あのね、もちろん転ばないようにといつも思っていました。
年とってきたら大事なこと、ご存じですか?「ころばない、風邪をひかない、義理を欠く」
上の世代からさんざん聞かされて、自分自身若いとは言えなくなってきた頃から、運動するのは筋肉をつけてころばないようにするため、と本気で思ってましたとも!それなのに車止めにつまずいて、ビターンと前に転倒。冬で厚着だったせいか外傷はありませんでしたが、痛すぎてしばらく起き上がれなかった。なんとか職場まで行きましたが、一日経つうちに次第に痛くなってきて、夕方にはしゃがんだ状態からなんとしても立ち上がれなくなりました。帰宅時も2階にある事務所からの階段を降りるのに一苦労。安静にしていると痛くないので、骨は折れてないとは思いましたが、私が思ったのはまず、(花組に行けるか?)ということ。いや、ほんと。冗談でなく。
そして、再開の1/30(日)11時公演に行って参りました。貴重なチケット、なんとSSに近い列のセンターでした!前2席が空席でやたら見通しがよく、こんな席が複数空いてるなんて普段なら考えられない。やはり色々な事情で来られない方もいるんだろうなぁ、と。一回かぎりの観劇、オペラも要らない良席でありがたく拝見してきました。ヅカ友さん、本当にありがとうございますm(__)m
開幕前に「皆様、ご心配おかけしました、花組帰ってまいりました!」とれいちゃんのちょっと憂いを含んだ声で挨拶が入りました。その時点からうるうる

忠臣蔵を下敷きにしたという事で、日本人にはなじみの名前がたくさんあり、元のお話しと重層構造となって厚みを感じました。ただ90分で48士それぞれの物語は描くことはできませんし、最も有名な浪士の一人、ヤスベエすらほぼ端役扱い。忠臣蔵を期待して来たかたがいたとしたら、かなりの肩透かしです (笑)
話が進んでいくうちに、(あれ?この話は読んだことがある)というものすごい既視感に襲われました。未来に起こる事件(ここでは赤穂浪士討ち入り)を回避するために、時間を巻き戻して、小さな齟齬を修正したりしなかったりしながら、自分の望む方向へ時をかけて少しずつ導いていくという大筋。事実を知っているのは一人(またはかなり限定された人だけ)で、それ以外の多くの人は自分が同じ時を繰り返し生きていることに気がつかないで過ごしているという、いわゆるタイムトラベルが縦軸となっていたのですね。よくある設定ですし、あらすじはわかりやすく最後はハッピーエンドでとても楽しめました。
ビジュアルが公開になってから、豪華で艶やかな衣裳を見るのを楽しみにしていましたが、一見和服のようでいて独創的なデザインと色使いで、れいちゃんまどかちゃんにとても似合っていて期待どおりでした。
全体を通して、音くりちゃん、美羽愛(104)、星空美咲(105)の三人の娘役が目を惹きました。
将軍ツナヨシは変幻自在の音くりちゃんならではでした。男役に配しても当然の役でしたが、ここは音くりちゃんが絶妙でした。100期なんてつい最近入ったばかりかと思っていましたが、この作品が終われば、美風さんを除いて上級生から華雅りりか(94)、春妃うらら(97)、99期が二人で、100期も二人しかいないことに驚きます。いつの間にか上から数えた方が早くなって…
コウズケノスケの忍びの役は難易度としてはまぁ普通だったと思いますが、美羽星空の爆上げ中の二人を競わせるにはちょうどの配役でした。
ショーの方でもこの三人は目立ちましたね。音くりちゃんは堂々の娘②ポジ。歌、ダンス、演技と非の打ち所のない実力派ですし、サイズ感も小ぶり(160センチ)で、誰とでも組めるし、路線ではない(らしい?)のが全く惜しい人材です。まどかちゃんを支える大きな力ですね。今回銀橋渡りを見ていて、星空はけっこう大柄な娘役なんだということに気がつきました。顔が小さくてスタイルがいいからあまり気になりませんでしたが、164センチ、相手を選びそうです。
ほかには、いつの間にかひとこを追いかけて見ていました。髪色が今回黒なのが私にはなかなか胸キュンポイントで、れいちゃんとマイティと三人で踊るシーンもかなり多くて、堪能しましたね。ダンスに秀でた三人、見ごたえがありました。今回のショーでは歌もよかったです。ビック、しーさんの歌うま94期コンビの歌い継ぎ、高翔さん、美風さん、もちろん、音くりちゃんのソロでの銀橋渡りも。花組(ほぼ?)全員の合唱も厚みがあってとてもよかった。へんなはなし、宙組のようでした。ショーは通常より10分ほど長かったんですね。途中からあれ?長いな…と思い始めて、退屈だと感じているわけでもないのにと、不思議に感じていましたが、実際に長かったのね。染み込んでいる時間感覚が存外正しくて我ながら感動しました。
ショーの終演後には組長の挨拶に続いて、れいちゃんの挨拶がありました。トップスター一人だけの挨拶でなく、舞台に全員が立ったままで、「みなさんにお会いできてほんとうによかった。」と。今回退団の生徒を一人一人名前を呼びかけ、また「彩風咲奈率いる雪組の思いも背負って」と言うときにはちょっと湿り気を帯びた声で、こちらもついもらい泣きしてしまいました。背負っているものの大きさがひしひしと伝わってきて。左右のマイティとまどかちゃんの方を確認して、声を揃えて「宝塚を愛してくださって」、そして全員で「ありがとうございます」と。泣くしかないではありませんか
このまま千秋楽までわずか一週間ですが、どうかぶじに幕が上がり続けますように。
コロナ対策、劇団経営としても判断の難しい局面だと思います。チケット枚数や上演時間やスタイル、さし示す条件が観客にとって一時的に厳しいものでも協力したいと思います。れいちゃんにもうあんな声は出させたくないというのが幕が降りての心からの願いです。