の臨終に立ち合う慟哭の場面で感情ののった歌い出しに心を揺さぶられました。こっていに歌い継ぐ繋ぎもスムーズでした。
小劇場作品では普段目立たない下級生にもスポットが当たるのがいいですよね~
気になる生徒さんが増えてきて、舞台にさがすのが忙しくもうれしい今後となりそうです。
忘れてはならない朝木陽彩さん。
芝居では花屋の明るい店員を熱演。フィナーレのデュエダンではカゲソロを。顔が見えなくても朝木さんとわかる美声でした。
小劇場での急な退団は惜しまれますが、もう次の道も決まっているのでしょうか。お幸せを祈ります。
当初観劇を予定していた公演が中止になってもう観ることは諦めていましたが、自前の劇場と劇団の英断のおかげで追加公演がいくつも行われ、多くの人に披露できて本当によかったです。私も2週間に二回も遠征することにはためらいがありましたが(主に経済的な点で…)、二度とはない機会、結果として観ることができて感謝しかありません。
花組も動き出しました。
どの公演もぶじに続きますように!