学生におすすめする大学生が主人公の青春小説を厳選しランキング形式で紹介します。

 

今回は、学生におすすめする青春小説を厳選してランキング形式で紹介します。学生の時は、一番読書をする時間がある時期だと思います。そんな学生時代に同世代の主人公が描かれた小説を読むと、非常に得るものが多いと思います。是非、参考にしていただければと思います。

  1位 宮本輝 『青が散る』

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多数の作品を残す宮本輝の屈指の名作『青が散る』。

 

宮本輝氏は昭和22年生まれ。1977年、『泥の河』で第13回太宰治賞を受賞しデビュー。翌年1978年に『螢川』で芥川賞を受賞。

その他にも、1987年に『優駿』で吉川英治文学賞、2010年に『骸骨ビルの庭』で司馬遼太郎賞などの受賞がある。

芥川賞の選考委員などもされ、紫綬褒章や旭日小綬章の受賞もされている作家である。

 

キャリアの長い作家のなかで燦然と輝く青春小説が本作である。

本作は、大学の4年間を絶妙に切り取った小説である。

ある種のモラトリアムである大学生。その大学時代に生じる恋、友情。

そしてやがて訪れる挫折、悲しみ。

そういったものをテニスというスポーツを中心にまとめあげた絶妙な作品となっている。

 

青春の光と影。若いときにしか経験できないものがうまく表現された名作である。

本作はとても誠実な作品であり、汚れのない作品であるということも素晴らしい点に挙げらえる。

まさに昭和青春小説の金字塔といって過言ではないだろう。

 

 

 

 

 

  2位 村上春樹 『ノルウェイの森』

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日本で一番有名な作家は?と問われれば、「村上春樹」と答える人も多いのではないか。

有名なのは日本人のなかで一番ノーベル賞に近い作家といわれることだろう。ノーベル文学賞が発表される度に、村上春樹氏が受賞されるのではないか、とニュースになる。アジア圏で初めてフランツ・カフカ賞を受賞するなど、世界で認められる日本を代表する大作家である。

 

そんな村上春樹氏の最大の名著であり最大の青春小説が『ノルウェイの森』である

1987年に発行され、単行本・文庫本をあわせた発行部数は1000万部を突破している。

 

主人公は大学生のワタナベ君。大学進学のため上京し偶然に直子と出会う。

直子は、ワタナベ君が高校生時代に唯一の友達であったキズキの恋人である。

しかし、高校生の時、キズキは自殺してしまったのである。

ともに大事な人を失ったワタナベ君と直子は深い仲へとなってく。

しかしある日突然直子は遠くへ去ってしまった。

二人の関係はどうなるのか?

そこに緑という大学の同じ授業をうけている女性がワタナベ君と関係を深めていく。

ワタナベ君はどちらの女性へ思いを強く寄せるのか?

 

19歳から20歳にかけての大学生を主人公にして、赤裸々な性描写とともに死と対面しその中で如何に生きていくかを模索する姿を抒情的に描写された青春小説である。

心にひたひたと染みてくる文章。

本と音楽を好む主人公、ワタナベくんの言動のクールさ。

大学生の自由な時代を心の成長につなげる主人公を巡る物語。

大学生には是非読んでいただきたい青春小説となっている。

 

 

 

 

 

  3位 南木佳士 『医学生』

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医師でもありながら執筆活動をされ、平成元年、『ダイヤモンドダスト』で第100回芥川賞を受賞された南木佳士氏。

 

著者自身の秋田大学医学部での体験をもとにして書かれた『医学生』。舞台は、開設されたばかりの秋田大学医学部。4人の学生を主人公にし、将来への希望と不安、現実との葛藤を描いた、大学生を主人公にした青春小説である。

 

四人の医学生を中心に、生と死をみつめる医者への道を歩みだし、直面する死や、将来への不安、現実との葛藤など、若者の内面を巧みに描き出した青春小説。

 

個性の違った面々が織り成す学生生活。様々な事情をかかえ繰り広げられる展開に読み手は一気に小説の世界に引き込まれてしまう。

 

著者は芥川賞作家であるが、「純文学と大衆文学は異なったものである」と、あとがきで述べられている。本作は、芥川賞作家である南木氏が、敢えて、純文学ではなく大衆文学の作品を書きたいとの思いで作成されたと記されている。大衆文学ならではの読みやすさが読み手の興味を引き込んで離さない。

 

 

 

 

  4位 夏目漱石 『三四郎』

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名著、夏目漱石著の『三四郎』。

明治時代を代表する文豪である漱石の青春背小説である。

時代は過ぎれど、今読んでも、内容は全く色あせていない。

青春の体験というのは世が変われど不変なのかもしれない。

 

主人公は三四郎である。田舎の九州から東京大学に入学するため上京した。

初めて接する都会の生活。大学の勉学。そして女性との出会い。

様々な人との交流を通して三四郎は沢山の刺激を吸収していく。

 

この小説では、3つの世界を行き来する姿がうまく描かれている。

1つ目の世界は、田舎の世界。田舎に残した母が住む世界である。

三四郎は母から送られてくる手紙を通してこの世界と通じることになった。

2つ目の世界は、学問の世界。膨大な書物や、浮世離れした学者。

大学に入って交友を通して三四郎はこの世界の雰囲気になじんでいくことになる。

3つ目の世界は、美しい女性の世界。

三四郎は魅かれつつ戸惑いながらこの世界の魅力にひかれていく。

 

大学生の色香がぎゅっと凝縮していて、甘酸っぱさもあって、これぞ青春小説の金字塔といえる内容である。

色あせることのない明治の文豪の作品を是非手に取ってお読みいただきたい。

夏目漱石を読んだことのない人にも、初めての漱石として『三四郎』は読みやすい作品である。

 

 

 

  5位 吉田修一 『横道世之介』

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本書『横道世之介』は読み手を朗らかにさせてくれる作品である。

 

大学進学のために故郷の長崎から上京してきた、主人公「横道世之介」18歳。

東京の郊外に一人暮らしをはじめ、大学へと通うことになるのだが。

憎めない愛しい性格で、様々な人と交流を図っていく。

恋もする。バイトもする。車の免許もとる。サークル活動もする。

普通の大学生活が描かれているのだが、そこにはクスっとした笑いがあるのである。

平成版の『三四郎』といえなくもないだろう。

 

2002年に『パークライフ』で芥川賞を受賞した吉田修一氏の青春背小説。

本作では第3回本屋大賞第3位に選出されている。また、本作では柴田錬三郎賞を受賞。

 

読み手にさわやかな青春時代の風を感じさせてくれ、心を和ませてくれる青春小説。

 

 

    

まとめ

今回は、学生におすすめする大学生が主人公の青春小説を紹介しました。

どれも名作です。読むことによって得るものが多い、読んで損はしない作品を選んでみました。

是非参考にしてもらえればと思います。