
精神状態を決定するのは目や耳から入ってくる信号、あるいは精神薬などの薬物によってのみ変わるとは限らない。精神は身体と密接な関係を持つ。身体の状態が良くなればメンタルの状態は改善する。そのため、メンタル面でのケアには身体への優しさを忘れるべきではない。
この良い例が冬の寒さだ。朝などは布団から出るのをツラく感じる人も多いことだろう。布団の温かい夢の世界から、凍り付くような寒さの現実世界に飛び込むのは勇気が必要と言える。
そして、これこそが「身体への作用へのメンタル低下」である。寒さは身体への影響で、寒い場所は居心地の悪い場所とも言える。その居心地の悪い場所であれば、当然メンタルも落ちる。
これを逆に言えば、「心地よい環境であれば、メンタルの低下を緩和できる」とも言える。朝に暖房が付いていれば起きやすい。メンタルもそれほど低下しないことだろう。そして、これは「身体への作用のメンタル向上」だ。
また、行動へのアプローチも気分を変える。バッティングセンターなどに行くと気分が晴れることがある。これなどは行動からメンタルへのアプローチだ。
ところで、ここでメンタル疾患の回復について考えたい。
メンタルの回復は、現状の病院を見るならば、薬物療法が基本と言えよう。実際、自分が精神科にはじめて掛かった時から今日まで、病院が終われば薬局で薬をもらう。その薬を飲んで回復に努めるのだ。
ただ、それで回復するとは限らない。人によって心の傷は異なるし、修復の方法も異なるからだ。
となれば、このような理屈が成立しないだろうか。
「薬物療法と共に、身体と行動へのアプローチで回復を図る」という方法だ。
例えば、診察の際には投薬の指示と処方をするだけではなく、身体と行動へのアプローチの提案などを行ったらよいのではないだろうか。
例えば、ちょっと美味しいものを食べるのも良いだろうし、ちょっとした散歩の提案もあるだろう。旅行の提案もあるかも知れない。
確かに、これらには体力が必要なので、ある程度の休養を経てからの実施になるのだが、それでも指導がしっかりしてれ実施に踏み切りやすい。
それでは、医師の助言が期待できないならば、自前で考えてみたらどうだろうか。……例えば、日帰り温泉など。温かい風呂で身体の疲れを落とし、美味しい料理で腹を満たす。ちょっと景色が良い場所ならば、気分も良くなると思う。
ちなみに、これらのプログラムの簡易版のようなものが開放病棟の入院にて行われていた。美味しい食事は完全に期待できなかったのであるが、病院周辺のウォーキングなどで効果が期待できた。
このように、入院で確認が済んでいる。外来にも応用したらどうだろうか。
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