芝芝芝芝散歩 | 上京パンダ

上京パンダ

東京四年目のパンダ。

夏の終わりの熱帯夜、夜の東京をうごめくパンダが一匹。

夏の休日、昼過ぎに起きて窓から外を眺めると暑そうな陽射し。うー外に出たくない…でも出かけたい…とか言いいながら録画のたまったWWEを観てるとあっという間に夕方に。今から遠くには行けないし、涼しい夜に都心部を歩くことに。
山手線で浜松町駅へ。駅前からは向こうに輝く東京タワーが見える。普段は行かない東側へと向かう。夜の竹芝通りは日曜の夜でも人が多い。東京湾岸らしく通りの入口には大きな船のいかりのモニュメントが置かれている。通り沿いには同じくいかりをかたどった街灯が並ぶ。ぬるい夜の空気を押しのけていかりの街竹芝へと入っていく。



竹芝のターミナル前、ホテルやマンション、劇場などの大きな建物がたくさん建ち並ぶ。
船の出入りする竹芝ふ頭によってみる。広場の真ん中に大きな帆が立っていて電飾をつけて闇夜に輝きを放っている。船に乗ってきたのだろう大きな荷物を持った人たちが行きかう。奥までいくと停泊している大きな船が見えてくる。黄色の船体が照明に照らされてまぶしい。どこの国の船かな。国内線かな?周りにはたくさんのコンテナが積まれて置かれている。




旅客船のターミナルをちょっと覗いてみる。待合室にはお客さんが結構いてる。行先はどこだろうときっぷ売り場を見てみると伊豆諸島へ向かう船のようだ。東京都なのにすごく遠い気がする伊豆諸島の島々。三宅島や八丈島なんかは聞いたことあるけど、ほかは知らなかったな。太平洋に浮かぶ離島にもそこに住む人たちの暮らしがあって、本土と同じように働き遊び四季を感じて過ごしているはず。でも島暮らしがまったく想像できない本州育ちのパンダ。本屋あるのかなーとか海に囲まれてるのは耐えられないなとか思いながらターミナルをあとにする。



夜の竹芝は車はそこそこ通るものの人通りは少ない。東京湾に面した新浜崎橋から夜景が見える。右手にレインボーブリッジが輝き向かいにはお台場のビルたちがきらめいている。照明が当たっていない足下の真っ黒な海と対照的。ぬるい海風とひかえめに聞こえる波打つ音が心地よい。
橋を渡って大通り沿いに歩く。



高速の高架が重なるように走る海岸通りを歩く。東京都心らしい立体感。日の出桟橋を過ぎて芝浦運河のの方へと歩いてみる。

運河にはいくつも橋がかかっている。夜の運河沿いは人影もなく大通りからも離れて静かになる。運河沿いに南下。河岸の一角に街灯一本の下小さなイスがならぶ。昼間は周りの会社のサラリーマンがお昼食べたり一息ついたりとのどかな光景がみられるのかもしれない。夜は暗くて怖いのでそそくさと大きな通りへと向かう。



芝浦から芝のオフィス街へと入っていく。だだっ広い第一京浜沿いの裏路地を歩いて北の方へと戻っていく。大きなビルがいくつも並び有名な企業もちらほら。夜なのに第一京浜は車の群れであふれ、人通りもそこそこあって運河から一転して都会の喧騒が戻ってくる。

浜松町には戻らずに芝公園の方へとぶらぶら。都心のビル街の一角に銭湯を発見!こんなところに銭湯があるなんて。どういう人が来るんだろうか。仕事帰りの人?地元の住人?まわりは高層マンションはあるけど一軒家もあるのかな。
細い裏路地に入っていくと小さな植え込みで猫さんに遭遇!こんなところで猫さんに会えるなんて。街灯の下に隠れてこちらをうかがう白焦げ茶さん。しばしの視殺戦ののちビル影へと消えて行った。達者で暮らせよ。




首都高をくぐり渋谷川をまたいで芝公園へと入っていく。夜はさすがに木々が茂ったうす暗い公園。東京タワーの方へと歩いていくと、物かげにうごめく小動物が潜んでいる。歩いているうちに2,3匹の猫に遭遇。もっといるのかもしれない。また昼間に来たいな。赤羽橋の交差点のそば、公園の片すみに石でできたなぞの生物の形をしてベンチを見つける。なにこれ?暗くてモデルが何かよく分からないがトカゲなのかカエルなのか、四足歩行の生き物が闇夜に潜んでいる。また昼間に来たいな。

夜の東京タワーへと向かう。赤羽橋の交差点からは東京タワーがすごくきれいに見える。コンビニでアイスを買って、足下近くの小さな公園に入る。観光客やカップルがたむろするタワーの足下と違って人が誰もおらず、(普通の)ベンチに座ってアイスを食べながらぼーっと東京タワーを眺める。上から白、白、赤、白、赤、青、白、赤、中のエレベーターの部分が青に輝いている。近くから見る夜の東京タワーはすごくきれいで幻想的に映る。

僕はスカイツリーよりも断然東京タワーの方が好きだ。昭和生まれとしては大都会東京を代表する建物が東京タワーであって、東京タワーを見ると何よりも上京してきた実感がわく。闇夜に輝きを放つ東京タワー。キングコングに登られ、モスラにまゆを張られ、ゴジラに放射火炎で溶かされた東京タワー。日本中の田舎者をひきつけ、夢破れたものを見送り、肩寄せあい大都会に暮らす人々を見守り続ける東京タワー。
足下までいってご挨拶を済ませ神谷町駅の方へと夜の街を歩いていく。



麻布にほど近い神谷町といえばラジオ日本。それ以外に何かないかと地図を見ていると坂がいくつかあるようなので駅に行く前にちょっと寄り道。麻布に近いこのあたりは大使館やお寺も多い。大きなお寺の裏道を進むと暗がりに見えてくるのが三年坂。途中曲がって下るおもむきある坂。まわりは暗い住宅地で都会の物陰にひっそりとたたずむ坂。麻布の街同様に東京のど真ん中は意外なほど高低差が存在する。




地下鉄日比谷線の神谷町駅へ。メトロに揺られ帰路につく。
蒸し暑い夏の夜、竹芝~芝浦~芝~芝公園と大都会東京の一画を歩いた夜の芝だらけ散歩でした。
夜の裏路地は人が少なく歩きやすかったけど、夜道にはくれぐれも気を付けましょう。


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