ジョニー阿部氏が質問してきた。
「例えば想像してみてください。あなたは今、炎天下の中、ランニングをやっています。喉がとても乾いている時に、水とお菓子、両方が販売されていた時、どちらを選びますか?」
「いや、それは普通に水でしょう」
ジョニー阿部氏の当たり前すぎる質問に呆気に取られる。
「そうですね。この場合、間違いなく水を選ぶでしょう。それが現在のあなたの利益、つまり水を得るという利益に合致するからです。非常にわかりやすいですね。しかし、これはあなたが炎天下の中、ランニングを行なっているという条件がわかりきっているから成り立ちます。ちなみにこの水が、通常、コンビニなどでは100円で売られている商品ですが、ここでは200円で売られていますが、あなたはどうしますか?」
「近くにそれしかなく、とても喉が乾いていたなら、多少高くてもそれを購入すると思います」
「そうですね。ほとんどの人がそういう答えを出すでしょう。そして、その水を販売している人は、多少高くしても間違いなく売れると見越してその値段をつけています。つまり、ターゲットが明確で、絶対に必要になると確信しているからできることです」
ジョニー阿部氏は言葉を続ける
「つまり、もっとも重要なことは、顧客にメリットを伝えることもそうですが、その前提である、ターゲットをより明確にすることなんです。その商品を全く必要と考えていない人に、購入した場合の利益を伝えてその気にさせて購入してもらうことが最高の営業であることは間違いありません。しかし、それは多少高度な技術です。そのような技術を身につける前に、手っ取り早く結果を出したいのであれば、いかに商品を必要としている人を見つけることができるのか。また、潜在的に必要となる人を探すのか、です。そして、そのような人の中でも、緊急性が高い人を見つけることができれば、多少、価格が高くても販売ができます。先ほどのランニングの例がそうです。喉が乾いて仕方がないので、多少高くてもそこで販売されている水を買ってしまう。つまり、緊急性があるということです」
ジョニー阿部氏は身振り手振りで説明してくれる。確かにその通りだ。今まで、とりあえず会社のリストを元に営業を行なってきていたが、そのリスト先が本当に商品を必要としてくれているのかどうかなんて、考えたことがなかった。とにかく、リスト先に行って、商品の説明をすることが仕事であると僕は勘違いしていた。
「ジョニー阿部さんは、なぜ、そのような話を知っているのですか?」
僕が尋ねると、ジョニー阿部氏は少し笑いながら「先ほども言いましたが、私も以前、営業という仕事をやっていまいた。そして、あなたと同じように、最初は苦労していたのですが、私もあなたと同じように、ある人からこのような話を聞いて、その通りに実践したら、大きく売り上げを伸ばすことができ、その後、独立。事業もうまくいき、今のような自由な生活を手に入れたというわけです」
「僕も、そんな風になれますかね?」
ジョニー阿部氏は、満面の笑みで「もちろん!!」と答えてくれた。
続く