
劇場の入口の柱に主要四人の大きなサイン入りのポスターが貼ってあり、帝劇みたいでした。いざ、初の梅芸です。
オジーを演じた風間くんのところにちなつさん、ピットキン教授(まゆぽん)に専科の英真さん、ルーシーに役変わりでくらげちゃん。作品のグレードアップ期待大です。クレアは蓮くんから夢奈くんとくらげちゃんの役替わりにチェンジ。
こういう軽快な作品でのちなつさんを、意識して観るのははじめて。前回のカサノヴァでコンデュルメル夫人の切ない生きざまを演じていたちなつさんから、今回はどんなふうに転身してるのか…芸達者の彼女のこと、容易に想像できるようで…、現実には観るまで予測不可能。あー、楽しみでしかたない。
ちなつさんは第一声目からちなつさんでした。パンチのきいたセリフまわし、くるくる変わる表情、そして名乗りでかっこうをつけるポーズをゲーリーに伝授する、毎回のアドリブのシーンまで一つ一つが緻密に演じられてました。恋人のクレア役の夢奈くんとの掛け合いも、恋多き女性をアバンチュールに誘う目つきが危険すぎて、(そりゃすぐにおちるわ)と思いながらニヤニヤしてました。ピットキンの登場に慌てるちなつさんの間男ぶりも新鮮でした。
前回も同役だった白雪さんの安定感は抜群だったし、チップを演じたありちゃんの芝居の巧さが増し、さくらちゃんが自信に満ちて輝いていました。
もちろん、じゅんこさん英真さんの重石たるや場面を締めており、(まゆぽん輝月もよかったですが)キャリアなりの説得力がありました。くらげちゃんはクレアを役替わりとのことですので、今回は本人とはおよそわからないような扮装のルーシー役でしたが、突き抜けかたに覚悟を感じました。最後のショーでは黒いドレスに身を包み流れるように美しいダンスを披露していて、前作をケガでショーを休演していただけに感無量でした。関西のみの公演なので、このあと役替わりは見られないのですが、彼女のクレアはきっとカンペキでしょう。
前回も思いましたが、ゆりさん今回も警官役でもったいなさ過ぎました。クレア役でもよかったのではくらいに思いますが、あそこはもっと学年の若い男役の挑戦 なのでしょうか。ビミョウな学年となって、今後の組での立ち位置がなんとも気になる状況です。
フィナーレのショーはもう、ちなつさんの魅力全開でした。ありちゃんのフライパンを叩きながら踊る楽しい幕開けのあと、階段を降りてくる緑色のラテン風の衣装を着たちなつさんの影に既にしびれてました。(早)ライトが当たると、色気ダダ漏れの姿態にノックアウト。釘付けでした。もちろん、隣に立ってたゆりさんもロックオンしましたとも!
黒の変わりタキシードでの男役の群舞は、始まりは艶っぽくて、後半になってオラオラ感が増し、二手に別れて左右のグループが交互に踊る場面では、踊ってない方の後ろ姿がジンとするほどかっこよく、拳を振り上げながらたまきちの周りを回るところはエリザベートのダンスを思い出させる振りで、男役の群舞のいいところがたっぷり詰まったフィナーレでした。ゆりさんと対称位置に立つ夢奈君の、女性のままの化粧が中性的な魅力がありました。
最後の階段降りでたまきちが挨拶したあとは、ちなつさんやありちゃんも含めて、わぁ~っと生徒さんが客席に降りてきてくれて、かなり長い間通路で踊ったりハイタッチしてくれてりして最後までテンション上がりました。(^^)d
12時公演と16時半公演、二回続けて観ましたが、本当にあっという間、さまざまな場面で笑いがおきて、楽しい公演でした。
時代背景とか、艦船の一時帰港による時間の限られた休暇であることとか、単なるコメディには終わらないメッセージ性もなくはないのですが、どんな状況でも男女はアバンチュールを求め、若者は冒険を楽しみ、希望を見いだすものだみたいな、極めて人間臭い作品として等身大の芝居を楽しんでいいのかな、という気がしました。ちなみにコニーアイランドに向かう途中の心象風景?みたいな筋書きと関係のないシーン(特にリングに見立てた?)赤いロープを張り巡らせ、たまきちとさくさくが闘うような場面は、スミマセン、今回も何が言いたいのか意味が不明でした。
実は今回の観劇は30年ぶりの同級会を兼ねてました。宝塚はじめての方も「とても楽しかった~」とのことで、私も自分が誉められたように嬉しくなりました。
劇場内で「リピーターチケット」というものも売っていることが繰り返し放送され、「ドクトルジバゴ」「蘭稜王」以来、売れ残りのチケットがあることを知らされました。楽しめる作品であるのに残念です。
お近くの方は羨ましい。新幹線に乗れば東京から二時間半とはいえ、やはり往復の切符代を含めた観劇は高くつきますので、そうおいそれとは行けないですね。あいかわらずチケット難の東京公演にトライし続けるのが現実です。
最近あんまりとれなすぎて、チケットをとる努力自体に嫌気がさしてくることもあります。人気があるのが嬉しい半面、チケットがとれないのはもどかしくて、まったく痛し痒しというところです。