みんなが日々の義務と試練に向き合いながら、その人自身の人生の道を一生懸命に歩いている。ただ、その背中には、重い荷物のように日々の悩みや困難が積み重なっている。

 

誰もが願うのは、穏やかで平和な日々。しかし、そのような日々は珍しく、度々、困難や試練が我々の前に立ちはだかる。身体の疲れは休息によって癒されるかもしれないが、心の傷はどうだろう?

 

「今日も一生懸命頑張ったのに、なぜ報われないの?」

 

「なぜ自分だけこんなに苦しんでいるの?」

 

そんな疑問とともに、自分の価値を疑い、自分に自信を失い、過去の後悔や未来への不安が頭をよぎることもあるかと思う。人間関係も複雑で、時として心を疲弊させ、うまくいかないときにはどこか遠くに逃げ出したいと思うこともある。

 

そんなあなたのために、私はこの本『これからは自分を一番に考える』(すばる舎)を書きました。心が疲れ、迷子になった時、この本を開けば、あなたに寄り添い、あなたを癒す言葉が、あなたを待っています。暗い夜の中、灯りのように、その言葉たちはあなたの心を温めてくれると確信しています。

 

私の願いは、この本の文字たちを通じて、少しでもあなたの心が軽くなり、自分自身を信じることができるようになること、過去への後悔や未来への不安から解放され、明るい未来に向けて新しい一歩を希望を持って軽やかに歩んでいけるようになること、です。

 

あなたの中には、自分自身を大切にし、自分を癒す力が内在しています。外部の評価や他者の視線に振り回されることなく、自らの心の中で、自分の価値を見つけ出すことができるのです。

 

生きていると、どんなに強くても、どんなに明るくても、時々力が抜けてしまう時があります。そんな時こそ、自分を労わり、自分の心と向き合う時間を持つことが大切です。この本が、そんな時のあなたの心の支えとなり、あなたの心を温める一冊となれば幸いです。

 

以下では、私がこの本に込めた想いを、様々な角度から書き綴ってみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

私たち一人ひとりの胸の中には、他者との関係や自分自身の人生に対する多くの問いが浮かび上がります。その答えを求めて、私は多くの経験を重ねてきました。そして、その経験を通して得た最も大切な教訓を、みなさんに伝えたいのです。

 

それは、自分を真っ先に大切に思うこと。この一つの行動が、自分の幸せを引き寄せる魔法のような力を発揮してくれます。私が自分を愛することで、その愛は周りの人々へと自然に広がっていく。見返りを求めずに、純粋な喜びで他者に愛を与えることができるのは、まず自分が満たされているからこそである。

 

自分を大切にすること、それは自分の心を解放し、自分の世界を豊かにする第一歩。そして、その豊かさが、出会う人々にも広がっていく。

 

本書を通して、自分の心の中にある答えを見つけ、自分を深く愛し、そしてその愛を無償で他者に分け与えることができる日が来ることを心から願います。

 

 

 

 

 

 

 

私は韓国で生まれ、そこで幼少期を過ごし、19歳の時、初めてこの日本の地を踏みました。初めてみた日本のドラマ「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」での情熱的で繊細な恋愛物語を目にした時、私の心は一瞬でその世界に引き込まれました。そこで描かれる感情の機微、絡み合う人間模様、交わされる感度の高い言葉、そして細やかな日常の美学に魅せられ、私は日本語を本格的に学び始めました。未知の言葉の中に隠された意味やニュアンス、なんとも美しい日本の精神や文化に触れることで、私の日本への憧れは急速に深まっていきました。

 

日本語の勉強は決して簡単ではありませんでした。最初から一番美しい日本語から学ぶと決めていたので、毎日の私の日本語の先生は、朝日新聞の社説や岩波文庫でした。そこに散りばめられた、当時の私にとっては複雑難解だが、本質的で高度に美しい言葉や表現、それらを理解するための努力の日々は、私にとっては心が喜ぶ贅沢な時間でした。

 

日本の大学に国費留学をし、アメリカの大学院博士課程、そして博士学位を取得した後は、ドイツで研究員生活を経て、30歳の時に日本の慶應義塾大学の特任准教授になりました。10年間の教員生活の間に、イギリスやアメリカの大学への客員研究員を歴任し、教員を離れてからは、大学のクラスメイトで学生結婚した日本人のワイフと、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、を拠点に生活して来ました。

 

ただ、多くの国々を旅するように生きる中で、私は日本の美しさや日本人の心の温かさ、そして日本人の生活の中に息づく美学や哲学が持つ凄みをより深く感じるようになりました。

 

特に、日本の女性の持つ、繊細な感性、家族や社会に対する愛情と献身、そして何より、日常生活の中のさりげない美しさや所作。これらは、他のどの国でも感じることができない、日本独特のものでした。

 

ただ、世界随一の優しさや思いやり、そして美意識を持つ日本の女性ですが、他者に尽くすあまり、自分自身の幸せや心のケアを忘れてしまうことが、私にはとても心配に感じられました。

 

彼女たちが献身的に生きることで、彼女たちの周りの人々は幸せを感じる。しかし、その献身の影で、彼女たち自身は自分の幸せを後回しにしてしまっているのではないか。そのような優しさあふれる日本の女性たちに、私はある時からどうしても伝えたいメッセージがあり、それを一冊の本にしたかったです。

 

そのメッセージとは、

 

「あなた自身の幸せも、大切にしてください。」

 

ということでした。

 

もう自分を犠牲にすることなく、自分の心と体を大切にし、自分の人生を輝かせるためのステップを踏み出してほしいと思いました。

 

あなたの手の中には、自らの未来と幸せを刻む力がある。その力を解き放ち、自分の心と体を満たす時間を持つことは、決して贅沢ではない。それは、あなたの本当の力を取り戻すための大切なステップであると共に、他者に与える愛や優しさは、まずは自分自身を愛することから始めてほしい、と思いました。

 

以下においては、私がこの本に込めたそういう想いを「5つのメッセージ」にして書いてみたいと思います。

 

 

 

 

 

1.自分を無条件に受け入れ、自分をありのまま愛せよ

 

 

時として、私たちはこの広大な世界の中で、自分の価値を見失いがちです。忙しい日々の中で、他者からの評価や期待、社会の無言のプレッシャー…。これらが私たちの耳元でささやき、私たちの真の価値を覆い隠してしまうことがしばしばあります。

 

しかし、心の奥底には、静かながらも力強い声が存在しているのも事実。それは、「私は私として、十分に価値がある」という声。私たちは、生まれた瞬間から、無条件で愛される価値を持っています。そう、あなたが誰であるか、何を持っているか、どれだけの実績を積んできたかといった外部の指標ではなく、あなただけが持つ独自の存在価値、それが私たちの真の魅力なのです。

 

外の世界からのささやきに耳を傾ける前に、まずはその心の声に耳を傾け、自分を深く受け入れることが大切です。外部の声や期待に振り回されることなく、自分自身の中心を見つめ、自分の価値を信じること。それが、真の自己受容の始まりです。そして、その自己受容が、他者との関係や人生の中での多くの瞬間を豊かにする鍵となります。

 

私たち一人ひとりが持つ、独自の価値や魅力。それは他者との比較や、一般的な成功の定義では計れないもの。自分自身をありのままに愛することは、他者に対する愛の源ともなります。

 

今、この瞬間に、自分の心を大切に抱きしめ、自分を無条件で愛してください。その愛が、あなたを包み、生きる喜びや勇気を与えてくれます。

 

あなたは、あなたとして、美しい。そして、その存在そのものが、この世界にとってかけがえのない宝物なのです。その美しさや価値を、心から受け入れ、愛してください。そうやって自分を愛することで、あなたの心は、さらに輝くことでしょう。そして、その輝きが、周りの人々にも幸せや愛をもたらすことでしょう。

 

「私は私」として、自分の存在を深く受け入れること。それは、簡単なようで、なかなか難しいことです。私たちは常に完璧を求めがちで、自分の過ちや未熟さに目を逸らしたくなることもあります。しかし、あなたの中の小さな欠点や迷いも、あなたの魅力の一部なのです。

 

考えてみてください。自分を全て受け入れ、愛することができる人が、他者に対してどれだけの深い愛や理解を持てるのでしょうか。反対に、自分の内面に満ち足りた愛がなければ、他者への愛もどこか一歩引いたものになってしまいかねません。

 

あなたの中には、輝く宝石のような美しさが眠っています。それを磨き上げ、愛することで、あなたの人生は一層輝きを増していくことでしょう。そして、その愛はあなたの周りの人々にも伝わり、愛の連鎖が始まるのです。

 

愛は、自分自身から始まります。自分を深く受け入れ、愛すること。それは、他者への愛の源ともなり、人生の中で最も価値ある経験の一つになります。そして、私たちはその愛を通じて、互いの価値や美しさを認識し、尊重することができるのです。

 

 

 

 

 

2.不安や恐れを乗り越えて前に進もう

 

私たちの人生は、無数の色彩と線が交錯する絵画のように、複雑で魅力的です。同時に、生きる道には、多くの困難や不安が交差することも多い。その中で、陰と陽、明と暗、静と動のコントラストが、私たちの人生のキャンバスを豊かにしています。

 

あなたも、今、何かの困難や不安に立ち向かっているのかもしれませんね。そんな時、自分が小さく感じることもあるかもしれません。でも、あなたの中には、思いの外、強い力が宿っていることを忘れないでください。

 

どんなに暗い雲が空を覆っても、太陽は必ずどこかで輝いています。あなたの心の中にも、その太陽のような明るさ、希望が必ずあります。困難や挫折が道を塞ぐとき、私たちはしばしば自分を非難し、過去の選択を後悔しがちです。しかし、その瞬間こそ、自分の中の太陽に目を向け、再びその輝きを取り戻すチャンスなのです。

 

日常の中で、困難や失敗に直面した時、その太陽を忘れずに、自分を信じて前に進んでみてください。もし、あなたが道に迷ったと感じるとき、足元を見てみてください。そこには、これまでのあなたの足跡がしっかりと刻まれています。それらの足跡は、あなたの過去の経験、挑戦、そして成長の証です。それらを胸に、未来への道を切り開く勇気を持って進みましょう。

 

「あの時、もっと頑張ればよかった」「過去の自分に後悔している」

 

そんな風に思うこともあるでしょう。しかし、その後悔も、あなたの成長の一部。過去の自分を叱るのではなく、その経験を胸に、未来を切り開いていく勇気を持ちましょう。

 

気分が沈んだ日には、自分を少し甘やかしてもいい。好きな音楽を聴いたり、美味しいものを食べたり。

 

未来の不安に思いを馳せるときは、深呼吸して、今、この瞬間を大切に生きることを思い出してみてください。そして、過去の自分と和解することで、新しい一歩を踏み出しましょう。

 

あなたは一人ではありません。人は、困難や不安を仲間と共有することで、支え合い、乗り越える力が倍増します。一歩ずつ、ゆっくりと、でも確実に前に進んでいきましょう。

 

あなたの人生は、あなたのもの。その全てを愛し、大切にしてください。私も、そういうあなたを心から応援しています。

 

 

 

 

 

 

3.忘れられた大切なものを再発見せよ

 

今、この瞬間、あなたはどんな気持ちですか?忙しさの中、自分の心の声を聞く時間が減っていませんか?私たちは、時に多くを背負いすぎてしまうことがあります。情報社会に流され、さまざまな役割の中で自分を見失い、どれが本当に大切なのか、わからなくなってしまうことも…。

 

どんなに忙しくとも、たまには立ち止まり、一息つく時間を持つことは、自分を大切にするために必要な行為です。そう、あなたが忘れてしまっている大切なものを再発見するための時間を意識的に持つのです。

 

あなたが日々果たしている仕事や家庭の役割、人間関係の中での役目。それは確かに大切で、期待や責任が伴います。でも、それだけが「あなた」ではありません。忘れてしまっているかもしれない、本当の自分、本当に大切なものを見つける旅に、出てみてください。

 

例えば、完璧を求めることが当たり前のように思える時代。しかし、私たちにとって、完璧を追い求めることよりも、「楽しむ」ことの方がより価値があると、私は思います。完璧を追い求めるあまり、自分を過度に追い込むことなく、その瞬間瞬間の喜びや楽しさを大切にしたいものです。そんな考え方を取り入れてみると、心が軽くなり、日常が一層彩り豊かになると思います。

 

だから、今一度立ち止まって、自分自身を見つめ直してみてください。あなたが忘れてしまっている、心の中の大切な宝物を再発見することができるかも知れません。

 

 

 

 

 

 

4.欠点を丸ごと受け入れ、不完全の持つ美しさに気付こう

 

完璧な私たちはいない。それが、私たちの最も美しい部分でもある。

 

毎日、さまざまな人々との繋がりの中で、私たちはその「不完全さ」を感じます。家族との意見の違い、恋人との小さなすれ違い、友人との間での誤解や言い争い、そして仕事上の悩ましい人間関係。

 

それぞれの関係性が私たちに問いかけること、それは「あなたは、そのままの自分で大丈夫か?」という問いかもしれません。

 

恋愛、特にその中で私たちがつまづくこと、それは「私、このままで愛されているの?」という疑問。

 

しかし、真の愛情とは、相手の欠点や不完全さまでを受け入れ、それを「完全」と感じること。あの偉大なゲーテさえも、愛の中には「欠点までの受け入れ」が必要だと言いました。

 

その不完全さが、実は私たちの「完璧」。美しい花にも傷がある。でも、その花は自分の美しさを知っている。私たちも同じ。自分の欠点を受け入れることで、初めて自分自身の真の美しさや愛を知るのです。

 

そして、その受け入れの心、それは他者への愛情にもつながる。あなたのパートナーも、あなたと同じように不完全。でも、その不完全さこそが、二人の絆を強くする。

 

完璧を追い求めるのではなく、今の自分を受け入れ、その美しさを見つける旅に出る。それが、真の自己愛を育む鍵なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

5.「これからは自分を一番に考えよう」

 

私がこの本の中で最も言いたかったこと、それは「これからは自分を一番に考える」ことでした。

 

特に、日本の女性のみなさんは、他者のために自分を犠牲にすることが多い。子供のため、夫のため、仕事のため。しかし、真に幸せな毎日を送るためには、自分自身の心の中を見つめ、その心の声に耳を傾けることが必要です。

 

そう、毎日を「自分のための日」として、自分の誕生日のように特別に過ごす。その日、その瞬間、その一秒一秒を自分のために生きる。そうすることで、人生全体がキラキラと輝き始めるのです。

 

「でも、そんなに自分を大切にしてもいいの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、私たちが本当に他者を幸せにしたいと願うのであれば、まずは自分自身が幸せでなければなりません。自分を満たし、充実させることで、初めて他者にも、その幸せを喜びを持って分け与えることができるのです。

 

そのためには、日常の忙しさから一時的に離れ、自分だけの静寂な時間を最優先に持つことが大切です。静かな場所で、ゆっくりと深呼吸をし、自分の心の声に耳を傾ける。それが、自分を一番に考える最初の一歩です。

 

「今、私は何を感じているのか」「本当に私は何を望んでいるのか」。この疑問に対する答えは、あなたの中にしかありません。だから、静かな時間を持ち、自分自身との対話を深めてみてください。

 

 

 

 

 

 

結びにかえて

 

あなたが歩む、この長くも短い人生の旅。

 

あなたが歩む道は、ひとつひとつの経験が花びらのように積み重なり、花となって咲き誇る。

 

あなたが持っているその瞳、その笑顔、その癖、そしてあなたの考えや感じ方。それら全てが、この世界にただ一人だけの「あなたらしさ」を形作っています。この一つ一つの独自性が、あなたの真の価値です。

 

「どうせ私なんて」と、自分を軽んじることなく、胸を張って「私は私」と言える日々を追い求めてみてはいかがでしょうか。外部の評価や他者との比較を超え、自分自身の中にある無限の価値を感じ取る。それが、私たちが本当に豊かな人生を歩むために必要です。

 

今、もしもあなたが自分の存在や価値に疑念を感じているなら、

 

私からの小さな提案を。

 

静かな場所で、心を落ち着けて、鏡の前に立ってみてください。そこに映るあなたの瞳をじっと見つめてみてください。その中には、輝きや希望、そしてこれからを生き抜く力が宿っています。

 

もし、その瞳に涙が滲むことがあれば、それもまたあなたの美しさの一部。涙と笑顔、どちらもがあなたのかけがえのない魅力。それを忘れないで。

 

あなたの物語が、これからも美しい章で続くことを、心より祈っています。

 

ジョンキム

 

 

 

『これからは自分を一番に考える』ジョンキム著 (すばる舎)

 

 

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 :朝5時から毎日開催。本書の朗読&解説も有り。

 :インスタグラム: johnkim_love