家まで帰ってきたらマンションの一階でネット回線の営業に話しかけられた。
「すいません今インターネットはご利用ですか?」
今年の2月か3月にも同じことがあった。
その時の営業マンは話し込むうちになんだかお互い打ち解けてきて「この仕事はバイトで芝居やってるんで貧乏です」とか「僕スト4やりますよ」とか「インセンティブは契約1件〇〇円です」とかわけのわからない情報まで開示される始末で、でも俺が初回特典みたいの全然わかんないですいつの間にか全部代理店がやってたんでー、と言うと、「それなんかごまかされてるかもしれませんよ?」、「ああもう仕事とかどうでもよくなってきたんで僕のことは気にしないで良いですけど、一回ちゃんと代理店に確認した方が良いですよ」とか心配してくれた。
まあそれが本心からくる心配なのかどうか問題が即出てくるのは俺だってわかっているし、仕事とかどうでもいいと言いながら距離を縮めて契約を取ろうって作戦の可能性も当然あるし、生きているとそうやって水面下を検討せざるを得ないのが死ぬほどうっとうしいのだけど、まあそんなことはその時俺はどうでもいいと思ったし今も思ってる。つまり仮にうまく俺の気を引いて契約にこぎつけようとしているとしても良いと思っている(サービスが詐欺まがいでなければ)。
俺の洞察からすると、多分彼はぼちぼち本心を語り、気まぐれだとしても割と俺のことをそのときは考えていてくれたと思う。名刺を最初に渡されただけで、くだけてからは営業トーク全くなかった。
俺は彼に対して誠実さを感じたのだった。こんなことで誠実さなんて、と言われるかもしれないが、この程度のことに果たして死ぬまで何度めぐり合えるというのだろう。
それで今日、新たな営業マンに話しかけられて、名刺を渡されたら、彼と同じ会社の営業マンだった。
「あーなんか前も話聞いて興味持ってたんですけどなかなか調べる時間なくて」と言うと笑顔でひたすら押してくる。
「うーん今ちょっと聞いた話を鵜呑みにして即契約ってのは嫌なんでちょっと調べさせてください」と断る。結構がんばってセールスしてくるが「ちゃんと調べて得だと思ったら連絡するんでとりあえず今日のところは待ってください」というとあからさまに元気なくなってしまう。おいお前もうちょっとがんばれよ(笑)
とは言え今日の彼も、ウザくない感じで真摯に対応してくれていた。きっと今日彼がこなかったら俺はこの件を見返すことなどなかっただろうから、図らずしもではあろうが彼のきっかけ作りにも貢献するため、もし契約することになったら、以前名刺をもらった彼に連絡し、今日のことを話し、インセンティブを分けてやってくれないかと提案するつもりだ。その先で彼がどうするかまではコミットしないが、とにかくこの段階まではやろうと考えた。
俺は誠実さを愛しすぎている。その反動で誠実でない振る舞いについて、いささかやりすぎな態度を取ることもしばしばあるし、それによって損をすることもあるけど、別にそれでも良いと思える程度には誠実さが好きだ。