11時公演。今日は18列上手でした。前の席のかたはとても小柄な女性で、頭がかぶることはほとんどなく、ストレスなく見られました。こればっかりはその時の運ですよね。

友の会の優先公演だったそうで、、何が違うかと言えば、コロナ禍の中ではほぼ特別なものはないです。抽選も舞台挨拶もありませんしね。チケットがセンターのみならず上手や下手まで配席されるので、数が多い反面、端っこになる可能性も増えるくらいでしょうか?あとは劇中のどこかに、「友の会」を盛り込んだセリフがアドリブで入るのが楽しみですね。
コロナの陽性者もどんどん増えてきて、300-400超えの数に耳タコの東京都民と言えども、更に用心を考えて行動するこの頃。心なしか、幕間のおしゃべりが少なかったような?いつもに増して一人客が多いような感じで、たまにしゃべっている人がいると目立つほど。それに私の隣もですが、若干空き席がありました。11月中は売りきれてるはずなので、何かの事情で観劇を控えたかたもいたのかも。
大劇場のアナスタシアが販売に苦戦しているようですが、(なんと売り切れ必至の次の雪組との抱き合わせ販売まで始まりましたびっくり)首都圏のファンは肝がすわっている、というか?

ドラマや映画って見終わったあとなにを感じるかってけっこうだいじだと思うのですが、メッセージ性が強いとすごく心を動かされたり、娯楽大作だと楽しくて心踊ったり、重いテーマだと考えこんだり。それにはやっぱり、登場人物(の誰か)に気持ちが同調できるところがないと難しいと思ってます。
「ピガール狂想曲」を見終わったあと、今の月組にぴったりのステキな作品だったな、所々で笑いも起きて楽しく見られたなとは思いました。ただ登場人物(の誰か)に気持ちが寄り添えたかというと、それはちょっと突っ込みどころがいっぱいあって。(笑)

ひいきのスターさんがいる場合は、脚本の瑕疵なんてまったく問題にならなくて、とにかくひいきのかたがたくさん見られればいいのですが、そうでない場合は脚本演出の良し悪しがすごく感想を左右します。

ガブリエルには始めのうちは一番共感できたんですが、途中からあれ?なんかおかしな具合になってきてないか?と 。100歩譲って、女性なのに男装をしている人を見抜けないとしても、突然現れた本当の男性(兄)の方に急になびいてしまうのは全く理解できない。今まであなたが好意を抱いていたのは、男装の女性の方だったはずよ?何日も一緒に過ごしていて、別人だって気がつかないのは、そりゃあなた、いかにも不自然では?別の人とわかって、そして恋に落ちるとしても、いくらなんでも急展開過ぎません?しかもジャン(ジャンヌ)に求婚されたと思ったままですよね?それが物語と言えば物語なんでしょうけど、あまりに現実味がなくてストンと腑に落ちないんですよね~えー

ビクトールの方は、「パリに心から愛した人がいて、女の子が生まれたそうだ」という話も、「その妹を探しだして、自分が相続した資産の半分を分け与えることが、父の手向けになる」というセリフも、まったくうさんくさくて。ふつう父親に、自分の母親ではない女性との間に子どもがいるということは、かなりショッキングな出来事だと思うし、よしんば母親が彼を産んですぐに亡くなっていたとしても、財産があればあるほど腹違いのきょうだいの存在はうっとうしいもののはず。さすがにいい人過ぎるでしょ。

残念ながら?一番リアリティがあったのがウィリー。女性から見て最低の男だとは思いますが、いるいる、こういう人の褌で相撲をとって、あまつさえ威張っている男。それでもって調子がよくて、偽りの愛のセリフをはいてとりいろうとしたり、一転嵩にかかって怒鳴ったり。最後には容赦なく叩きのめされることになる典型的なダメダメ男。リアリティはあったけど、全然共感はできないので、ちなつさんの熱演はとてもよかったものの、この人に感情移入できるかというとそこはムリ(笑)。それにしても、抜群の間(ま)と顔芸だったわ。ウィリーもあの調子の良さで、またすぐに別の女性を落としているんだろうな。

シャルルは子どもの頃にえがいていた夢を紡ぐ劇場を作り上げた成功者で、興業の失敗がありながらも再び出演者たちと共に進んでいこうという大団円だったが、そこにジャンヌが寄り添うというのには、え?なんでそこに急にジャンヌが?みたいな唐突感が否めなかった気がする。ジャンヌはシャルルに憧れていたふうがあったけれど、シャルルの方はいつジャンヌを伴侶と意識したの?

ただまぁ、心の中でツッコミながらもそれも楽しく見られましたね。それがこの作品のいいところなんだと思います。誰も不幸にならない、誰も真の悪人がいない。
どうだった?と聞かれたら、楽しかったと答えられる。自分の周囲には起こりそうにもない荒唐無稽の話だからこそ、ただ心かるく楽しんで見られるってことなのかも。