ジョニー阿部氏が、考え込む僕に声をかけてきた。
「人間がお金を使う行動は、主に3つです。意識していても無意識でも、人は「投資」「消費」「浪費」のどれかでお金を使います」
「投資、消費、浪費・・・ですか」
僕はその言葉を復唱する。
「そうです。そして人にものを売る場合は、いかにその商品を購入することが投資になるのかを伝えなければなりません。つまり、その商品やサービスを使用することにより、いかに利益がもたらされるのかを相手に想像させる必要があります」
ジョニー阿部氏は言葉を続ける。
「例えば衣食住は、絶対的に必要な消費活動です。そしてギャンブルや意味のない飲み会などは、何も生み出さない浪費です。そして現在の景気状況では、一部の富裕層を除き、皆がこの消費や浪費のお金を削りたいと考えています。そんな中、あなたがどれだけ商品の良さを説明しても、それが消費や浪費になると顧客が考えた場合、その商品は絶対に売れません」
なるほど・・・と僕は思った。確かに僕も、無駄な出費は避けたい。
「しかし、その商品を購入、使用することにより何かしらの利益が得られると考えた場合、どうでしょう?先ほどの時計の話では、ダイレクトに金銭的な利益をあげましたが、それ以外でも利益を得られると考えた場合、人はお金を自然に払うのです」
「そうか・・・確かにそうですね。例えば僕は時間が惜しい時などは、渋滞の道路を避けて、高速道路に乗ります。高速道路に乗れば、お金はかかりますが、時間という利益が得られます」
ジョニー阿部氏はパチンと指を鳴らす。
「そうです。その通り。素晴らしい」
「つまり、重要なのは商品説明というよりも、いかにその商品が顧客の利益を生むということ上手に伝える技術なんですね」
僕が納得したような顔をジョニー阿部氏は嬉しそうに見ていた。
「そうです。しかし、忘れてはいけません。そのようなテクニックを利用するには、まずは基本がしっかりとしているのが大前提となります。その点、あなたは商品知識も素晴らしく、トーク自体も悪くありません。あとはこの利益を与える、という部分を意識することです。そしてもう一つ、商品は顧客の悩みを解決する答えである、ということを忘れてはいけません」
「悩みを解決する答え・・・」
「そうです。ここも重要なポイントです。ここを間違えると、どんなに商品の利益を伝えても、商品は売れません」
ジョニー阿部氏の話しは続く
続く