小川洋子さんの『海』に感銘を受けた旨を読書通の先生に伝えると、梨木果歩さんの『村田エフェンディ滞土録』も良い作品だと教えていただいた。
 
 
どんな作品かアマゾンでみてみると、「トルコ」、「青春小説」、というキーワードを見つけ、大変興味をそそられた。青春小説は私の大好きな分野であり、「トルコ」など異国の滞在記なども大好きである。
 
さっそく読んでみると、これまた大変良い小説であった。
19世紀末のトル・イスタンブールを舞台に、留学生の村田がドイツやギリシアの若い学者と共に英国婦人が営む下宿で巻き起こる数奇な出来事。西洋科学の見方と、それでは割り切れない東洋的な見方が、ヨーロッパとアジアの境目であるイスタンブールで錯綜する。西洋科学や一神教の価値観では説明できない、八百万の神々の存在や霊媒師の存在の対立がとても面白かった。