「ひきこもり」から家族を考える という本を読みました。
この本は大阪にあるひきこもり支援施設の淡路プラッツの代表だった田中俊英さんが10年前に書いた本です。

71ページしかなく、薄い本ですが、シンプルにひきこもり支援について書いてあるわかりやすい本だと思いました。

 

この本は家族がひきこもり支援を受けるときの心構えが書いてあるように思いました。



まず、ひきこもりとは「単なる状態像」という言葉から始まります。
その言葉にとても客観性を感じます。
そうなんです。状態であって、「病気」とか「障害」とか「良くないもの」って腫物に触るように扱わなくてもいいんだなって、とらえました。
またよくひきこもった原因を親も支援者も探しがちですが、本当はそんなのはよくわからないし、原因は1つではないと思います。
それより、まず「今どうしたいか」を本人に聞いて、それを支援者なり、親がお手伝いしていくことが支援だと思います。
って、そんな簡単ではないですが。

 

支援の段階の章は特にわかりやすいです。
ステップ1 親子関係の再構築
ステップ2 自立を言語化しない
ステップ3 外出を手伝う
ステップ4 必要な支援を見分ける
ステップ5 支援機関に一緒に行く
ステップ6 社会参加
詳しくは書けませんが、ひきこもりから脱け出すには「逆転ホームラン」を打つのでなく、ひとつずつヒットを重ねていくのが近道なんだと思います。
本人のペースに合わせて。

 

最後に「救世主はいない」ってところがすごく印象に残りました。
親は本人のために必死だし、支援者に救世主性を求めがちです。
だから期待に少しでも応えてくれないと、そこの支援をやめてしまう。
でもひきこもり支援に劇的にかつ、親が思うような支援はないと思います。
正解はないですが、支援者は本人に寄り添って、地道にコツコツ進んで、ときにはさがってやっていくのが1番だと思います。
本人を信じて。
だから支援者は引っ張っていくことよりも能動的に「待つ」ことが大事なんです。
待つとは何もしないわけではなく、「本人を信じて、ともにいて、本人のペースで動き、情報がほしいときは適切な情報を与える」ことだと解釈しています。

 

この本は特に斬新でもありませんが、ひきこもり支援の基本が載っています。
この通りにやれば、大きく間違うことはないと思いました。

 

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