パガニーニ : ヴァイオリン協奏曲 第4番 | JohnnyClassic

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ロック・ヴォーカリストJohnny が、厳選し紹介する
次世代にも引き継いで行きたいクラシックの名盤選集です
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【指揮】 ピエロ・ベルージ

【演奏】 アルテュール・グリュミオー 

     モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団

【録音】 1972年

 

このブログも長い期間放置したりしていますが、案外終わりません(^-^;) 今回も入れ替えです、前はアッカルドのを挙げていました。録音は良いのですが、正直、面白みも何もなかったかな、と。

 

この曲を復活蘇演したのは、グリュミオー。やはりその人の演奏で聴きたいと前から思っていたのですが、アッカルドのを買ってしまっていたし、常に資金難で買えず(涙)、ようやく1000円で再発されたのを購入した次第。また、グリュミオーの演奏を今まで一つも挙げていなかったので、やはり「ヴァイオリンの鬼神」と称されるこの方の演奏は一つくらいは挙げておきたいな、と。

 

上品な演奏ですよね、決して粗野にならない。古い録音のイメージがありますが、この盤はそれ程でもなく、良い音で収録されています。古い録音は、ヴァイオリンだと、膨らみがなく高音がキーキー言って聴きづらいものが多いですね。

 

ただ、この盤を聴いて、涙を流すくらい感動するかと言うとそれ程でもないです。併録の1番の方は、この音程で合っているの?と思う様な奇異なソロもあったりします。やはりメインは4番です、パガニーニの協奏曲中でも一番でしょう。

 

特徴は何と言っても哀愁のメロディの2楽章、デヴィッド・ギャレットが主演したパガニーニの映画でメインテーマとして使用されました。恋人の歌手が歌う歌曲にもアレンジされていました。あらゆるヴァイオリン協奏曲のアダージョの中で一番好きですね。

 

その映画、どうにも彼が扮するパガニーニがだらしない男で、一度観たらもう二度目はいいや、と思えます。不必要なヌードシーンに、最後は病気にかかった汚らしい顔。他の映画でもそうなのですが、例えば、ベートーヴェンのものや、マイルス・デイビス、クイーンなど、なぜあんなに奇人変人に描くのでしょう。殆どが他人とのコミュニケーションもままならない様なくらい誇張されており、憤りすら感じます。

 

と言うのはさておき、4番の第1楽章の冒頭、楽団の切迫感のある鋭くかつ激しい切り込み方がいいですね。これがアッカルドとデュトワにはなかった。指揮者も楽団もこの盤が唯一ですが、とてもいい演奏です。正直に言うと、ソロよりもこのバックの演奏が良かったのが選盤の決め手となりました。

 

第3楽章はロンド、舞曲調でそれっぽい曲です。パガニーニの協奏曲は、やや古めかしく、まさにイタリア的な大袈裟な感じを受けます。曲としてはそれ程好みではありません。と言いますか、ヴァイオリンならずピアノ協奏曲でも、それ程好きな曲はありません。やはり交響曲→管弦楽曲の順で好きなので、あまりこのジャンルは自身に合わない感じです。

 

今回ちょっと思ったのは、同じ曲で2枚好きな盤があれば、美味しんぼの究極のメニューと至高のメニューみたいに、対決させてみても面白いかな、と。山岡さんが見た目の良さと新しさでアッカルドを出して来たなら、海原雄山は正統派のグリュミオーを出して来て、結果、唐山陶人や京極万太郎ら高齢者の審査員に受けて、雄山が勝った、みたいな(笑)。頑張って録音された指揮者や楽団やスタッフにはちょっとひんしゅくかもしれませんが、どんなに良い楽団で良い演奏だ、と言われても、音楽は所詮趣味の世界で強制されるものではないので、自分の好みが一番なんですね。