俺はヘタレだ。

 

見た目から元ヤンや反社会的勢力の人間と勘違いされる事が多く、多いときは週に3回以降職質を受ける。

 

しかし、まともな喧嘩など一度もした事がない。

 

怖いのだ。ただただ怖いし、勝てる気がしない。

 

しかし、若い頃から他人にナメられていると感じた事は一度もない。

 

中学生の頃、一時的にいじめの対象になった事もあったが、授業中に相手の腕を軽く彫刻刀で刺した事でやばいヤツだと認識させた事でいじめから解放された経験がある。

 

その時にハッタリという生涯のパートナーと出会ったのである。

喧嘩になりそうな時は、笑いながら周辺の物を壊したり、大声で威嚇する事で、野次馬を増やして先生が来るのを早める作業に徹する。

先生が来たー!と誰かが叫んだのを合図に相手に攻撃を仕掛ける。

先生が到着して止めてくれるまでの時間を計算しながら、出来るだけ派手で人目を惹く攻撃を仕掛けるのだ。

そうする事で、相手から攻撃を受ける前に先生が止めてくれるし、野次馬には俺が勝ったという印象を与える事が出来る。

しかし俺の心の中は恐怖心でいっぱいだ。

 

あとで相手が『あいつの攻撃は痛くなかった』と周りに言ったところで、負け惜しみにしか聞こえない。

こうして俺は学校内での地位を確かな物へとしていった。