赤坂ACT、11時公演。
知り合いに取り次ぎをお願いしました。T列(20列)下手だったのですが、なんとここ、最後列。一階でもU列より後ろは観客を入れてませんでした。これでキャパ半分ということか…
頭を左右に動かしても後ろの席の方に影響がないので、気楽と言えば気楽でしたね。
しかし舞台から見ると赤いシートが目立つであろう客席。生徒さんには気の毒です

今回は観られないかもというところで、観劇前にだいぶ皆さんの感想を拝見してましたが、やはり百聞は一見に如かずだと思いました。
一言で言いますと、オーボンヴュータン!そして耽美的。
脚本で一番驚いたのが、れいこラッチマンが「私が(前科12犯の)ラジエンドラです。」という場面が、一幕目のかなり早い時点だったことで、(え?もうここでクライマックスきちゃうの?)とビックリしました。
また一幕でほとんど全ての駒は出揃っていたので、二幕目では何をやるのか?と思いましたが、「7年前のパリ」という、ペペルとの因縁話でした。この展開をじれったく感じるのは、現代の我々の日常がかけ足になってるんでしょう。この話の時代背景はもちろん、作品が書かれた頃も、物語はじっくり進めていくのが常套。時も今よりゆっくり流れていたんでしょうねぇ。電話もメールもSNSもなにもなく、対面で会うだけが全てだった濃い時代。「すれ違い」にドラマも生まれるわけで。
もう一つあらすじを読んだだけではわからなかったのが、もっとグシャグシャドロドロの愛憎劇かと思っていましたが、読後感は案外アッサリでした。遠い外国の、遠い時代の、交わることのない人たちの話と突き放して見ていたせいと、もう一つはそこここに愛すべき人間の性(さが)みたいな面白味を盛り込んでいたためだと思われます。都さんアルマのことなかれ主義、効を焦って先走るおもしろさの礼華ジャスビル、華蘭ちゃんのチャンドラの達者さ、梨花さんインディラのあきれるほどの王族のご都合主義、どれもこれも人間の「あるある」を際立たせてくれていて、ところどころでちょっとクスッと笑えました。おだちんクリスナは、非常に穏やかな(無害な?)人物で、従姉妹のうみちゃんカルマ姫のよき理解者のようでしたが、かなり優柔不断で、何事にも逆らわず、何事も決めず、流れるままに生きてきた感じ。彼女はいろんな色を出せるんだなーと思いました。梅芸ではぺルル役とのこと。全く真逆の、あくの強いこずるいシニカルな詐欺師を、きっとうまく演じるんでしょうねぇ。
そしてれいこさんの美しさたるや!他を圧する美貌
プロローグの黒の燕尾服に真っ白のターバン、華麗な刺繍のほどこされた白い軍服に白いターバン。もうため息しか出ません。「あなたの軍服を愛したのです」というカマラの虚言すらも頷けるほど。そうでしょう、そうでしょう。制服着ると、男性は男前度が何割増しか上がりますしね。

長い髪をターバンからこぼすように巻いていた時もありましたが、あれはも~う、ほんとうに色気全開。犯罪ものです。(普通は髪は全てターバンの中にまとめるものだそうです)見てられない。でも指の間から見ちゃう、みたいな?(笑)
カマラを見据えながらターバンをほどく時も、冷たい流し目にゾクゾクします。あの大きな目に笑いがない時は、動けなくなってしまうかも。いや、私を見てはいないです、わかってます。(^^;
それにしても惜しいと感じたのは、ラッチマンとカマラが愛し合うようになった、ひと夏のあまい恋の部分がえがかれてないことで、欲をいえば二人の幸せな時間を見たかったですね~。ラジエンドラと偽ってからの、「取引」としての痛々しいほどの愛の駆け引きでなく、ただただあまい二人の雰囲気も想像するだけでなく見てみたかったわ。それがあってカマラの、裏切られた、騙されたという恨み憎しみもあるわけですからね。
ありちゃんは、登場するときいつも一人で歌って出てくるのが印象的(笑)。 歌唱もいいし、ダンスはうまいし、さすが首席。背は高いし、ビジュアルもgoodだし、何もかも揃っているのですけど、、、(好みでしょうが)かわい過ぎる。フェアリー系とでもいうんですかね?こういう海千山千の詐欺師を演じるのはなかなか難しそうですよねー。悪者に見えないんだもの。トップとしたら、龍真咲路線をいくんですかね?そう言えば演じてみたい実在の人物というのを、織田信長と言ってましたね。(新人公演で既に演っちゃったらしいw)まさしく龍真咲が退団公演で演じてましたね。ああいう酷薄でもあり野卑でもあるシャープな雰囲気ってイメージじゃないけど、、、無いものに憧れるってことなのかな?
そしてうみちゃん、充実ですね。場所が赤坂ACTというせいもありますが、97期同期のしろきみちゃんがヒロインだった花組の「花より男子」がしきりに思い出されて、これを最後に卒業してしまうのではないかと、イヤな予感がします。
れいこさんが近い将来トップになるのは確定の気がしますが、相手役がまだ想像できませんね。でも現トップの退団が決まっている今、次期体制の発表も秒読み。みんながいいふうにはいかないのは常ですが、がんばっている娘役さんには報われてほしいと思います。
作品全体の仕上がりとしては、キャストの魅力も相まって、なかなかによかったです。
一つだけ脚本に突っ込み入れてもいいですかね?
男性と女性、どちらがこだわりが強くないかというと、私は女性だと思ってて。というのは、女性は結婚や出産や夫の仕事の都合で、自分の人生をむりやり変えなければならないステージにたびたび立たされる。その都度変化に対応して生きなければならないし、人間関係をまるごと作り直さなければならないこともある。だから変化に強いし、置かれた場所で楽しみを見つけるのに長けているもの。また現実的で、過去にとらわれないのも女性の特徴かと。離婚しても立ち直りの早いのは女性のほうだし、死別すると元気になったりする(それは意味が違うかもしれないけどw)
ラッチマンがカマラの元を去り、それをカマラが捜し続ける、というのは(残念ながら…)「男性目線の夢」だと思います、菊田先生。
ただれいこラッチマンなら、捜す価値はあるかも
