えぇ、柴田センセの作品ですよね。

もう見る前から若干引きぎみ。

雪組ちぎちゃん以来ですが、ラスト近くで秘密が明かされた一瞬でドン引きしましたっけ。

どうなの!?若い子達。


全ツの最終地、神奈川県民ホール。キャパ2500近い大ホール(兵庫の宝塚大劇場並み)。そのキャパの割にはロビーがとても狭く、正面入口に至っては観音開きのドア一枚しかないお粗末さ。防音でも気圧の関係でもなかろうになぜか(不完全な?)二重ドア風になってて、密具合が倍増でしたね~ガーン 内部は客席三階まで階段らしく、(もちろん車椅子や機材運搬のためのエスカレーターはあり)足の悪いかたは要注意ハッハッ

1975年の建築、横浜市内にある教育機関(小中高)関連の発表会などにもよく利用されている地域のホールなので、そりゃそんなに高性能なものを期待してはいませんが、「海外のオペラの引っ越し公演も行える」と堂々とHPに書いてあるのでむしろその自信はどこから?多くのかたがおっしゃってるように、音響(と言うか、今日私が体験した感じでは残響でしょうか)は、なかなかに残念でした。マイクのハウリングの問題は今日の午前中はありませんでしたが、ショーのときはお客さんの手拍子の残響がひどくて、ステージで歌ってる歌詞はほぼ聞きとれず。こうしてみると大劇はいい劇場ですね~照れ


9/11(土)11時公演。10列台前半の上手通路側でした。上手下手はセンターに45度ほど向いていて、通路側はとても見易いと思います。(1枚め↓)


一階は5列目まで傾斜がなく、6列目から20列までは緩い傾斜、22列目から階段です(2枚目)。2階席、3階席は凹状になっていて、上手下手は一階の22列目くらいからかぶる感じ、センターは奥へ引いているので、舞台は一層遠くなりますねー

一階3列目まで販売されていませんでした。


さてさて箱の話はこの辺で終わりにして、本題に。

4度めの再演ですから、みなさんあらすじはご存知の前提で進めます。


柴田センセってロマンチストなんだな~と、しみじみ思いました。そして、伝統の大切さも知ってはいますが、やはり私は宝塚の古い作品は苦手なのかもしれないと再認識しました。

(⚠️絶賛しているかたももちろんいらっしゃるし、それぞれの感想を否定する意図はないので、あくまで個人的な感想として以下記しておきます。)


私は女ですから、女性側の心理に寄り添うことの方が多いし、得意(だと思っている)んですが、女はもっとずっとしたたかなんでは?エバ(まどかちゃん)とて、望まないことだったかもしれないけれど、既に結婚して、しかも今は未亡人。お金持ちの囲われものとして華やかな暮らしをおくっていましたし、幼い日の恋に遠い憧れを抱いていたとしても、もしもエリオ(れいちゃん)が今をときめくマタドールでなければ、案外かる~くスルーしてたかもと思えます。ひねくれすぎですかね?

それともうひとつ、エリオ視点でも、「エバに俺と同じ嘆きを与えたらそいつを殺す」のは、100歩譲ってありとしても、自分が死んだら(結果的には自殺ですよね?)エバは悲しむのではないか?ということに思い至らないのは、あまりにロマンチスト(=自己陶酔)が過ぎませんか?自分が秘密を抱いて死ぬことで、エバが救われるとでも?たとえ自分のものにならなくても、愛する人には生きていてほしいと願うものなんでは?自分のものにならないなら殺してやる!みたいな熱情の女性もドラマの中ではいそうですけど…


まぁしかしこの本の制約のなかで演じるしかないので、れいちゃん、まどかちゃんの奮闘を褒めたたえたいです。

マタドールのれいちゃんは、ビジュアル的にはほれぼれするほどピッタリでしたし、自分の心の変化に戸惑い、決意を固めていく過程は、男らしくも繊細に作られていて、誠実な人柄がとてもよく現れていた。アンフェリータに向ける優しさも単に親方の娘だからというわけでなく、エバと再会するまではほんものだったことがみてとれるものでした。エバが異母妹だとわかって母親に一転怒りを爆発させる着火点も、胆が縮む思いがするほど恐ろしかったガーン  冷静でなければつとまらないマタドールであるだけに、それがどんなに受け止めきれない事実なのかが伝わってきました。

エバは、きっと自分の生きてきたこれまでの人生を諦めながらも納得していなかった。それがエリオに再会したことでやり直せる、やり直したいと考えたのだろうと思わされました。言い訳を並べ立てながら、許されたいと願っている。それを受け止めてほしいと切望している。そういう一種狡さを正直にぶつけることで、エリオに思いが届いたのでしょう。

れいちゃんとまどかちゃん、しっくりでした。

今回はこの二人の並びを見たいというのが一番の目的でしたが、思った以上によかったです。次の大劇場作品が本当に楽しみになりました。


他の出演者ではまず高翔さんに驚き!最近宙組のすっしーさんは女性役を見慣れていましたが、高翔さんの娘役って私は記憶にない気が…エバの母親とのケンカは大迫力でしたね~


それからアルバロ役の高峰潤くん。え?だれ?大きな意志の強そうな目が印象的。99期なんだ!失礼ながら全くのノーチェック。アルバロと言えば、雪組では翔ちゃん、その前の花組ではまっつーが演じた、めっちゃいい役。え?突然の注目株ってこと?


音くりちゃん、アウグストゥスに次いで清楚なお嬢様でしたね。それでもってすごくいい人。自分との結婚を断りにきたエリオを思いやり、「あんなに嘘偽り無く自分をさらけ出して、苦しいでしょうね」と涙ぐむ。こんないい子を泣かせてどうするんだよ?傷心の彼女にフェリーぺ(優波)が、「今すぐにはムリかもしれないけど私のところにきていただけませんか?(中略)あなたが漂うことのできる風や林があります。」と声をかけるのにも泣けます。幸せになってくれるといいなぁ。


そしてひとこのロメロですよ!こんなにお髭が似合うなんて!彼女の演じた中で一番の年長役だと思うんですが、研11、こんな佇まいが似合うようになってきたんですね~。雪組時代はフェリーぺ大尉を颯爽と演じてましたからね。でもこのままオヤジ専科になるのでなく、いずれ間違いなくまんなかに立つ人だということが、この公演通じて際立ってきたと感じました。「エバ・ロメロにならないか?」というエバへのプロポーズは雪組ではなかっですよね?

ロメロがただのヒヒジジィだったらエバに同情もできるんですが、ひとこロメロ、ソフトでいいやつじゃん?だいもんロメロは、(ヒヒジジィではなかったけど)もっと冷たくてけっこうやな感じだったな~笑

これからのひとこに期待大です。おねがい

 

ショーのCool Beastでもひとこに目を奪われました。

元々大人っぽい雰囲気を持っている人だったものの、ともするといぶし銀の方に振れそうな危なげがありましたが、今作はキラキラオーラ全開!このキラキラキラキラを感じるようになると、まんなかも近い!

女装のれいちゃんと旅人ひとこがからむシーンでは、切なさが表情に溢れていて胸をぎゅっとつかまれるようでした。そしてれいちゃんはアキラが相手のときより余裕の表情だったですね。からかうような焦らすような、さすがトップの貫禄が備わっていました。


あいかわらずしーさんの歌声は癒されますね~

『コルドバ』でもマタドールたちの親方役で、絞めるところは絞め、でも心は広く包み込むような優しさを感じました。研14、、、組長コース?かな…まだまだ活躍してほしいです。


肉の取り合い?の場面では、ほのかちゃんがマイティの役を埋めていて、ダンスとてもよかったです。

圭子さんの歌声はいつも聞き惚れます。安定のうまさと空間を圧する声量に驚くばかり。年齢のことはたいへん失礼ながら50歳前後かと思いますが、この年でこの声はかなりの鍛練をなされているのでしょうね~

声ってトレーニングしてないと、普通は年とるに従って出なくなってくるものです。圭子さんに拮抗する音くりちゃんも大したものですが、彼女はなんと言っても若いのでね~。この二人の歌い合いは聞き応えがありました。失礼ながら(2回目笑)これほんとに宝塚?

歌と言えば、れいちゃん全然危なげなかったですね。初めて聞いた人は(歌がうまいトップさんだなー)と思ったのではないかと。幕開けマイクの具合が良くなくて、ビクッとしましたが、次第に調整されて?安定して音が出るように。まぁこういうことも含め、全ツ会場、器材の件はメンテナンス?なんでしょうか、もう少し丁寧に精密にお願いしたいです。


コロナ前なら各地の名所や名物も楽しみな全ツなんでしょうが、制約が多く精神的にもたいへんだったものと思います。無事に走り抜けられそうで本当に良かったと思います。

次は大劇場でラブラブ