面影 | ジョイントツリー(joint tree)の『よおきたね』ブログ

面影

さっき電話がかかってきて、大切な知り合いが亡くなったと告げる。

受話器の向こうでは涙で震える声。

悲しみよりも驚きが先行して泣く事が出来ない自分。

電話を切り一本のタバコをふかす。

振り返るように生前の彼からのメールを読み直す。

文字に綴られた優しい彼の人柄と真摯さ。
メールを貰った時間のまま、浮かんでくる彼の人懐こい微笑み。

タバコを吸い終わる頃、やっと流れ落ちた涙。

一度涙が零れると、堤防が崩れていくように次々と涙が落ちて行く。

彼とは、彼の畑で、収穫の手伝いをする約束をしてた。

手作りの野菜の素晴らしさを告げる嬉しそうな顔が浮かんでくる。

歳を取ると、哀しみを受け入れる事に慣れていくような気がするが、
やはり哀しみにに負けてしまう。

彼の訃報を別の友人に伝える為に電話をかけた。

伝えるおれの声が涙で震えている。

全然伝えられなかったかもしれない。

またタバコをふかした。

ゆっくりと煙が昇って、窓から流されて空に溶けて行く。

ただ、今は彼の冥福を祈る。

空が悲しい。

PEACE。
photo:01