念願だったBilly Joelのコンサートに出掛けてきた。前回の来日は2008年であり、実に16年ぶりの来日公演となった。私は前回の来日はまだまだ若造であり、お小遣いがなく、泣く泣くパスした訳だが、それからまさか16年も来ないとは思ってもいなかった。近年ではマディソンスクエアガーデンでの定期コンサートを中心としてツアーも行わず、その後のコロナ禍もあり、もうBilly Joelのコンサートは観れないのか、となかば飽きらめていたところに来日のニュースがあり、小躍りした。ウドーの一般会員向け先行予約でチケットをゲットした。今回は"ONE NIGHT ONLY IN JAPAN BILLY JOEL IN CONCERT"と銘打たれての通り、東京ドーム公演のみでまさに1日限りの貴重な公演となった。

 

 

 

 

2024年1月24日、寒波が来襲し、名神高速道路の関ヶ原では雪による立ち往生が発生するような寒い日となった。東京ドーム周辺も寒風吹き荒む様であった。

 

本公演は早々にソールドアウトとなり、ドームには超満員の5万人もの観客が詰めかけていた。今回のお席は1塁側1階スタンド16列目。1塁ベースからやや外野寄りで、個人的にアリーナ中央前列以外では一番好きなポジションである。兎に角、見やすい。

 

 

定刻19時を過ぎ間も無く、19時05分暗転。

 

スタンド下段席では、皆さん座って観るのかなの、と思いきや、イントロが響くや総立ちに。


「My Life」のイントロと思いきや、ベートーベンの第九のメロディーが響きわたり、そのまま「My Life」のイントロへ。力強いピアノが心を踊らせ、一気にビリージョエルの世界へと引き摺り込まれていった。

 

続け様に「Movin' Out」へ。ステージをよく見ると、ステージ中央にはビリーの弾くグランドピアノがあり、そのピアノは回転し、先程まで左を向いていたビリーが前を向いて弾いている。ビリーを取り囲んでギターが2名。ベース。ドラム、パーカッション、管楽器というメンバー。

ここで初めてのMCが入り、「久しぶり」と日本語でご挨拶。「The Entertainer」へ。
 

 

 

「最後まで楽しんで」との日本語MCのあとに演奏されたのは「Honesty」。
「えっ、もうやってくれるの!」と嬉しい悲鳴を一人あげる。早々に聴けて感無量である。この曲はあまりライブではやらないのだが、私を含む日本人にはとても馴染みの深い曲で、まさに日本人へのプレゼント。先日の渋谷さんの代打で伊藤政則がDJをされているWorld Rock Nowでも、この曲をやってほしいというお便りと共にこの曲がOn Airされていたが、みんなも聴きたい曲ということで、大いに盛り上がった。何と言っても、とても心に沁みる演奏であった。ビリージョエルは御歳74歳とのことである。見た目こそふっくらし、坊主頭のお爺さんの様相だが、その歌声は衰えていない。今でも素晴らしい歌声をライブで聴かせてくれる。だからこそ、東京ドームを満員にできるのだろう。そのボイスを聴きたいという大勢の聴衆がいまだ会場へ押し寄せる。その衰えぬパワーに感服。

童謡「さくらさくら」を演奏し「Zanzibar」へ。後半にChuck BurgiのドラムスとCarl Fischerトランペットが繰り広げるソロがとてもかっこよかった。

 

 

ビリーがピアノを離れステージ中央のマイクスタンドを持ち、「I'm Mick Jagger.」と言うと、ローリングストーンズの「Start Me Up」のギターリフが鳴り響く。そして、ミックジャガーのようなキレキレのアクションを披露しながらの、まさかそのまま「Start Me Up」をカバー。ミックジャガーの物まねも少し入ってとても面白かった。

そして髪の毛のあった頃のハイボイスの曲との紹介で「An Innocent Man」を披露。高音パートを見事に歌い上げる熱唱ぶりに感嘆の拍手が湧き起こる。高音パートを力一杯に、そして見事に歌い上げると、汗を拭う仕草をしてお茶目な一面も見せてくれる。

ボーカルパートの練習といって分厚いコーラスで「The Lion Sleeps Tonight」を分厚いコーラスで披露して、「The Longest Time」へと。コーラスハーモニーがとても素晴らしかった。ついつい口ずさんでしまう大好きな曲が聴けてとても良かった。

ビリーがピアノにもどり「Don't Ask Me Why」へ。畳み込むように「Vienna」、「Keeping the Faith」、「Allentown」と続々と名曲が披露され、ひと時の静寂のあと「New York State of Mind」のイントロが響く。固唾をのむ聴衆の間にピアノのイントロが鳴り響き、遂に生で聴けるという感動が湧き起こる。
ステージ後ろの画面にはニューヨークの街並みが映し出され、最後には自由の女神が映し出される演出。

 

 

ギターの方口笛が熱演して「The Stranger」へ。続けて「Say Goodbye to Hollywood」。感動の名曲ラッシュ。というか、演奏曲すべてが名曲なのだが、その中でも名曲中の名曲というべきか。

グラスハウスからの曲と紹介され「Sometimes a Fantasy」が演奏される。アップテンボのロックチューンでキレキレの演奏。聴衆も「まさかこの曲が聴けるとは」、との驚きでザワメキが起こった。

「Only The Good Die Young」、から「The River of Dreams」へ。この曲の途中で、女性のパーカッションなどを担当していたCrystal Talieferoが、マイクをとり、ステージを縦横に歩き回りながら「River Deep - Mountain High」を披露。パワフルなボーカルを聴かせてくれる。

続いてギターのMike DelGuidiceさんが、ビリーのピアノ伴奏で「Nessun Dorma」をこれまたパワフルに熱唱。その伸びやかな美声に観衆は酔いしれた。素晴らしい才能溢れる一流バンドメンバーに圧倒された。

ステージは佳境。「Scenes From an Italian Restaurant」から、ハーモニカを披露しての「Piano Man」へ。ビリーがハーモニカの準備をしただけで場内は喝采。

最後には大合唱での締めくくりに感動もひとしお。
満員の観衆で歌い上げた気持ちよさはたまらない。感動最高潮で本編終了。

 

 

アンコールがこれまた凄かった。
エレキギターを持ってステージに戻って来てくれたビリー。

ここから怒涛の如く、究極のアンコールが始まった。

「We didn't Start the Fire」、「Uptown Girl」、「It's Still Rock and Roll to Me」とギターをもったビリーは飛ばしに飛ばす。御年74歳なのか。このパワフルぶりは凄まじ。

 

さすがにこれで終わりかと思いきや、ピアノに戻ったビリーは「Big Shot」を熱く熱く歌い上げる。さすがにお疲れの様子も見受けられたが、さらに「You May Be Righte」へと畳み込む。

 

いや、この怒涛のアンコールは、今まで観たアンコール至上最も素晴らしかった。エネルギーが違う次元まで行ってしまっている。恐れ入った。

 

客電がともったは21時25分。2時間20分もやっていたのだ。これには本当に恐れ入ったし、まさにエンターテナー。スタジアムでここまで客を歌に集中させるアーティストも他に類をみないだろう。

 

ビリージョエルのコンサートは初めてだったが、彼のボイスの力強さ、心に響く妙に感服した。バンドの演奏も良く、少しビリーのボーカルが走り気味?という感じもしたが、とても素晴らしい演奏であった。

 

名曲が山ほどあるビリー。あれも聴きたい、これも聴きたい、というのはあるだろうが、力の限りみせてくれて本当に感謝である。(マイアミだけは、本当に聴きたかったが、これはNew Yorkまで見に行かないとダメか、、)

 

本当に日本に来てくれてありがとう。ウドーさんも呼んでくれてありがとう。感謝感謝。

 

さて、人生2度目の東京ドーム公演。遠征の価値は十二分にあった。前回、東京ドームを訪れた時は、「次来るのはローリングストーンズの時かな」と思っていたが、予想外にBilly Joelだった。3度目の東京ドームはRolling Stonesの公演であってほしい。しかも今年の12月ごろ、お願いします!!って今ストーンズがきたら国立競技場クラスか!?

 

SET LIST

1 My Life
2 Movin' Out
3 The Entertainer
4 Honesty
5 Zanzibar
6 Start Me Up
7 An Innocent Man
8 The Lion Sleeps Tonight
9 The Longest Time
10 Don't Ask Me Why
11 Vienna
12 Keeping the Faith
13 Allentown
14 New York State of Mind
15 The Stranger
16 Say Goodbye to Hollywood
17 Sometimes a Fantasy
18 Only the Good Die Young
19 The River of Dreams
20 Nessun dorma
21 Scenes From an Italian Restaurant
22 Piano Man

Encore:
23 We Didn't Start the Fire
24 Uptown Girl
25 It's Still Rock and Roll to Me
26 Big Shot
27 You May Be Right

 

最近発売されたライブアルバム。新旧幅広い年代のライブ音源で、色々な時代の音を楽しめる。これを聴いて余韻に浸っている。