「僕達はまだその星の校則を知らない」
評価の記号は全て以下の通りです
★めっちゃ良かった
◎良かった
○フツー
△イマイチ
「僕達はまだその星の校則を知らない」は★
学校嫌いの弁護士がスクールロイヤーとして
令和の高校生や学校の問題を解決しようと
奮闘する物語。
タイトルが長いのと“その星の”と来たら“法則”
じゃないの?なぜに“校則”?という懐疑が先行
してしまって、あまり視聴意欲が湧かなかった
んですが始まってみるといきなり先生達が総出
でメタ演出!
「いきなり変化球か?」
と訝しんだもののあまりの主人公の変人ぶりに
次第に惹かれ始め(土門のようなキツい変人では
なく独自な感覚、用語が多すぎ)、推しの堀田
真由ちゃんが結構普通なキャラで自分の印象
にある「ザ堀田真由」で好ましいなっていう
ので作品自体も好印象に変化・・・。
初話でいきなり学校集会で裁判っ!
「なんだ!?『御上先生』みたいな作風か!?」
と思ったものの、あそこまで重厚感はない。
尾見としのり、平岩紙、坂井真紀など定評の
あるバイプレーヤーさん達が出演してるものの
犇めいている感のほうが強く学園モノなので
生徒役の俳優さんも多くちょっと情報過多
でしたが2話ですでに各キャラも立ち始め
「これは化けるヤツだ」と思い始めたらもう
嵌ってましたw
5話辺りで天文部の合宿を白鳥宅で行う頃には
どっぷり作品の虜となってました。
白鳥くんの頼りなさが良いアジでしたね。
また珠々先生のホンっとに普通な感じ、普通
だけど良い先生っていう劇中のセリフにも
ありましたが、そのキャラが良かった。
普通だけど宮沢賢治愛が異常だっていうね。
独自の感性の謎言動が多い白鳥くんとよく
お似合いだったと思います。
ムムス、ポポムなど謎過ぎる単語で状況を
表す、綺麗な立体が湧き出る、得体の知れない
黒い影が飛び交うなどの幻覚が見える等等。
きっと白鳥くんには本当にああいう景色が
見えるんでしょうね。
そういう感覚を持ってるんでしょうね。
視聴者からするとファンタジー現象、
ファンタジー描写という言葉になってしまう
んだけど。
また、天文学と明治文学(宮沢賢治作品の
引用?)がない混ぜになってか、折に触れて
唱えられる“古文ほど古くないけど完全な現代語
でもない”詩集の中の詩のような美しい文章が、
古文ほど古くないので意味は理解できつつ
現代語にはない美しい響きがあって、それも
この作品の魅力であったなぁと思います。
白鳥くんの独特の感性から成る言葉が好意を
持っている珠々ちゃんに向けられると、自分
ではごく平凡だと自覚している珠々ちゃんの
中に心地よく沁み渡っていく、その様子が
こちらにもよく伝わってきて
「あぁ、どんどん珠々ちゃんが白鳥くんの事
を好きになっていく」という描写がこの上なく
微笑ましかったです。
それを表現する堀田真由ちゃんの表情の演技が
素晴らしかった。
なんだ?何を言いたいんだ?っていうキョトン
とした表情がみるみる恋する乙女の顔に
変わっていく、そんな場面が何度あった事か。
それだけで幸せ、幸いな気分になれましたね。
白鳥くんと珠々ちゃんの恋路はサイドストー
リーとして。
生徒や学校の問題を解決していくという本題。
こちらももちろん必見でした。
制服問題、失恋問題、盗撮疑惑に教師と生徒の
恋愛問題・・・etc。
学校での出来事を法律に照らし合わせてみて
責任の所在を明確化する。
けど被害加害両方の意見、想いを聞き入れて
解決策を模索する。
その姿勢が受け入れられて主人公は学校で
過ごす人々から信頼を勝ち取っていく。
学校を忌み嫌っていた主人公は「今漸く青春を
謳歌している気がする」とまで発言するほどに
生きづらさを克服していく。
考えさせられもし、幸いな気持ちにもさせて
くれる傑作でした。
「御上先生」とは全く別物でしたね。
信頼され過ぎて終盤、斎藤ちゃんが大麻問題で
警察に連行された際、斎藤ちゃんを守る為に
スクールロイヤーを辞さなければならない展開
は苦しかった〜。
結局、斎藤ちゃんを助ける道を選んだ際の学校
を去る決意を天文部で語る場面は
「あの白鳥くんが強い意志を持って茨の道を
選んだ」
という感動と初話から絆を育んで来た他の
天文部員達と別れなきゃいけない悲しさとで
胸が掻きむしられる想いでした。
そして最終章。
厳しくも生徒想いの学年主任という立ち位置を
形成していた平岩紙さん演じる山田先生の学校
への訴訟問題。
これが素晴らしかった。
本作の真髄が込められたエピソードだったと
思います。
証人に生徒達を召喚し、学校・山田先生双方
への想いを語らせる。
初話の学生集会での模擬裁判の再現だと
思いました。
各々の真剣な想いを論じ合わせて誰も置いて
いかない、誰も悪意がある訳ではない、という
のを詳らかにさせる。
見た事のない裁判シーンでした。
これによって和解成立というね。
本作らしい最終エピソードだったと思います。
多種多様の時代と言われる昨今、だからこそ
全員の意見に耳を傾ける、そんなメッセージが
込められた大傑作だったと思います。
主たるメッセージ性は至極真っ当、主人公の
人格はかなり変人だという色付け。
それが融合された、また一つ月10カンテレ枠の
株を上げた作品だったと思います。
生徒役の皆さんも皆んな良かった。
近藤華ちゃんと日向亘くんぐらいしか知らん
な〜、菊池姫奈ちゃんはグラドルだったっけ?
ぐらいの自分の領域でしたが主要生徒役の
皆んな全員良かったです。
よくもまぁ見つけてくるな〜と。
そこの面でもさすがカンテレだなという印象です。
