ドル/円ほぼ横ばい、S&Pの米格下げ可能性受け一時79円割れ
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 7月15日、東京外為市場正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時とほぼ同じ79円前半で推移。都内で2009年11月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)
 [東京 15日 ロイター] 東京外為市場正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時とほぼ同じ79円前半で推移している。朝方、S&Pが米国の格下げの可能性を指摘したことで一時ドルが売られて79円を割り込んだ。しかし、ショート筋の買い戻しや個人の押し目買いで持ち直した。

 一方、明日から東京勢が3連休に入り実需のドル買いが一服することから、ドル/円が下げやすくなる「連休リスク」を懸念する声も出ていた。

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は14日の議会証言で、景気回復が腰折れすれば行動する用意があるが「現段階で一段の措置を講じる用意はない」と語った。このため、市場では13日の議会証言をきっかけに浮上した米量的緩和第3弾(QE3)など追加緩和への期待が後退した。「13日の証言で市場が期待を強め過ぎたため、14日の証言で引き戻してバランスを取ったのだろう。FRBがQE3を導入することはない」(野村証券シニア為替ストラテジストの池田雄之輔氏)と受けとめる声が出ている。このため、ドルは幅広く買い戻されてアジア時間までにドル/円は79円台を固めかけていた。

 しかし、アジア時間朝方、S&Pが米国のソブリン格付け(長期AAA、短期A—1+)を「クレジットウォッチ・ネガティブ」としたことをきっかけにドル売りが強まった。ドルは対円では78.89円まで売られたほか、対ユーロでは1.4199ドルまで下落した。

 売り一巡後はいったん下げ止まったが、対ユーロでは再びドルじり安になるなど「ドルの地合いは弱い」(大手銀行)という。S&Pのソブリン格付け委員長を務めるジョン・チェンバース氏はロイターのインタビューに対し、米議会が月内に債務上限の引き上げについて合意したとしても、米国が今後3カ月以内に「AAA」の格付けを失うリスクが著しく高まっているとの考えを示した。

 一方、ドル/円は79円を回復して底堅い推移になった。「きのうドル/円でショートを振ったまま含み損になっている参加者がいるようだ。また、個人の押し目買いも着実に膨らんでおり、現値付近からは買いが入っている」(セントラル短資FX営業本部、武田明久氏)との声が聞かれた。 

 <欧州の銀行に対するストレステスト結果ではイタリアの銀行に注目する声>

 欧州債券市場ではイタリア国債が売られた。14日にはイタリア債10年物EB>利回りは5.66%となり対独スプレッドが拡大した。きょうは欧州の銀行に対するストレステストの結果が発表されるが、野村証券シニア為替ストラテジストの池田雄之輔氏は「注目はイタリアの銀行」とみている。イタリア中央銀行のドラギ総裁は13日、イタリアの銀行はストレステストを「パスすることは確実だ」と述べている。池田氏は「実際にイタリアの銀行の合格が確認されれば、ユーロにポジティブに働くだろう。ただ、ユーロ/ドルの動きについては、きょう相次いで発表される米景気指標と合せて考える必要がある」としている。

 不合格行に対しては欧州各国が支援することで合意しており、市場ではテスト結果を受けて銀行の財務不安が強まる可能性は低いとみられている。一方で「ストレステストを(無難に)通過したとしても、ユーロを本格的に買える状況にはならない」(別の大手銀行)との声も出ている。欧州の銀行の財務は欧州ソブリン問題と表裏の関係にあるため「ストレステストだけで欧州の銀行に対する不透明感を払しょくするのは難しい」(民間金融機関)との声も聞かれた。

 <ドル/円に連休リスク>

 ドル/円は12日にそれまでのコアレンジの下値とみられていた80円を割り込んで以来、この水準を回復できていない。新たなレンジ形成が意識されるなかで下値不安もくすぶっている。

 東京市場は明日から3連休に入る。「海外勢のドル売りに対し、ドルを買い向かう日本の実需の動きが出なくなるため、連休中は需給面でドル/円の下値リスクがある」(みずほ証券グローバルエコノミスト、林秀毅氏)との指摘が出ている。実際、5月のゴールデンウィークには、東京勢の不在をついてドル/円が売られ、一時79.57円の安値をつけた経緯がある。

 野田財務相は介入について「コメントは控えたい」と述べるにとどめ、前向きな姿勢を示していない。朝方発表された6月13─14日開催の金融政策決定会合の議事要旨によると、1人の委員が「物価の安定が展望できないリスクを考慮すると、追加緩和の潜在的な必要性は減じていない」と指摘したが、大きな材料にはならなかった。「日銀による追加緩和の可能性はすでに市場に織り込まれている。市場には介入期待も高まっておらず、日本サイドの要因によるドル/円のサポートは弱い」(林氏)との声が上がった。 

(ロイターニュース 松平陽子)

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 昨日のアジア時間はユーロの買い戻しが激しくなった。朝には1.40台を回復した後はモタついていたが、中国の経済指標が良かったことで、マーケット全体がリスクテークの方向に傾き始めた。それまでギリシャやイタリア、アイルランドで下げていた分を取り戻そうかとするかのようなユーロ買い戻しの動きとなった。

 こうした動きの背景には、やはり夜にバーナンキ議長の発言をひかえているせいもある。バーナンキ議長のここ最近の発言はすべて国内景気に対して悲観的なものが目立ち、また先週の雇用統計もそれを裏付けしている。よってかれの発言にはきっと景気を下支えする必要があるとの見解が示されるのではないかという期待が大いにあったのだ。

 欧州時間ではユーロドルが一段高しえ1.41台も見る。ユーロ円などユーロクロスもすべて高い。しかし先日、格下げされアイルランドの国債スプレッドが過去最大にまで拡大したということで、再びユーロに売りが入った。私も何度か売りで臨んでみたが、20ポイント取るのがせいぜい。まあ、一昨日の1.38台から見ると300ポイント以上も上がって来ているのだから、下がりにくいというのも無理はない。

 いよいよバーナンキ議長の議会証言の時間となった。外部環境を見ると、まさしくリスクテーク一色となっている。米国株は大幅に上昇。原油も高い。実際にバーナンキ氏が話しはじめると、確かに景気刺激策の必要性も説かれたので、米国株はさらにラリーへ。クロス円の買いが主導する形で、ユーロドルは1.41台の後半まで一気に跳ねあがった。

 しかしニューヨークのランチタイム以降は、米国株が反転してきて下落に向かうこととなった。海外勢が見直し売りをしていたようだが、要するにバーナンキ議長は、“景気が悪い”と言っているのだ。具体的な刺激策かQE3の方針などが示されないと、リスクは取りづらいというところだろう。

 朝は早起きした。前日と同じようにバリューデートが変わる時期のドタバタに参加したいからだ。前日ほどの激しさはなかったが、やはり個人投資家を抱えるFX業者からの強制ロスカットがいくらか出てきて、ドル円は急落。ユーロドルもドル売りの流れに乗って1.42台まで上がってしまった。ドル円の78円台で何度か拾ってみては、すぐに売るの繰り返しをしたが、今回は上がりきらない。

 今日のアジア時間では79円台への回復は難しいのかもしれないなどと思っていたら、いきなりドル円が急騰し、あっという間に79.60近辺までシュートしているではないか!日本株も急騰している。介入?と思ったが、どうも様子が違う。断続的な買いという感じではないのだ。

 結局、なんちゃってだったようだ。だったら売ってみようと、ドル円をショートに振ってみた。しかしアゲインストにもならなかったが、あまりフェーバーにもならない。まったく面白くないのでポジションはクローズした。

 今晩はアメリカの生産者物価(PPI)や小売売上高が出る。円高が進んできているので、ちょっと経済指標の存在感は薄いものとなるだろう。ユーロドルの上値も気になるところだ。そうした値動きに注意を払いながら、昨日のバーナンキ発言がどのようにマーケットに消化されていくかを見極めたいところ。

 おおどころの企業決算も出てくるので、リスク回避に動き、すなわち株価が下攻めするようであれば、私は今度こそドル円の安いところでも、果敢に売りこんで行こうと思う。


(2011/07/14 日本時間18時55分執筆)

(文/持田有紀子) ※ザイFX!に掲載

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「魔の20分」再現でドル一時78円台、年末までに75円の声も
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 7月13日、ドル/円は早朝に78円半ばまで急落したが、取引の薄い時間帯を狙った短期筋の仕掛け売りだったとみられ、急速に買い戻された。都内で昨年9月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)
 [東京 13日 ロイター] ドル/円は早朝に78円半ばまで急落したが、取引の薄い時間帯を狙った短期筋の仕掛け売りだったとみられ、急速に買い戻された。その後も個人投資家の押し目買いが優勢で、79円前半から半ばで推移した。

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 80円を下回る水準は輸出企業にとって逆風だが、日本株が底堅いうえ、当局者から円高に対する強い発言が聞かれず、介入警戒感はドル/円が最安値を更新した3月17日ほど強まっていない。

 <3月17日「魔の20分間」再び>

 この日のドル/円は、短時間に3円下落した3月17日早朝の「魔の20分間」の再現となった。外国証拠金取引(FX)業者の取引が始まる午前6時から、わずか14分間で70銭下落。とくに下げが激しかったのは6時13分からの1分間で、79円を割り込むと一気に78.48円まで60銭近く急落した。「3月17日とスケールは違うが、起きたことは同じ。取引が始まると同時に薄商いを狙って売り、クロス円でもストップロスを巻き込んだ」と、外為どっとコム総合研究所の植野大作社長は言う。

 相場の流れとは逆方向に取引する傾向のある個人投資家は、前日に79円台まで下落した局面でドル/円を買った。東京金融取引所の「くりっく365」の売買動向をみると、ドル買い/円売りの未決済残高(建玉)の比率は12日時点で92%。前営業日の89%から増加した。買い持ちの多かった個人投資家は、3月17日に続いて再び短期筋の仕掛け売りのえじきとなった。

 <輸出企業は動かず>

 3月17日のときと同様、今回も短期筋は急速に買い戻し、ドル/円は79円台を回復した。さらに「輸入よりも証拠金の買いが多い」(国内銀行)との声が聞かれ、個人投資家の押し目買いが下値を支えた。安寄りした日経平均が切り返したほか、アジア時間最大の材料だった中国の経済指標を無事に通過し、クロス円がしっかりだったこともドル/円の下落圧力を弱めた。

 東京市場の主要プレーヤーである輸出企業によるドル売りは、この日は観測されなかった。ほとんどのメーカーが今年度の予算レートを80円台前半で組んでおり、国内銀行のカスタマーディーラーによると、輸出企業は81円台にドル売り注文を置いたままだという。この日午前にロイターのインタビューに応じたオムロン<6645.OS>の山田義仁社長は「78─79円台になると、オムロンもそうだが、日本の製造業が成立する上で難しくなってくる」と述べた。

 <年末までに75円との予想も>

 ドル/円の動きを見通す上で、市場関係者が注目しているのは、日本時間午後11時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言。足元のドル/円の下落は債務問題に揺れるユーロの下落に起因したものだったが、米経済に関する材料はドル/円そのものに影響する。「6月の雇用統計や欧州ソブリン問題の拡大を考えればタカ派的な発言にはなりにくく、ポイントは米金利を低下させる発言が出るかどうかだ」と、JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長の佐々木融氏は話す。「ドル安主導によるドル/円の下げは、期間も値幅もそれなりに出るだろう。年末にはドルが75円付近まで下落するとみている」(佐々木氏)という。

 しかしドル/円が76.25円の最安値をつけた3月17日ほど、市場で介入警戒感は高まっていない。野田佳彦財務相は財務省内で記者団に対し、「一方的な動きだと思う。しっかり注視したい」と述べるにとどめた。「株価がまだ比較的高い水準にあるほか、電力確保のために原油を輸入しなければならないという事情から円高にメリットもあるためではないか。介入警戒感はそれほどない」(大手銀行)との声が聞かれた。

(ロイターニュース 久保 信博記者)


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ドル下落、一段の金融緩和めぐる米FRB議長の証言受け
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 7月13日、ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。2月撮影(2011年 ロイター/Lee Jae-Won)
 [ニューヨーク 13日 ロイター] 13日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが下落。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で、景気が悪化すれば、一段の金融緩和に踏み切る用意があると言明したことが圧迫した。

 ドルは対スイスフランで一時0.81820スイスフランまで下落し、過去最安値を更新した。

 ドル指数は0.8%低下し75.208。6月半ば以来の低水準。

 電子取引システムEBSによると、ユーロ/ドルは1.2%高の

1.41460ドル。一時、1.41930ドルをつけた。ユーロは前日、対ドルで4カ月ぶり安値をつけていた。

 ユーロ/円は1.5%高。 

 中国の第2四半期国内総生産(GDP)伸び率が予想を上回ったことが、ユーロ圏債務危機をめぐる懸念を相殺した。

 また、フィッチが、イタリアは野心的な財政目標を堅持できれば、現在の格付けを維持できるとの認識を示したことは、同国をめぐる懸念緩和につながった。

 フィッチがこの日、ギリシャの格付けをジャンク(投機的)等級内で4ノッチ引き下げ「CCC」としたものの、ユーロは上げを維持した。

 ファロス・トレーディングのマネジング・ディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は、バーナンキFRB議長は「量的緩和第3弾(QE3)が引き続き検討されていることを言明した」とし、「FRBが現在の政策を据え置き、追加量的緩和を検討している状況を踏まえ、年末まで、ユーロ/ドルは上昇し、ドル指数は下落すると予想する」と述べた。

 バーナンキFRB議長は下院金融委員会で経済・金融政策に関する半期に一度の証言を行い、「最近の経済の弱さが予想以上に長引き、デフレリスクが再浮上し、追加の政策支援が必要なことが示される可能性が依然として存在する」と述べた。

 大半のアナリストがQE3実施に向けたハードルは高いと考察する。FXアナリティクスのデイビッド・ギルモア氏は、リーマン破たんのような深刻な危機が発生すれば、追加金融緩和の実施に向けた動きが加速する可能性があるとし、欧州債務危機が制御不能に陥った場合、そのような深刻な危機のケースとみなされる可能性があると指摘した。

 高利回り通貨の豪ドルは対米ドルで1.3%高、NZドルも対米ドルで2.2%高と急上昇した。

 ユーロはこの日上昇したものの、一部アナリストは短期的な動きと予想する。欧州連合(EU)首脳は15日、ユーロ圏債務危機に関して特別会議を開催する見通し。また、15日には欧州の銀行を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果が発表される。

 EBSによると、ドル/円は0.3%高の78.970円。オーバーナイト取引で、ドルは一時78.481円に下落し、4カ月ぶり安値に迫っていた。 トレーダーは、市場参加者が米連邦債務上限引き上げ問題の行方に神経を尖らせていると指摘する。 

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 【グローブニューズワイヤ】スイスの外為(FX)ブローカー、MIGバンクは、米国顧客に関する法規制の変更に対応するため、米先物取次・為替業者ペンソン・ヒューチャーズ社と事業提携を結んだと発表した。米金融改革法(ドッド・フランク法)のFX業界規則変更で、MIGは今月15日午前零時をもって米国顧客向けオンライン取引サービス提供を終了。この期限に先立って米国顧客のための新パートナーとしてペンソンを選任した。この結果、顧客はMIGと同レベルの先進技術と安全性、高度な透明性をもって取引を継続できるという。<GNW>
 【編注】この記事はグローブニューズワイヤ提供。 

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