3/12(木)、1300公演をシアタークリエにて拝見。
10列目上手にて。
ポスターはこちら

主人公の双子がダブルキャストで、今回は渡邉蒼✕島太星で拝見しました。島太星は一昨年の「フランケンシュタイン」で見たことがありますが、まず初見と言っていい感じです。
渡邉蒼さんは、なんと21歳!子役出身ということで、キャリアは長いかたのようです。私は初見。
そしてこの作品を観てみようかと思った一番のモチベーションはやはり、とうこさんとあさこさんですね。あさこさんは、実見するのははじめて。私が宝塚にはまるほんの少し前に退団されていて、残念ながらのすれ違いでした。私には大空さんと同期という縁での印象が強いかたです。
さてどんな話なのか?
公式からストーリーを貼りますね。

子だくさんのジョンストン家のお母さんがとうこさん、子どもをもらい受けた裕福なライオンズ夫人があさこさん。
知っている方も多いと思いますが、あさこさんは現実に二人の養子を得て育てている人なので、はじめは見ているこっちのほうが気をつかってドギマギしてしまいました。もっともあさこさんは厳しい審査を経て正式な手続きの元にお子さんを手元で育てているので、この話のライオンズ夫人のように、夫の長期出張中にナイショで自分が産んだことにして自分ちの籍に入れてしまったわけではないですから大いに違いますけど。
二つの違和感
「謎の男」的な狂言回し役が出ているのですが、この人がテーマソングのように歌う中に「うり二つ」という言葉が出てきます。始まってすぐの違和感は、別の家庭で育てられた双子が環境の違いくらいではあり得ないくらい、似てないことですね(笑)。「うり二つ」と繰り返す呪文に、気持ちを寄せようと頑張りながら舞台を注視しました。
二つ目の違和感は、俳優の実年齢と役の上での成長のミスマッチですかね。これはもう上演時間の限られた演劇では方法は二つしかなくて、①無理を承知で同じ俳優に子どもから成人まで通し役をさせるか、②せめて幼年期と青年期以降で俳優を分けるかのどちらかとなります。この作品では同一人物の通し役となり、セリフのなかで何回も自分の年齢を言うことと、衣装の違いとで少年と青年の演じ分けをアピールしていたと思います。かなりムリクリでしたが、子役を使うことによってまるきり別の人物が演じる混乱とどちらがマシか、というところです。下世話な話、それなりに人件費も増えますし。
ざっくりと
フィナーレでの挨拶順と、劇中の露出ぐあいをみるに、ミッキー(渡邉蒼)が僅差で主役、次いでエディ(島太星)、そしてミセスジョンストンが歌唱の多さで目立ちました。それとミッキーとエディの人生の彩りと救いとしてのリンダ(小向なる)、最後にキーパーソンとしてミセスライオンズといった並びで、別軸にナレーター、あらゆるトラブルの起点にミッキーの兄のサミーを配したというキャスティングでした。
ホームページの紹介文では「社会の格差と避けられぬ運命が二人の行く末を容赦なく裁いていく」とあり、社会問題をベースに描いているかのように思われましたが、見終わってみると、社会の格差というよりも時代背景は関係なく人間の弱さが運命を決めたのでは?と感じられました。
最後のミッキーの慟哭は本音の吐露であったのだろうと思われ、同情はするものの共感はできないものでした。(これ言っちゃうと盛大なネタバレとなるので控えます)
出演者ごとに
とうこさんはこういう下層階級の肝っ玉母ちゃん的な役が本当に上手くて、ご本人がアンニュイな雰囲気を持っているし、おそらくケセラセラな生き方を是とするかたではないかと想像するのですが、少し陰のあるそれでいて男前な役がとても似合っていました。歌唱もかなり多くて堪能しました。私自身はとうこさんの退団に間に合ってなくて、初鑑賞が映像での『王家に捧ぐ歌』のアイーダ役でしたので、はじめから女役としてインプットされていまして、退団後の舞台に何の違和感もなく女優として見ているのですが、おそらく宝塚のトップスター時代に出会っていたら、すごく好きなタイプの男役だっただろうなーと思います。
あさこさんは映像では『グレート・ギャツビー』『マジシャンの憂鬱』などを見たことがあり、正統派男役として端正な佇まいではありますが、私にはあまり強いインパクトを残しませんでした。なのでこうしてお金持ちのマダム役でお初にお目にかかっても、女優さんとしてふつうに受け止めています。自ら画策したことなのに、わが子の出自の嘘に揺れ、自身の心的安定すら危ぶまれることになる身勝手で弱い人間を、割に少ない登場シーンのなかで、的確に表現していたかと。歌も歌ってなかったかな?役には自分自身の来し方行く末を重ねていたかもしれないし、少なくとも観客からそういう想像をされることは承知の上で受けた仕事でしょうから、覚悟のようなものを感じますね。このあと、こういう境遇とはまったく違った役を瀬奈じゅんならどう表現するのか、みてみたいものと思わされました。
主役の二人は、コンビで出ていることでどうしても比較にはなりますが、渡邉蒼のほうはほんとうに暑苦しいほどの熱演でした。幼いころからカラオケバトルで鍛えたというだけあって、歌は安定のうまさでしたし、幼年期の演技もあまり違和感なく見られました。一方島太星は、長じてから(大学生以降、特に議員としての佇まい)は上流階級の人間らしくスマートですごく似合っていましたが、幼年期は違和感ありまくり(笑)。背も高いので、半ズボンからニョキっと伸びた足がなんともアンバランス…。逆に、渡邉蒼のほうは幼年期と青年期であまり変えてなかったのかもしれない。たっぱの不足感とやんちゃっぽい見た目で幼年期を乗り切り、そのまんま成長しきれない人間性をその容姿に乗せた感じですかね。大きく変えてないけど年月の経過がふしぎと自然ではありました。
そしてリンダの小向なるさん。このかた『NEXT TO NOMAL』で拝見してます。あの時もなんだか似たような役でした。変化する環境のなかで、唯一まっすぐな光を放つ立場。歌もうまい。ヒロインになれるか?というとビミョウかもしれませんが、重宝される人材であることはまちがいない。どこに置いて何をさせても器用にこなしてくれそうです。
観劇を決める経緯って
観劇を考える場合、だれが出演するのかを見て、どんなあらすじなのかを読んで、劇場とチケット代金を見比べ、自分の予定に空きがあるかを確認し(これが一番最後ww)、チケットを買います。
実はとても個人的な意識ながら、「きょうだいが互いに知らずに別の家で育てられる」というストーリーが、若い頃からなぜか苦手で、目に入れないようにしてきました(自分の生い立ちとは無関係です)。なのでドンピシャ避けるべき作品だったのですが、出演者の魅力と、あとはチケット価格がすごく割引になっていたので逆に気になった、というのが観劇を決めた理由。私一人が席を埋めてどうにかなるものでもありませんが、枯れ木も山のにぎわい?笑
私が拝見したのは初日から5公演め。まだ始まったばかりだし、(空席はあったものの)9割以上は埋まっていたかと思います。このあとも席には余裕があり、リピーターチケットや特別鑑賞券も公式で販売中。おけぴでも「お譲り」がたくさん出ています。衝撃の結末(ただ想定の範囲内)ではありましたが、いろいろ考えさせられる、見てよかったと思える作品だったと思います。東京は全30公演ほどあり、テーマが重苦しい割に多すぎる?と思わないでも。大阪は5回ですので、それなりに満席ではと想像します。
リピートするにはしんどいかな…という気もあり、そこはダブルキャストなので、別バージョンならありなのかも…とも。残念ながら私はもう予定が入れられませんが、もし予定に余裕のある首都圏のかたには、足を運んで損がないのでは?と思えた作品です。最近はやりみたいによくある演出ですが、客席を舞台の一部として使っていたのも、演者が近く臨場感があって迫力満点でした。
7月末からは『ディア•エヴァン•ハンセン』で、偶然でしょうが又とうこさんとあさこさんが共演するようです。こちらもちょっと重めの話みたいですが、チケットの売れ行きは走り出しのところは良さそうに感じます。好調でありますよう願っています。アカデミー俳優吉沢亮(ダブルキャスト)が出るので、むしろチケ難となりますかね?