「ピュア ピュア リップス」
このサビに苦しんだ松本隆。

40年前の今日(2/1)、
聖子の「Rock'n Rouge」がリリース。

カネボウ化粧品の「バイオ口紅」のCM曲。
サビが印象的で春めいたいい曲だ。

聖子のシングル売上 第5位、
67.38万枚の大ヒット曲だが、

作詞の松本隆は、カネボウ側から
「PURE PURE LIPS」というフレーズを
サビに含むという制約を課されていたため難航し、
締切間近に音信不通になってしまったという。
(wikipediaより)

 

Rock'n Rouge 松田聖子 (レコード音源)

 

カネボウ化粧品 バイオ口紅 CM 1984年
「聖子の口紅、花染め色」「ピュアピュア」


カネボウ化粧品 バイオ口紅 1984年

「Rock'n Rouge」は曲先。
曲が先に作られ(作曲は呉田軽穂=松任谷由実)、
後から松本隆が詞をつけたものだ。

その歌詞は先の理由で何度も書き直された。
化粧品CMが注目されていたこの時代、
カネボウ側もナーバスになっていたと聞く。

不採用(没テイク)になったレコーディングも
流出している。以前はYouTubeにあったが
今は無いので別サイトのリンクだけ

紹介しておこう(リンク)。

リリース版と不採用版の歌詞の比較は次の通り。
赤字部分がリリース版と異なる箇所だ。
レコーディングまでして半分以上ダメ出し。
松本隆が逃げ出したくなるのもよくわかる。

 

でも僕は不採用版を結構気に入っているんだ。

いまいち決まらない彼氏。


「(モテるのは)かなり疑問形」
「(モテると言う)その割には暇そうだわ」

と、彼女も随分手厳しいが

その言葉には愛嬌がある。

気の弱い彼氏。

肩にまわした手をつつかれたら
妙によそよそしく感じて傷つくけど
すぐにブルーになるなよ。

風でチラチラするミニスカートを
指の隙間から見るなよ。バレてるよ。

「君がスキだ」はもつれず言えよ。
でもその前にもっと言い方あるだろ。

僕なら説教したくなる
そんな彼氏を
リードして優しく受け入れる彼女。

「花色」「唇」「純粋」など
CMに関係したキーワードも
ちりばめられてるし、
なにより2人の関係にほっこり。

全体のストーリーの流れも
不採用版の方がずっと自然だ。

ただ不採用版の一番の難点は、

「PURE PURE LIPS 唇の
動きで意味が分かる フレーズがいいわ」

など、一部の「PURE PURE LIPS」が
彼女でなく彼氏の唇の意味にも取れること

かな。


ここ、カネボウは見逃せなかったのかも。

このためかどうかわからないが、
「PURE PURE LIPS」まわりのサビは
全面的に書き直しになった。

「PURE PURE LIPS」を
彼女のくちびるにするために
リリース版ではどうしたか?

結局、彼氏はサビから退場。
しゃべらない彼女には
KISSの空想でアプローチ。
最後はシーンも
海から横断歩道に変えちゃって。
いやこれ、かなり強引だわ。
オシャレ感はあるけどね。

松本隆さん。お疲れ様でした。

「PURE PURE LIPS」でなくても
いい歌になっていたと思います。

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「Rock'n Rouge」は松田聖子の16thシングル。

作詞 松本隆、作曲 呉田軽穂(松任谷由実)、
編曲 松任谷正隆

1984年2月1日リリース。
9thアルバム「Tinker Bell」にも収録。

カネボウ化粧品
「レディ80 BIOリップスティック」のCM曲で
春の化粧品キャンペーンソング。 

1984年4月21日~6月10日の
聖子の全国コンサートツアー

「Fantastic FLY」は、
カネボウ化粧品が協賛で
「カネボウ レディ80 スペシャル」の冠付き。
もちろん「Rock'n Rouge」も歌われた。

僕もこのコンサートに行ってたので
チケットやパンフレットの写真を載せておこう。
(上のバイオ口紅の写真もパンフレットから引用)
聖子のコンサート 3000円だったんだ。懐かしい。