だいもんの表紙のananの予告が世に出回ってから10日ほど。万が一にも買いそびれてはいけないと思い、楽天ブックスで予約して今日の発売日を待ちました。
仕事から帰ってくると家に封筒が待っていて、そーっと封を切るとだいもんの姿がとびこんできて。
ページを繰るのがもどかしいような、もったいないような。全ての登場スターのインタビュートップに、我らがだいもんの、肩越しに振り返った写真が載っていて。はぁ、もう…とりあえず一度本を閉じて深呼吸。そしてあらためて、だいじにページをめくって記事を一気に読みました。
まじめなだいもんの、静かな熱い情熱が伝わってくる内容でした。

私が彼女を意識したのは、蘭寿さんトップの時の「ファントム」。元々観劇にのめりこむきっかけが宙組大空さん始まりの私は、二番手の蘭寿さんが花組でトップになったのを追って花組を見に行き、そこで初めてだいもんを知ったようなわけで。彼女の歌に注目するようになったのはショー「Mr.Swing」の一場面でのソロ(マスカレード)を聞いたときから。CDを買ってだいもんの歌だけリピートして聞いた。あの頃はだいもんの歌をピックアップしたCDはまだなかったから。今振り返ればむしろ信じられないような話だが、彼女はあまり華々しい起用のされかたをしてこなかった。同期の明日海りおのように、若い学年から抜擢に次ぐ抜擢を受けてきたわけでは決してなかった。どちらかと言えば冷たい美人顔で、パッと人の目を引く華やかさではなかったから?でも着実にステップアップを重ねて、揺るぎのない地位に立った人。記事で語られる言葉の一つ一つに、彼女が時間をかけてつかんできた感性がにじみ出ていて、なんどもなんども読み返した。
私ごときの文章力ではこの記事のすばらしさを表現するのは身に余る。どうかまだ手に取っていない皆さん、今からコンビニに走ってください。そして自分の目で、だいもんの言葉を読んでください。

本来なら今年の秋で宝塚を卒業するはずだったのが、思いがけないコロナ禍で先が見えないことになり、自分自身も落ち着かない気持ちではいると思う。でも組のトップとして、エンタメを愛する演劇人として、もっと大所高所から今の状況を見ているのはまちがいない。

エンタメの表に立つ人は、劇場などの箱はもちろん、脚本家や音楽家、舞台衣装や大道具小道具、照明、音響などの上演に連なるスタッフの皆さんの生活にもある意味責任がある。彼らが舞台に立たないと、生活に響く人たちがおそろしく大勢いる。人は一人で生きているのではないのだ。社会は有機的に繋がっていることを、今回のことで思い知らされた。
そしてエンタメは「不要不急」という大義名分の元に一番早く幕を下ろさざるを得なかったが、決して「不要」ではないのだ。人は確かにパンがなければ生きられないが、パンのみにて生きるわけでもない。舞台の真ん中に立つ人は、誰よりもその重みを知っている。どうか彼女が納得のいく形で、ずっと愛してきた宝塚を去ることができるように、劇団さんにはぜひともお願いしたい。

そしてan an、私はこれまで買ったこともなければ、(ごめんなさい)これからも買うような読者層でもないけれど、今回この「エンタメの底力」という特集を刊行してくれたことに心から感謝します。

だいもん、宝塚歌劇団、舞台芸術に携わる皆さん、変わらず応援していきますねっ (p^-^)p