水商売や楽団の他に何をやって食っていた?

男は言った。

 

ああ。パチンコ屋の玉磨き

朝四時からの調理パンの仕込み

・・・・ああ。新学期近くは沖中師をやったわ。

 

あれか?荷物を背中にどんどん乗せられるな?

オレも同じようなことをやったよ。

乗せられた時に背骨がギシギシ軋んだろ?

背骨がに三個潰れてんだわ

歳を重ねたら傷むから気を付けな

と 男は笑った

 

あなたは血の欺瞞を背負わされて軋み

それを守るためにそうした

 

オレはそれを壊すために

そしてそこじゃない夢のためにそうした

オレは欺瞞に満ちた血縁から抜けるために

姓を消すために

 

宿命を背負った あんたを尊敬していると言ったら

 

感嘆にに尊敬なんぞ言うな

持つこと 支配することが正義の場所でそれは

一番の美辞麗句で皮肉な言葉で粛清の対象になるんだ

 

ああもう寝るわと

父と言う冠が付いた男が云った。

 

 

便利な世の中になって

海を越えても日帰りができるようになりました。

あなたに連絡を差し上げたのは案内をしてほしいからです。

他の血の者にも言ってはおりません。

今日 わたしがここにいるのはあなたの他には亭主しかおりません。

わたしという人間個人が最後に顔を見てお礼と伝えておきたかったことがあるのです。

それが済んだらまっすぐにわたしは帰りますゆえに

 

そうですか。

では案内いたしますがわたしは外で待っております。

そのほうがあなたの趣旨に沿える

だってあなたは公式にはここにはいないのですから。

存分にどうぞ

 

30分だった。

彼女は外に出てきた。

 

あれから随分立ちますがあなたは変わっていませんね。

わたしが言うのも傲慢ですがそのままでいらっしゃってくれれば嬉しいです。

一枚の絵として。

あなたが坂の多いあの街にわたしが住んでいた時に来てくれて

坂に照らす夕日の中 バイクに跨って帰って行ったのを強烈に覚えておりますよ

もう、ここで結構ですよ。

お手間かけました。

どうぞあなたはあなたを全うしてくださるよう。

 

そうして駅の改札を抜けて

その3時間の出来事が吾も幻燈のように覚えている。

 

 

「嫉みの哀歌(ブルース)」

 作詞:有栖川下種麻呂 作曲:遠井放非

 

金で動かせるほど 財はなし

力で押し切るほどの 地位もなく

さういう者を羨望し 引き上げられることを期待して

靴の裏まで舐めましょうか?

あなたの下僕でございます

しかし旦那は無情にも あなたの名前さえ憶えてぬ

 

夢に見た己には程遠く

遠いからこそ 下を見る

さういう者を下げすんで おのれの今を胡麻化して

おいらの下僕でございます

しかし無情にもその者は 貴方の名前を嗤ってる

 

靴を舐めての日常に

さげすむ相手を探す日常に

虚しさ感じて英雄気取り

そこを抜けたら 見る地獄

いっそそこでしか居れぬなら

ここの座長を目指します

 

沈トン 沈トン 沈トン トン

素チャラ チャラ チャラ 

手ケ 丼 丼