「ありがとうございます。」

 

 

女はにっこりと笑ってとどめを刺して,子供に手を引かれて壬生寺へと向かった。

 

三津はちょうど為三郎や勇之助ら近所の子供たちの子守の真っ最中。

 

 

「見つけたー!」

 

 

雄叫びと共に三津の背中にドンっと塊がぶつかった。

 

 

「え!?宗太郎!?」 botox 香港

 

 

この声はまさかと思って振り返れば,まさかまさかの宗太郎。

 

 

「会いに来たったで。」

 

 

三津の腰にしがみつき,猫のようにすり寄って,会えた喜びを表した。

三津だってもちろん嬉しいのだがそれよりも気になったのは,

 

 

「一人でここまで来たん?」

 

 

宗太郎が親に黙って勝手に来たのではないか。

三津の心配とは裏腹に宗太郎は違うと首を振った。

 

 

「あの人と一緒に来た。」

 

 

宗太郎の指差した先を見れば,笑みを浮かべた女が立っていて,三津と目が合うとしなやかに会釈をした。

 

 

あんな知り合いいたかな?と三津が首を捻っていたら,女はゆっくりと近づいて,

 

 

「こんにちは。覚えてる?

あなたにみたらし団子をお薦めしてもらったんやけど。」

 

 

小首を傾げて,大きな目を細めた。三津は徐々にその目を見開いて,

 

 

「あー!あの時のべっぴんさん!」

 

 

興奮を抑えきれず,失礼ながら指をさしてしまった。

 

 

「良かった覚えててくれた。今日はあなたにお話があって来てん。」一度きりしか会った事のないべっぴんさんが一体自分に何の話だろうか。

 

 

わざわざ壬生に会いに来るとなると,まぁまぁ重要な話だと三津は思う。

だけど,ほぼ面識のない彼女から重要な話があるなんて思えない。

 

 

うーん…と首を傾げる三津の周りを,構って欲しくて仕方ない宗太郎はぴょんぴょん跳ねる。

 

 

「宗太郎ちゃん,すぐ終わるからあのお兄ちゃんらと遊んでてね。」

 

 

彼女はべっぴんさんの特権である色香と言うものを,まだ子供である宗太郎に惜しげもなく振りまいた。

 

 

「…しゃあないな。ちょっとだけやで。」

 

 

『あ,顔赤らめやがった。』

 

 

子供でも男は男だった。

為三郎や勇之助までもいっちょまえにポッと頬を桜色にしていた。

 

 

『私にはあんな恥じらった顔せんクセに…。』

 

 

何だか腑に落ちないが,今はこのべっぴんさんと話しをしなければならなかった。

後で覚えてろよと胸の内で思いながら,べっぴんさんと境内の石段に腰を下ろした。

 

 

「あの,話しとは?」

 

 

「もう,びっくりしたわ。会いたくなってお店に行ったら新選組に行ったって言うんやもん。副長さんに恩返ししてるんやって?」

 

 

笑顔を崩さないまま,華奢な指が三津の頬へと伸びて来た。

その指で柔らかな頬を摘んでは横に引っ張って,その感触を楽しんだ。

 

 

「ホンマに白玉みたいやわ。このほっぺた欲しい。」

 

 

きゃっきゃと嬉しそうにしているから肝心な話が進まない。

 

 

「あのう…。」

 

 

ほっぺをぷにぷにされながら,あまり直視出来ない色っぽい目を覗いてみると,

 

 

「そうやわ。お三津ちゃん,副長さんの事好き?」

 

 

突拍子の無い発言が飛んできた。壬生までやって来て聞きたかった内容がそれなのか?

 

 

「まぁ…どっちかと言うと。」

 

 

好きか嫌いかで聞かれると好きな方に入ると思う。

何だかんだ言っていい所はあるもの。

 

 

それが何か?と問い返せば,彼女は含みのある笑みを見せた。

 

 

「じゃあ噂は本当なんや。

副長さんが傍に置いてる大事な女の子って言うのはお三津ちゃんで間違いないのね。」

 

 

「は!?」

 

 

自分が土方の大事な女?それは初耳だ。

…と言うより大事にされてると感じた事は微塵もない。

しかも傍にいるのは小姓だからで,それ以上でも以下でもない。

しかも噂って何だ…。

 

 

「噂って…どんな噂ですか?」

 

 

その内容が問題だ。前に土方と出掛けた時に一緒に居ただけで“土方の女”と勘違いされたが,それが変な噂になって広まってしまったのか。

 

 

「副長さんが自分の女を屯所に連れ込んで片時も離さへんって聞いたわ。」

 

 

「事実無根です!」

 

 

やっぱりだ。噂と聞いていい話じゃないとは思っていたけど,

 

 

『その言い方やと私と土方さんがいかがわしい関係みたいやんかぁ…。』

 

 

いくら新選組を嫌っているからって,そんな出鱈目を言いふらすなんてあんまりだ。