5/9にJR九州の2024年3月期の決算が出ました。

結果は悪くはないけど、思っていたほどには良くはなかったです。

(以下画像はクリックすると拡大します)

 

(株探より)

2023年3月期よりは増収増益、2025年3月期も増収増益なのですが、期待していたほどではありませんでした。

この理由を調べて見ました。

 

セグメント別でみると(決算説明書資料より)

運輸サービス(鉄道事業)が前年同期比で312%と営業利益が伸びているのと不動産、ホテル事業のうちホテル部門が前年同期比282%、流通外食部門が127%と非常に伸びています。流通外食部門はコンビニと(主にファミリーマート)飲食店。

これらはインバウンドの恩恵があるようです。

長崎駅前にできたマリオットは今年から通期の貢献でこちらも期待できそうです。


想定より悪い理由①

決算説明書をみると前期(2024年3月期)営業外で特損を出しているようです。

(決算説明書資料より抜粋)

2020年7月の豪雨で甚大な被害が出て今も運休の肥薩線(八代~吉松間)を国と自治体の支援を受けて復旧させるようです。

これに伴い災害損失引当金繰り入れと災害による損失を約35億円計上。

更に2023年6月の豪雨で久大線の復旧費用と今年度以降の発生費用を災害損失引当金繰り入れ額を引き当てたようです。

 

JR東日本で長野の新幹線の車両基地が水没し、水没した新幹線の車両を全て廃車にしたのも記憶にあります。

日本航空も今年年始にA350が海上保安庁の機体と衝突炎上したのはもっと記憶に新しいですが、災害やら事故で損失が膨らむのは陸運業や空運業では致し方ないのでしょう。


想定より悪い理由②

もう少し利益について過去に遡り、調べてみました。

(マネックス証券スカウタより)

小さくで見づらいですが、左から不動産ホテル、運輸サービスの四半期ごとの利益を表しています。

運輸サービス部門は2024年の4Qで特損計上したので88億円の赤字ですが、コロナ前の2019年の同期比でみて利益が以前の水準に復活していません。

一方、不動産、ホテル部門は2019年の同期比で2億~16億円も増加しています。

 

JR九州は運輸サービスの利益より元々不動産の方利益の方が多かったのですが、更にその傾向が強くなっています。

 

JR九州週足

株価もファンダメンタルを表してコロナ前の水準まで戻っていません。

 

比較の為

JR東日本週足

 

日本航空週足

 

全て同じようなチャートです。

JR九州が1番株価が戻っていますが。


鉄道業が悪い理由はこちらに書かれています。

 

 

コロナでリモートで仕事をする人が増えて定期券を買う人が減っていること、出張も少なくなっていることが原因だそうです。

新幹線の場合は早めに切符を買っても値段は変わらないですが、飛行機の場合は直前に買うのとは大きな値差が出ます。

海外出張もWebで会議ができるので頻度は減ります。出張の人は高い切符を買ってくれるのでその恩恵が無くなっていると思います。

単価が安い観光客を沢山載せても、なかなか儲からないと言うのが空運業の本音でしょう。

 

コロナ後の株価の戻りが一番良いのはJR九州で、本業(鉄道)の利益比率が一番少ないからと説明がつきます。不動産売り上げが大きい。


九州はシリコンアイランドとしてTSMCなど多くの企業が進出しているので人の往来も活発化すると思われ、陸運、空運の中では一番期待ができると思うのは私だけですかね?