とある生徒さんの取次で一階10番台下手で妹と観劇。
私自身エリザベートは花、宙についで3作め。今回はちゃぴの退団公演で本人の希望の演目だとのこと。私が劇場に通い始めてから、変わってないトップさんはもはやちゃぴだけになったな~と、しみじみ。ちゃぴの大劇場作品は全て見てきただけに感慨深い。そして最後に選んだのが、やっぱりエリザベートなのね~。
娘役としては、コスチューム物で衣装も華やかだし、朗々と歌い上げる楽曲も、トップならではの堂々たる見せ場。卒業作品としてはふさわしい大作よね。
でもね➰好き嫌いもあると思うけど、私としては正直微妙…何が微妙かというと、エリザベートという素材に尽きるのかな。この人に1ミリも共感できないのよ。妻としても、母としても、責任ある立場にある社会人としても。そもそも自由に生きたいなら、皇帝の妻になるべきではなかった。皇后として贅沢三昧に暮しつつ、自由を謳歌したいなんて、そりゃ-あなた、只のワガママ。子育てを自分の手に取り戻したいと渇望していたわりには、長男ルドルフは放置。病院を回るという謎のボランティア活動で宮殿を留守にしていた間に、取り返しのつかない皇太子の暴走と、あげくに自殺。よそ様のお世話をやくより先に、まずは自分の子どもを全うな人間に育てようか、と突っ込みたくなるヤツですね。夫も息子も、求めてくれていたのにそれには目もくれず、いったい彼女は何を得たかったのですかね?美貌を保つことと、自分勝手に出歩くこと…?人間はいずれ老いて死ぬのに、誰もそれに抗うことなどできないのに…あ、だから、「死」に惹かれたのかしら?永遠に衰えない若さと美貌を得るために…?

エリザベートだけでなく、この作品に出ている主な登場人物は常軌を逸した人たちばかり。狂人ルキーニは言うに及ばず、フランツもマザコンだし、ゾフィも絵に描いたような意地悪な姑。登場人物に共感できる点が何もないのが辛い。こんなクセだらけの人物を感じるには、自分をどこに置けばいいんだろう。悩む。
後世から見て一人まともに見える薄幸の皇太子ルドルフは、この強烈なキャラの人達に囲まれると、あまりにも影薄過ぎ。

というわけで、将来はまたわからないが、今の時点では私にとってエリザベートは楽曲だけを聴き、華やかな衣装を楽しむ作品と割りきって観ることにしている。登場人物になにがしでも共感を寄せられない作品は、評価が難しい。批判的な考えばかりが渦巻いてしまうから。
しかしそのマイナスな考えを忍んでも尚、魅力のある作品だというのはすごいことだわ。

それで今回の衣装だが、なんだろう孔雀?緑と金と黒…鳥類を思わせる衣装は、個人的にNG。宙組の時の衣装の色味の方が無機質で好みだったかも。あくまで好みですけどね。
それとたまきちの鬘…。長髪より短髪が絶対似合う。バッディかっこよかったもの。トートは長髪のイメージなんだろうけど、たまきちに限っては短髪でやってみたらどうだったかな~?ますます元気に見えちゃうか~⤵️あの体躯に長髪だと、体格の良さが際立って、同じ「死の怖さ」でもおそろしくて怯えるというより、でかくて怖い?みたい。まぁ、その物理的な大きさというのも、心理的な「死の恐怖」とかぶるのかな~?みりおの演ずるトートの怖さはまた、別物だったわ。孤独の織り成す冷たさだったかな…

あと一回見る予定なので、個々の演者感想はまたそのときに。