NHK青山の観劇付きの講義での、今日は初見です。下手10列目、かなり中央通路寄り、とても観やすい席でした。しかも幕間後から前の席の男性が退席された為、すごく見通しが良くなってラッキーでした。
今日は(平日なのに?)50代以上の男性が多かったな。地方からの団体客もいたようでした。それと女子高生の団体さん。いわゆるトビアス席に集団で座ってました。お兄様にやられた人はどのくらいいたのか気になります(笑)

さて「霧深きエルベのほとり」ですが、一言で言って、泣かされました。
今回は講義も聞いていたので、(ハイハイ、ベタなロマンスなのね)って、わかったようなつもりで観ていましたが、カールが悪ぶってマルギットをわざとふったところでは切なくてほろっとしましたし、ベロニカに一人酒場で独白をする場面では、あちこちからすすり泣きが聞こえて、私も思わずハンカチをさぐりました。
王道のラブロマンス、思いがけず?よかったです。二人が出会ったはじめ頃の紅さんの大げさすぎる顔芸や、しゃべりすぎな感じのセリフまわしは若干鼻につきましたが、これも武骨に見えるカールの、心の底に隠された繊細さを隠すための後半に繋がっていく演技だったと思えて、なかなかの演出でした。もっとも演出家のセンセーの手を離れて、すっかり紅モードになってたかもしれませんが(笑)  マルギットと別れてからの演技はややオーバーではありましたが、魂を込めて演じているのが感じられ、紅ワールドに引き込まれました。

もうひとつの感想としては、二番手っておいしい役ですね~(^ー^)
水夫と上流階級の人間という立ち位置でも、カールにはだいぶ不利なかんじ(身なりだけでも一分の隙もないスマートさ)。そのうえ、言うことがまた、かっこ良過ぎ。「君が幸せなら僕もうれしい」なんて、聞いたことあります?(笑)これでまたこっちゃんのファンが増えたことは間違いない。
ところでまったく個人的な好みの問題ですが、実は私はこっちゃんがやや苦手。歌も踊りも芝居も首席の名に恥じない実力で、口跡も鮮やかで聞き取れない台詞が全くない。充実の時を迎えてますね。遠くない将来トップになることは確かだと感じられます。実力派の演者が好きで、こっちゃんの存在感も充分認めてますが、ならばどうして彼女が苦手なのか?長いこと我ながら不思議に感じてましたが、今日それらしい答えを「フロリアン」というフィルターを通して、一つ見つけたような気がします。もしかすると優等生過ぎるのかもしれません。はずれたところや欠けたところに魅力があることもあります。そういう欠点?ともいえる所に、人は深みを感じて惹き付けられることもあるのではと思います。彼女はいわば完璧過ぎて、傷や痛みや影を演ずるには若さ故にまだ経験が浅い。もちろん何もしないで今の力を得たわけではなくて、たくさん努力をしているのでしょうから、このあとも進化していくと思います。その中で今、「完璧過ぎる故に欠けている」(というパラドックス的な何か)を掴むこともあるでしょう。その時の彼女を期待して待ちたいと思います。

そして今公演で卒業のかいちゃん。主役二人のうまくいかない恋の一方で、もう一つの恋の物語を紡いでいて、幸せそうでした。かいちゃんの未来に幸多かれ!

せおっちやまおくんもそれぞれに役作りが緻密にされていて、見ごたえがありました。客席まで巻き込んだカールとマルギットの捜索場面も、今の星組らしい楽しさでした。

星組で注目しているのは天寿さんですが、最近はおじ様の役が多くなりました。学年的に「愉快な仲間たち」には入らなくなって、ちょっとさみしいです。なにしろ演者は若い女性なわけですから、誰にでもできるというものではないので重要な役どころです。芸達者ですよね。ただこういう役が増えてくると、段々とお別れの時が近づいているのかもしれないと思うと、かなしくてたまらないです。

英真さんのベロニカ、一樹さんのヨセフ、どちらもさすがの仕上がりでした。じゅんこさんの女役は滅多に見られないですが、酒場の女主人、はまってました。

ヨーニー役の天飛君、いつも肩をいからせて、しゃべるときは思いきり大声で、客席の笑いをさらってました。誇張した演技で一本調子になるところでしたが、出番の加減が絶妙で鼻にもつかず、でも強烈なアピールをしたと思います。この次はまた別の彼女を見るのが楽しみです。

ショーはここまで見聞きした範囲ではあまり好意的な批評はなかったのですが、私は悪くないと思いました。曰く「とっちらかっている」「何を観ているのかわからなくなってきた」
私はあまり分析しながら観る方ではなく、楽しければいいと思うので、今回は耳に馴染みの曲も多く、一場面一場面色合いも変り、わぁーと思っているうちに終わってしまいました。wwただ、こっちゃんの出番多すぎ(^^;    これ、こっちゃんが主演で全国回るんだよね?いったい彼女の役を誰がやるの?と思わされました。愛ちゃん?イヤ、まさかね。かなり出番を変えないとムリちゃう?(笑)
星組久々の黒燕尾、「情熱大陸」よかったです。天寿さんばかり見てしまいました。芝居でキレモノの刑事を演じて表情を抑えていた分、彼女らしいあまやかさや色気が見られてうっとりしました。

芝居でもショーでも客席降りがあって、いかにもエンターテイメントという公演でした。

阪急交通社でとれてる分、今日を観てからキャンセルするかどうか決めようと思ってましたが、キャンセルするのはやめます。やはりもう1回は観たいとは思える作品でした。

余談
とうこさんとちえさんがSS席に来てました。客席のザワツキ、ハンパなかったです。