この2つの記事の続きになります。

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そもそも何故このようになったかと言うと

令和4年度の税制改正において

令和6年(今年)の確定申告から住民税の課税方式の選択ができなくなったことに拠ります。

 

今までは株式の売却益を申告分離課税にして所得税(国税)を支払っても、住民税分は申告不要を選択すれば、売却益に対し住民税は課税されず国民健康保険税の金額には影響を受けませんでした。

今年から所得税と同じ課税方式を選択せざるを得ない為、株式を売却した際に申告分離課税を選択すると売却益に対して国民健康保険税(約10%、住んでいる自治体によって変わる)が課税されることになります。この10%の支払いが大きいのです。

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改めて株式等の売却益の申告方法を説明すると

①申告不要:特定口座で証券会社で源泉徴収されての支払いで済ます

②総合課税:後述説明

③申告分離課税:一般口座、特定口座でも源泉徴収されていない場合

複数の証券会社間で損益通算する場合、3年間の損失の繰り越しをする場合等

 

の3つになります。

申告不要の税金は

所得税+復興税の15.315%、住民税5%の20.315%が売却益に課税されます。

申告分離課税の税金は

所得税+復興税の15.315%、住民税5%、国民健康保険税の10%の計30.315%の課税となります。

 

総合課税の場合は課税所得によって変わるので下記速算表から計算することになります。

課税所得が195万円以下だと

所得税+復興税の5.315%、住民税10%に健康保険税の10%が加算されて計25.315%の課税

課税所得が195万円から330万円以下だと

所得税+復興税の10.315%、住民税10%に健康保険税の10%が加算されて計30.315%の課税となります。

 

来年以降の課税所得(2026年以降の税金の支払いに影響)が195万円以下にコントロールできるならば申告分離課税を選択するよりは総合課税にした方が得と言うことになります。

 

■総合課税のマジック1

基礎控除の48万円が使える

株式等の売却益+配当のみで、他に所得が無い場合は

売却益から48万円を差し引いた金額が課税所得として計算されます。

申告不要にした場合:195万円の売却益は195万円x20.315%=約39.6万円

総合課税した場合:195万円の売却益は(195-48)万円x25.315%=約37.2万円

なんと、総合課税した方が申告不要より支払い額が安くなっちゃいました。

 

売却益195+48=243万円までは、売却益が増えると徐々に差が少なくなり、どこかで申告不要の方が支払い金額が少なくなります。

 

課税所得330万円+48万円までは

申告分離課税にした時と比べると、総合課税にした場合の方が基礎控除分を使えるので有利になります。

 

■総合課税のマジック2

配当控除、外国税額控除が使える

総合課税にし配当控除を申請することで所得税5%、住民税1.4%が税額控除になります。

先ほどの195万円のうち50万円が配当の場合

50万円x6.4%=3.2万円が控除されて約35万円の支払い額に減ります。

 

課税所得が少ない場合は総合課税を選択することで納税金額を減額できることになります。

 

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(ここまでの結論)

一般口座の含み益の約3,000万円のうち2,000万円を今年中に益出し。

残り1,000万円を概ね1年あたり250~300万円(含む配当金)で4年間にかけて利食い。

それまでは年金支給を先送りする

ことで、税金を支払う金額を減らすことができそうです。

 

ポイントは、

特定口座にある株式は配当や売却益を含め申告不要制度を使う

一般口座にある株式は配当や売却益を含めて総合課税を選択する

でしょうかね。

一般口座にある株式の売却も配当控除を最大化するために

配当金額/含み益の割合が小さいものから売却する小技を使うのもありですね。

 

あとは収入が無くて約5年間生活できるのかのシミレーションは必要です。

 

注記>わかる範囲で調べて記事にしていますが、間違いや今後の税金制度の見直し等が入る場合もあり、実際に行う場合は自己責任でお願いします。