貞夫が街にやってくる
それは
とっとことっとこウォーキングをしているときの出来事だった。
てくてく歩いていると
右側に竹林がひろがっている。
ふと
その中にうごめく何かがいた。
うわっ、
もしかして類人猿?
歩みを止め
目を凝らしてみてみると
なんてことはない。
ただのおばあさんが
地面にしゃがみ込んで一生懸命竹を切っていた。
おいおい、
子宝に恵まれないとかなんとかで
もしかして月からの使者でも探しているのか?
私の視線に気づいたのだろう。
おばあさんがこちらを振り向き
会釈をしてくる。
なので
私も”オハヨウゴザイマス”と
実に形式的な挨拶をする。
類人猿じゃなかったし
ただ竹を切っているだけなので
特に面白くもないかな、と思った私は
その場を後にしようとする。
”待って!”
おばあさんがなぜか
私に声をかけてくる。
すわ、
新たなナンパ商法?
とりあえず
大事な部分に手を当てる、という
ミーアキャット的戦法で
おばあさんの話を聞く私。
・・・。
どうやらナンパでもなんでもなく
この竹林にタケノコがたくさん生えているのだが
その全てが竹化しているということで
おばあさんは女手ひとりでコツコツ伐採していたらしい。
で
4本ほど伐採したところで疲れてしまった。
見ず知らずの人に頼むのは申し訳ないのだが
私の代わりにやってくれないだろうか。
・・・という感じだった。
うーん。
ほんと
見ず知らずの人だし
何の思い入れもないわけなのだが
いくら私が無毛であろうと
他人からの依頼をムゲに断るわけにはいかない。
なので私は
”あ、いいッスよ!” と生半可な返事をし
おばあさんから鎌(攻撃力+12)をさずかる。
鎌を装備した私は
とりあえず竹化したタケノコを
片っ端からなぎ倒す。
竹化している、といっても
まだ完全に竹になっていない、
いわゆるモラトリアム竹なので
非常にさくさく切れる。
それこそ
私の身長よりも高く
約2~4mはある竹でも
さっくさく切れる。
なので
約15~6はあったモラトリアム竹を
10数分くらいで伐採し終えることに成功。
おばあさんは
あっという間に作業が終わったので大喜び。
”お礼に、これを持っていきなされ” と
ちょうど食べ頃サイズのタケノコを2つほどいただいた。
そして再びウォーキングに戻るわけなのだが
両手にタケノコをもってのウォーキングなので
実に絵ヅラが怪しい。
よく
ペットボトルであったり
ダンベルであったりを両手に持って歩く人は
何人か見かけたことがあるが
さすがに両手にタケノコ、というイデタチのかたは
そういない。
なんとなく
某ヒーローロボットをほうふつとさせる姿になってしまった。
それにしても
タケノコを手にウォーキングをするハメになるとは
思いもしなかった。
タケノコを両手に持って歩く
いかついおっさん・・・。
客観的に見れば
異常に怖い光景だなぁと
改めて気づいた今日この頃であった。
くそ、タケノコめ!
半ソデで作業したから腕がかゆいファック!
同じく腹がかゆいファック!
笹のダニは強力だぜ!

