「愛の、がっこう。」
評価の記号は全て以下の通りです
★めっちゃ良かった
◎良かった
○フツー
△イマイチ
「愛の、がっこう。」は★
大失恋を経て喪失感の中生きる教師の女性と
学習障害を持つ若いホスト、生きづらさを
抱える2人の許されない切ない愛のヒューマン
ドラマ。
高校教師とホストの禁断の恋、という開始前の
キャッチコピーのせいか忌避されがちな作品
だったかと思いますが、そんな単純なモノでは
なかったと思います。
初話時点で既に名作の空気が漂っていました。
挿入歌、劇中歌が素晴らしいんですよね。
アレのおかげで何気ないシーンでも途端に何か
を含んでいそうな切ない気持ちにさせられる。
そしてなんと言っても主人公の木村文乃さん。
上手過ぎる!
別格にして格別w
どこかの喫煙アイテムCMのキャッチコピーが
そのまま当てはまるような素晴らしい演技でし
た。
凛としたキャラをやるイメージが強かったです
がこれほど人間臭く、弱さを曝け出すキャラも
できるとは。
愛実という人間が実際に存在していると錯覚
しそうなぐらいにキャラに憑依していたように
思います。
大きな失恋をし、父親からはよく言えば過保護
、悪く言えば抑圧されて生きてきたであろう
真面目さ、担任する生徒達からは嘲笑の的に
され生きづらい毎日を過ごしながらカヲルとの
放課後授業?で教えがいを感じて喜ぶ時は
モノ凄くぶりっ子な可愛い声を出す。
ごめんなさい、偏見かもしれません。
娘のまま30を回ってしまった年齢だけ大人の
女性。
そのカンジがとてもよく出ていて改めてこの人
凄い役者さんだなと思いました。
カヲル鷹森くんもまた学習障害を抱えてこっち
の方が相当生きづらさを痛感しながら生きて
いたんだろうなと感じさせるラウールくんの
良い演技だったと思います。
特にjoker閉店後は次々襲いかかる一般社会の荒波。
生きづらさを抱える2人が自然と惹かれ合っ
た、単純な恋物語では終わらないヒューマン
ドラマだったのだと思います。
周辺人物もまた心の内の醜い部分を割とサラッ
と溢す人間味溢れるキャラ達でした。
特に川島某w
初見からセフレ持ちのクズ野郎。
自身のステータスの為に結婚しようとしていた
愛実に次第に執着していくこれまたクズ
っぷり。
また、それを自覚して愛実にも伝えてカッコ
良く引く引き際。
でも「僕良い事言いましたよね?」と口に出し
てしまう愛嬌w
いや〜イイキャラでした。
あとはパワハラ気味の父親。
完全に主人公達のラスボスかと思わせといて
からの、まさかのカヲルへのエール。
それもまたパワハラ気味ではあるけど昭和〜
平成に頑張って仕事をして来た男の気質は
なかなか抜けない、けど娘の事を思って考えを
改めようと意識改革しようという努力は伝わっ
てくる、といった人間臭さが漂うアジのある
キャラでした。
母親も良いキャラでした。
筒井真理子さんがやるにしては見せ場がない
な〜と思ってましたがjokerから酔い潰れて
帰宅したシーンと終盤で夫にブチ切れたシーン
はさすがでした。
ストーリー自体は、唸るほどの秀逸脚本とまで
はいかないものの主役2人に生きづらさを加味
し、単なる“切ない系ラブストーリー”に落ち着
かず、何かこう胸を掻きむしられるような人生
への、社会へのやるせなさを感じさせてくれる
モノでしたし、周辺人物の魅力と木村文乃さん
の凄演技が光った傑作だったと思います。
