KAAT、6/9(水)1530

3階A席上手にて。友の会の当選です。同級生を誘いました。


Googleのアプリを開いたら、「3年前に訪れた場所です」と表示されて、(はて?3年前…なんだったかな?)と考えながら会場に向かいました。

正確に3年前ではありませんが、どうやら『蘭稜王』のようだと気がついて、もう3年も経つのかと軽い驚き。チケットの発売を次々と追いかけて、抽選の結果を確認して上がったり下がったり、そして観劇を繰り返していると、あっという間に 年月が経っていきますね。オソロシイ…


KAAT、相変わらずの急斜面。高所恐怖症の人には怖い客席です。サイドの席は売ってなかったのかな?半分以上空席でした。

それと、三階席の手すりバー(二階にもあるのかな?)、とても邪魔ですね。舞台が真ん中で上下に切れます。どこに行っても思いますが、劇場の設計って観客の見易さとかは考えられてなさすぎですね。


『ほんものの魔法使』のイメージを、動物に扮した登場人物が活躍するファンタンジーとなんとなく括っていた私は、蘭とむ花組の『サン=テグジュペリ』や、きりやん月組の『薔薇の国の王子』を思い出していて、アカンやつや~(なんで関西弁?w)と覚悟してました。ファンタンジーで動物ときたら、もう眠くなるのは必定で…当時もかなり前の席だったのに、眠気をこらえてた思い出しかない。しかしそれはいい意味で裏切られました。

大きな原因のひとつは縣の好演。もふもふの大型犬らしくて吠え声が実にうまく、動きも軽快。セリフのないときの遊んでいる?様子もつい目をひく芸の細かさを発揮。全編を通じてかなり露出していて、むじゃきさや好ましさやあどけなさやなつっこさを一身に浴びる存在。

犬種としたらグレートピレニーズ(ピレネー犬)なのかな~?



サイズ感はこんな感じ↓
ジェインじゃないけど、もふもふモプシー~おねがい


物語を簡潔に述べれば、「手品を生業とする町に修行でやってきた魔法使いが、異質なものとして排斥される話」なのだが、自分に理解できないものは怖い、だから自分を守るために異質なものを排除しようとするのだという知恵袋アレキサンダー教授(透真)の解説はよくわかったものの、ではどうすべきかとか、何が正解なのかとかは示されてなかったように思う。(私にはくみとれなかった)

アダム(あーさ)も自分を捕らえようとするマジシャンたちに、「ではほしいものをあげよう」と金貨を降らせてその隙に去っていってしまう。ジェイン(ひまり)に指し示したような、世の中は魔法に満ちている。ドングリから芽が出て樫の木になったり、鶏が卵を生んだりするように、自然はほんものの魔法のようなもの。自分には割れた卵を元に戻すことはできても、自然の営みがなにげなくやっているようなことはできないのだ(←大意)ということをマジシャンたちには説いていない。むしろ罰のように金貨を降らせているのはなぜなんだろう?思いがけなくたくさんのお金を得た町の人たちは、もはや働きも努力もせず退屈な日々を送ることになってしまっているらしい。それが罰でなくてなんだろう?アダム(あーさ)を怒らせたからなのか?いや、アダムは怒ってもいなかったようだ。むしろ悲しんでいたかのようだった。それなのにこの結末は!…なんだか(うーん?)という回収で私は消化不良。

脚本以外のところでは、一人一人、着ているものや髪型で一度見ると印象に残りました。下級生までお役がついてみんなが自分をアピールできて、別箱ってこれがいい。ただセリフもなく、立っているだけで(群像のように)、その役の性格を客席にわかるように演ずるのは難易度高いですね~。むしろバタバタしたり、一言でもセリフを放ったほうが、わかり易いのではないかと。中堅雪組生のがんばり、立ち姿から充分届いていました拍手

下級生と言えば華世くん。配役が出た時点から話題になっていた。すごい大抜擢。エキサイターの『変身』の時の衣装みたいで、大きな赤い縁のトンボメガネをかけて、態度もいつもキョドってて(笑)…これだと本人の中身は誰がやっても変わらないな~と。目立つ役だし、他の登場人物よりセリフもずっと多いのに、まぁ却って衣装やキャラの強烈さの影に隠れて緊張しなくていいかもなぁと思いながら見てましたが、物語のラストシーン、ほとんど素で再登場して、これには驚きました。舞台にスッと立ったところがやはり華がありますね!歌唱は今回はありませんでしたが、首席ですからそれなりに穴はないんでしょう。そしてショーの場面でも、あーさの後で三人が出てくるところで、一瞬でしたがスポットを浴びて、、、すぐに後ろに下がったものの、分かりやすく注目されるようになってました。しかしここまでくると、さすがに(やりすぎでは?)という懸念が…せめて新人公演で主役を経てから上げていったほうが、周囲も納得しやすいのではという気がして、先々が逆に心配になってきました。別箱とは言え、研2でこれって、スゴすぎ。ハッキリ『この子』と決めて上げていくやり方なのかもしれませんが、回りはモチベーション下がるんじゃないかと。いずれにしても、劇団のやることで、一ファンに口出しできることではありませんけど、老婆心。本人にとってはチャンスには違いないので、このままスクスクと育っていくなら、まぁご慧眼です。化粧映えもしそうな顔立ちなので、ファンもついて、これから更に目立つポジを与えられて、つまずかず大きく飛躍していくといいですね。

いつも、注目しているあすくん、今回も曲者でした。(笑) 町の要職にあり、家庭では長男偏重の絶対的権力を振り回すイヤな父親。「任せて安心」(なんのキャッチフレーズ笑)
りーしゃ、今作では最長老の役。上級生になったんだなぁ…それにしても金貨が降ってきたとき、(え?あなたも拾うの?)と衝撃的でした。あんなに賢者で、自分の来しかた行く末をわかっていたのに、アダムに「あなたに会えてよかった」と言わせたのに、、、ここは、あの場面では呆然と立ちすくんでいてほしかったかな。

金貨の魅力になんびとも勝てず?だとしたら、アダムがこの町に来て、果たした役割はなんだったのか?疑問の残る結末です。変わったのは仲直りしたジェインと兄ピーターの関係と、ニニアン(華世)の心境だけ?ニニアンはマジシャンもやめちゃってるし…旅立ったあとアダムに巡り会えるのかもわかりませんし。なにもかもとっちらかったまま幕が降りたというところで、、消化不良なの。

脚本(物語)の良し悪しは置いといて、いわゆるモブの衣装と、登場のしかたは秀逸でした。特に動物たち。蜂はコケティッシュだし、鶏はキュート、牛のダンスはもう、カッコ良すぎでした。機械の一部を成すマシンシスターズ(勝手に命名w)は、(アンパンマンみたい)と思いましたが、なんともかわいくて、もっと見たかったかも。このキャラクターマスコットあったら、買います (笑)

アンパンマン かんたんシスターズ
ぷらちゃんとまいちゃん↓



見終わって、いろんなことを考えすぎて頭のなかがグルグルしましたが、脚本もキャストも、まぁこういうのも宝塚の醍醐味には違いない…と、妙に納得させられた力業だったかと。