常磐線の旅その1~いわきぶらーり~ | 上京パンダ

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東京四年目のパンダ。

7月の終わり、二連休を使って常磐線の旅に出た。
上野・日暮里から千葉、茨城、福島県を通って北へと伸びる常磐線。今回はライブを観に福島県いわき市まで行って、帰りに茨城県水戸市に寄る予定をたてる。

1日目、早起きして朝から常磐線に乗り込み一路北へ。松戸や柏あたりまではビルも多く都会感があるが、そこから徐々に田舎の風景になっていく。車窓には田んぼが広がり、山なみが流れる。大仏で有名な牛久、霞ヶ浦のある土浦、よく知らない笠間を過ぎると水戸を通過。さすがに県庁所在地だけあって水戸市内の街並みは都会。日立に入る頃にはふたたび郊外の景色へと変わりのどかな風景のなかを電車は進む。心地よいガタンゴトンの音にうとうとしながら電車に揺られて三時間。


いわきの手前の内郷駅で電車を降りた。近くに福島県唯一の国宝建造物である白水阿弥陀堂というのがあるそうで、いわきに行く前に寄り道。
あたりはのどかな田舎の風景が広がっているのに、内郷駅は妙に真新しくきれいだった。最近リフォームしたのかな。
何があるじゃないけど駅前を少しぶらっとして目的地を目指して歩き出す。民家の壁に描かれた黒猫の大きなシルエットが素敵。
川沿いの道を30分くらい歩く。午前中でももう暑い。







川にかかる朱色の橋を渡って阿弥陀堂へ。白水阿弥陀堂は平安時代に建立されたお堂で、国宝に指定されている。池の中の島の上にお堂が建っていて、橋を渡って参拝する面白いスタイル。

まずは池のまわりをぐるりと一周。人も少なく静かな池の淵。ハスの葉がびっしりと埋めていたり、水鳥やカメがいたりする。

一周まわってお堂へと向かう。渋い色合いのお堂からは静けさと風格が漂っている。中に上がるとお堂の方がいらっしゃって、マイクでお堂の由来などを解説してくる。お堂の中央にある5体の木製の仏像のそれぞれの説明や、阿弥陀堂の建立時のエピソードを淡々と話していただいた。平泉よりこの地に嫁いできた女性が夫に先立たれ、故郷の平泉を想い建立したそうで(記憶をたどって書いているので定かではないが)、「泉」の字を分けて「白」と「水」からとって「白水」と名付けられたそうな。

あじのある美しさを放つ仏像と内部の装飾なんかを眺めながら、涼しい阿弥陀堂の中でしばらく体を冷やす。





阿弥陀堂をあとにしてバス停を探して歩く。あたりは山に囲まれたのどかな風景。

通りに出てみても人通りは少なく穏やかな昼の空気が流れている。

バス停を発見!いわき駅行きの時刻を見てみると一時間に一本。さすがの田舎クオリティ。

バスが来るまであたりを少し歩くと猫さんの親子に遭遇!子猫二匹はこちらを見るなりぴゅーっと茂みの奥へと隠れてしまった。親子の時間をじゃましてごめんねー。

バスが来たので乗り込む。乗客は二人。涼しい冷房の風で体を冷やされながらゆらゆらといわき市街へとバスは向かう。






いわき駅にバスが到着。駅前から広がる景色は予想外に都会だった。駅前や大通り沿いには大きな商業ビルや飲食店街が並んでいて結構人も多い。観光案内所で市内の観光地図を入手し、いざいわき市内探検へ出発!!・・・の前に今回の旅の最大目的であるライブが行われるライブハウスの場所を確認しに行く。地図を片手に駅から少し歩くと、おお、見えてきた。普段なら横目で通り過ぎるだろうライブハウス感が結構出てる建物の前に、すでに人が十数人くらい集まっている。今夜ここに突入するのか。人生初のライブハウス。・・・どうなることやら。ライブハウスの場所をインプットしたので市内探検スタート!



まずはいわき駅からのびるメインストリートを歩いてみる。
いわきといえばフラガールと炭鉱・化石の街ということで街中にはそのエッセンスがちらほらと見受けられる。歩道に大きなからくり時計があって、化石が出たのであろう古代の生物たちが描かれている。どんなからくりが出てくるのか見たかったな。
歩道に突如の大きな犬のアート作品が登場。歩く犬の姿の像の前には上半身と下半身に切りわけられた犬の像が離されて配置されていて、それぞれ鉄板にくっついている。見た瞬間ちょっとびびる。さらに前方には再び犬の全身像があって連続性を感じる作品。よう分からんけど。
中心街をうろうろ。割に広い範囲に市街地が広がっている。南北に走る大通りに交差して商店街や繁華街が伸びて広がり、東西に走る陸前浜街道と並行して広い緑道なんかもあって、大通りから一歩奥に入るとそこまでうるさくはない。

いわき市役所にご挨拶。それほど特徴はないものの全面ガラス窓でスタイリッシュに見える。市役所前にある郵便ポストの上には波に乗るカモメの像が。いわきは太平洋岸の海の街の顔も持っているけど、市街地は海から離れているので今回は行けず。いつか行きたい東北の海。




メインの大通りの西側は特に繁華街になっていて、居酒屋やさまざまな飲食店、夜のお店なんかがたくさん集まっている。にぎやかな繁華街をぶらりと通り抜けて北へ。いわき駅の北側は山ぎわになっていて、切り開いた高低差の多い住宅街が広がっている感じ。中心街の喧噪が遠のき静かになる。
地図に載っていた丹後沢公園に行ってみる。急な坂を上って木々の生い茂る自然あふれる公園に入る。入口から木製の階段がずっと奥のほうまで結構な高低差をはうように伸びていて、下に見える池の方へと訪問者をいざなう。園内は誰もおらず静かで、鳥の声だけが響いている。
階段を一番下までカツカツと降りていくと、眼前に森に囲まれた大きな池が広がる。木々に囲まれた水辺は少しひんやりとした空気に包まれていて心地よい。蚊みたいな虫は多いが。
静けさに包まれた水辺でしばし休憩。ぼんやりと眺める。遠くまで来たもんだな。

少しシャキッとした気分になって公園を後にする。




ライブの開場時間が近づいてきたので駅まで戻り、コンビニおにぎりで小腹を満たし、いざライブハウスへ!!人生初のライブハウス、大丈夫だろうか。
ライブハウス前は先ほどよりもたくさんの人であふれかえっていた。若い人も多いがご年配の方もちらほら。みな楽しそうに開場を待つ。時間が来て番号順に入場。今回はチケット早めにとったおかげか割と前のほうになった。建物内に入っていくとこじんまりした空間にステージと客席というか全員立ち見なのでただのスペースがあるという感じ。これがライブハウスか。みるみる人が入ってきてちょっと緩めの満員電車状態に。満員御礼は良いことだけど慣れない人込みと立ち見で歩き疲れた足にききそう。
いよいよ開演!
スモーク漂うステージに片平里菜が登場。前に聞いたときと同じように、ふりしぼるような力強い歌声が響く。ギター一本で彼女は大勢のオーディエンスに魔法をかける。新旧いろんな曲から未発表曲まで彼女は全力で歌い上げる。気が付けば夢中になって聞いていた。一番のお気に入り「女の子は泣かない」も「Hey boy!」の大合唱も良かったな。いつも通りのカタコトMC、観客の反応、間違えて弾き直したり、生で音に触れられるライブってのはいいもんだと実感。一番大きいのは歌い手の視線を感じられるところじゃないかな。

薄暗く狭い室内、ひしめきあう客席と熱気、妖艶な照明、ライブハウスってのはすごいとこだった。雰囲気になじめたわけじゃないけど、立ちっぱなしなのも忘れてすごく楽しめた。また行きたいな。





熱狂のライブハウスを出て夜のいわき市内を歩く。外は蒸し暑い空気が流れ、街の中心街はいわきの夜を楽しむ人たちでにぎやか。少し歩くと住宅が増えて一気に人通りも減り道もうす暗い。
お腹が空いてきたのでファミレスに入る。ご飯を食べて、ドリンクバーで時間をつぶす。ラジオを聴きながらこのパンダ旅行記の絵を描き描き。




市街のはずれにある漫画喫茶で一晩を明かす。ラジオを聴きつつ漫画を少しよんだら仮眠。疲れた体をできるだけ休めないと、明日も歩くぞ。

ライブの余韻にひたりながら常磐線の旅その2へと続く・・・

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