米国カリフォルニア州の砂漠で2023年10月6日から10月8日に開催された超豪華メタル・フェス・パワー・トリップにオジーオズボーンの代打として出演したジューダス・プリースト。メタリカ、AC/DC、メイデン、ガンズ、トゥールと共に熱いパフォーマンスを見せつけたようである。その際、ニュー・アルバムの発売が正式に発表されたとのことがSNSなどで話題となった。

2018年の『ファイアーパワー』以来6年振り、通算19作目となる本作。正直、私はあまり最近のプリーストにはアンテナを張っていなかった。20数年前、メタルを聴き始めた時、このバンドは避けては通れなかった。折しも、当時、Halfordというロブのバンドがシーンを席巻していた。

その後に、ロブはプリーストに復帰、Angel of Retributionが発表される。このアルバムのプロデューサーは当時もてはやされていたロイ・Zであり、先端のメタルの音は心に突き刺さる内容であった。このアルバムを聴いてプリーストの過去の作品を聴きまくることになる。新アルバムの充実とロブの復帰と相まって、2005年の日本公演は大いに盛り上がった。私も5月16日 の大阪・大阪城ホールに参戦し、その衰えぬパワーに圧倒された。

しかし、次作、Nostradamusは2枚組コンセプトアルバムであり、若造だった小生には難解に感じられ、プリーストへの興味は薄れてかいき、KKダウニングの離脱などもあり、距離を置くようになっていた。

そのようななか、ラジオで新譜からの先行公開曲がかかりだし、2回ほどPanic Attackを聴くと、これはっ!凄くいい曲だ!と思い、一気にプリーストへの想いは募っていき、Crown of Hornsが公開され、もう完全にぶっ飛んでしまった。良すぎる!これはプリーストのアルバムは超期待できる!と思うに至るのである。

満を持して、3月6日日本先行で発売されたアルバムを手にとって全体を聴いて、さらにぶっ飛んだ。素晴らしすぎる。求めていたプリーストがここにある!プリーストが築き上げた伝統的なメタルはそのままに、新しい音にグレードアップが図られている。楽曲が粒揃いで、メロディーも豊かで、リフもバリバリにカッコいい。更には随所に入るギターのアレンジが絶妙である。ギターソロはもちろんのことであるが、一番如実なのはのイントロのギターとInvincible Shieldの最後のツインギターパートである。琴線に触れるギターサウンド。これは何と言おうとリッチー・フォークナーの賜物であろう。エディーヴァンヘイレンからも影響を受けたというリッチーのメロディーセンスはエディー譲りのサウンドで、小生の好む音である。



特筆すべきは、アルバム冒頭を飾る3曲の圧倒的な攻撃性とそのクオリティの高さである。ロブハルフォードは頭3曲が勝負だ、と伊藤政則さんのインタヴューで答えたそうである。まさにこの頭3曲が秀逸である。小生はDefenders of the Faithの頭3曲の素晴らしさが大好きなのだが(このアルバムは3曲に限らずA面全ての繋がりが最強)、それに匹敵する内容に歓喜を覚えた。



頭3曲だけでないのが、このアルバムの凄いところ。アルバムの流れ、全曲ステ曲なしの構成も素晴らしい。中判にあるGates of Hellはガッツリとした攻撃的なメタルで、その次にメロディアスなCrown of Hornsへ続くあたりや、締めくくりのThe Lodgerは特に素晴らしい。

この充実したアルバムを聴くと来日公演が待ち遠しくなる。久しぶりのプリースト、特にリッチーフォークナーのプレイを観てみたい。最近の大阪公演はオリックス劇場、グランキューブとホール公演のようだが、このアルバムを引っ提げてのツアーなら、大阪市中央体育館か神戸ワールド、いや大阪城ホールで観てみたい。

評価
95点/100点