ついにこの日が来てしまった。

公式さんの発表をいつもはほとんどノーチェックの私ですが、今回は毎日チェックしていました。もちろん今後の公演のチケットを持っていて、楽しみにしているからです。生徒さんたちの健康は心配ですが、でも観客からうつる可能性は、(ハイタッチや握手等をしなければ)限りなくゼロだと思います。もちろん、生徒さんから観客にうつる可能性もほぼないかも。むしろ移動中や外での食事の際にどこかで感染して持ち帰り、劇団内部で集団感染する可能性の方が高いかと。市中感染が広まった今、いつどこで感染するかわかったもんじゃない。あれだけ密着して熱演し、あの人数が舞台、楽屋でも、稽古中もずっと一緒なわけですから。観客からの感染を案じてよりもむしろ、意義的には学校の休校に近いかな。頃合いの判断だったかと。演じる人も観る人も心配なく楽しめる日が早くくるといいなぁと願います。

さて、そういうわけで奇しくも千秋楽を観劇することになりました。
生協での申し込み。全ての日程に、全ての席種で申し込んで一つだけ当選。ヅカ友を誘っての観劇です。

今さらですが、観劇って1人派?複数派?私の場合、とにかく周囲にリアルなヅカ好きが見つからなかったのと、加えてチケットが複数枚とりにくい問題で、長いこと1人派でした。でも、劇場でみなさんがお友だちと来ているのを見て、羨ましく思ってました。観劇前でも後でも、ヅカ話をしたいじゃないですか。今観た舞台の話でも、(禁忌のw)人事の話でも、言葉の通じる相手(笑)と分かち合えたら楽しいですよね?ここ一年ほどで、お誘いできるお友だちと知り合えて、(思えばほとんどのチケットを私が確保してるんですが、)それを差し引いても、いっしょに観劇できたり、情報交換をできる相手がいることがとてもうれしいです。それにお誘いしたとき、即答で「行く!」って言ってもらえるのもうれしいですよね。ありがちなのが「行ってみたいなぁ、今度誘ってね」と振っておきながら、いざお誘いすると「予定があって無理」というパターン。いや、3、4ヶ月先ですよ?どんな予定が?観劇に合わせて予定を調整するのがヅカファン心得第一条ですよね(笑)何度も断られましたよ。貴重なチケットなのに。確保するのにどれだけ労力を注いだことか…なので私も声をかけていただいた時は、観劇がかぶっていない限り(実はその可能性が最も高いw)即答で行くことにしています。

それでやっと本題。
「出島小宇宙戦争」最後の観劇となりました。ほんとに恵まれてました。梅田で自力(友の会)と、会チケのキャンセルで二回。東京で会チケ、と自力(生協)で二回。もちろんはじめからこの回数を観ようと思っていたわけではなくて、できたらシェアしたいと思いますが、はずれてしまうことを考えるといくつも申し込みしますし、締切や当選発表の時期が微妙に重なったりしてしまうために、ダブるときはだぶってしまう…こういうチケットを定価で安全に譲れる手段がもっと成熟するといいなと思います。高額転売もなく、転売詐欺もなく。

今日は3階、上手。段々舞台が遠くなるわ~



これちょっとお借りしました(*^^*)
ちなつさんの魅力をお伝えしたくて。私のつたない文章でなく、写真は雄弁なので。うみちゃんの、この目線がいいなぁ。

まずは前回の振り返り。
前回、「リンゾウの持ってる地図はどんなもの?」と、ワタクシとぼけたことを言いました。それは劇中でシーボルトによってピラ~ンと披露されてましたね。北海道と樺太の地図。なんでこんなところ見逃してたのか?ほんと不注意( ´△`)で、面目ございません。
この地図をめぐる登場人物の思惑があれこれ過ぎて、今思うにモヤモヤしてたのは、「リンゾウの地図が何か?」じゃなくて、リンゾウがなぜ2枚の地図を手にいれることにこだわるのか?が腑に落ちなかったのかもしれない。カゲヤスは本来の持ち主たる師匠のタダタカに返したくて、カグヤはタダタカの残した手紙を完成させたくて、ヌイノスケは自分の出世のために。そしてリンゾウの目的は?今後の日本を支える(つくる)人々を教育するために、日本のカタチを正確につかもうとしていたということなの?短い劇中に詰め込むにはあまりに大きすぎる夢だったのか?もっとも全ては、私の理解力が及ばないだけなのかもしれませんね。

筋書きはあまり深く考え込まないで、時空や時間を行き来する非日常感や、カラフルな衣装や、登場人物の多彩さを楽しむのもありなんでしょうね。

以下思いつくままに。

ゆりやさん演ずる役人のタダアキラが一本筋が通っていたのが、印象に残りました。「いっしょにこれからの日本をつくっていかないか」のようなことを言われて、少し心は揺れるものの、「私はこのようにしか生きられないのだ」と苦しげに吐露するのが、過渡期に生きる人の判断の難しさを表していて胸をつかれました。もちろん時代の変わるときに、突き破っていく勇気も必要。でも、今手元の暮らしを守ることも必要で、ゆりやさんタダアキラはその中で懸命にもがいていた。こういう人の方がおそらく大多数で、私もまた凡人だからこそ、心にしみました。

ありちゃんはちなつさんの兄弟子という設定で、ちなつさんの静に対して動の役割を担っていたかと思うのですが、学年差もありますし、この勢いのいいのもまた若そうに見えたし、立ち位置が難しかったでしょうね。兄じゃなくて弟じゃだめだったの??お顔がベビーフェイスなので、荒っぽい役をやっても(かわいいな~)と思ってしまいます。

ゆのちゃんは大劇場公演でも抜擢が続き、もうすっかり月組のスターの1人ですがまだ新公学年。うっかりするとそれを忘れてしまいそうな貫禄で驚くばかりです。シーボルトは突出したキャラなので、作りやすかったのではないかと思いますが、それにしてもすごい度胸です。陰で努力しているんだろうな。

くらげちゃん、ちょっと寂しげで大人びてて今の娘役のトレンドからははずれてしまっているのでしょうが、こういう上手い役者がもっと活躍できることを期待します。

エドミ、エドハル、エドゾウ(さちかさん、春海さん、佳城さん)の三人は、観客の拍手を競うかのように客席と一体感があって、舞台を盛り上げてくれて、プロローグからエピローグまでとても楽しかった。

ヌイノスケ英さんは、IAFA新公主演で注目されて、今回もいい役付きで期待大です。歌の上手い方なので、舞台でもっと歌唱を披露する場面があればよかったな。

チョウエイ彩音さんは初めて意識しましたが、美しい方ですね。和服がとても似合っていました。これからも注目して観たいです。

蘭世くん、いや、惠翔ちゃんですか。まだつい男役の扮装の写真を探してしまいますが、くるっと目が大きくてかわいいですね。今回はシーボルトの手下?(奥さんなの?)でなんか腕っぷし強そうな役でしたが、かわいいだけでないのが元男役の本領発揮というところだったかと。

今日も空席が目立ちました。いよいよ明日から前例のない長期の休み。生徒さんたちもゆっくり体を休めて免疫力をつけてほしいです。

幕がいったん降りた後、るうさんのご挨拶ではコロナの影響で今日が最後となったこと、おおぜいのお客さんが足をはこんでくれたことへの感謝、4月末からの大劇場公演での月組生の成長を見に来てほしいこと等が語られ、梨花さんへの感謝のあと、ちなつさんを「東上初主演のクールビューティー」と紹介しました。少しだけ照れて、(でも必要以上には照れないのもかっこよくて)一歩前に出たちなつさんは、「おかげさまで全員揃って今日まで舞台に立つことができました。明日の公演、そして千秋楽も観劇を楽しみにしてくださっていたお客様もいるかと思うと残念だけれど、私たちは定められたことのなかで、それぞれにできることを一生懸命やっていこうではありませんか!なんか演説みたいになっちゃった。」なんていう挨拶がほのぼのしました。るうさんもちなつさんも今日の2回目の公演に、「千秋楽」という言葉は使いませんでした。突然の打ちきりで無事に迎えることがかなわなかった「千秋楽」。実質の千秋楽となった今日の舞台にその言葉を使わなかったことが、舞台役者としての矜持に思えました。スタンディングオベレーションに応えて1人で幕の前に出てきたちなつさんは、「(千秋楽恒例の)月組ジャンプはみなさんの安全を考えて今日はやめにします。おうちに帰ってやってください。私も家でやろうと思います。一日も早くみなさんがこころおきなく舞台を楽しんでいただける日がきますように」と挨拶して下手に去っていき、最後に奥に入る前に、両手でひとつ投げキッス。歓声に応えてもう一つ投げキッスをして袖に消えました。最後の最後までかっこいい去りかたでした。
ちなつさんが真ん中の舞台をもっと観たい!という気持ちが一層強くなりました。