「スポGOMI」という言葉をご存じだろうか。スポーツ感覚でごみ拾いを競い合う催しをいう。平成28年、日本財団が政府の総合海洋政策本部とオールジャパン体制で立ち上げた「海と日本プロジェクト」の取り組みの一つだ。

 

海へ流入するごみの削減を狙いとしたこの事業、国内だけでなく海外にも広がり、11月22日には日本を含め世界21カ国の代表が参加して初のワールドカップ大会が東京で開催される。

 

深刻な海洋汚染の実態は2016年のダボス会議で発表された報告書で明らかにされた。このまま推移すると50年には、海洋を漂うプラスチックごみが重量換算で魚の量を上回るというのだ。現在、海には約1億5000万トンのプラスチックごみが漂い、年に少なくとも800万トンが流入しているとされる。流入量は毎年増え、プラスチックごみの総量は50年には8億5000万~9億5000万トンに達すると試算され、世界に衝撃を与えた。

 

スポGOMI競技は平成20年に日本で生まれ、日本財団では令和元年、次代を担う高校生を対象に「スポGOMI甲子園」をスタートした。競技ルールはいたって簡単。大人から子供まで3人でチームを組み、決められた競技エリアで1時間ごみを拾い、その質と量をポイントで争う。

 

スポGOMIはその拡大版。10月9日、東京都新宿区に各都道府県の代表が参加して全日本大会が行われ、37・6キロのごみを拾った新潟県の代表チームが優勝した。予選大会には全国で計1175チーム、6歳から67歳まで約3500人が参加し、数字の上でも運動の広がりを示した。

 

並行して独、仏、インド、ベトナム、カナダ、米国など世界20カ国で予選大会が行われ、8カ国の会場を訪れた日本財団職員によると、タイの大会には60もの団体が参加して優勝を争った。

5月末に27チームが参加して行われたブラジル大会では、大会の模様を伝えるテレビニュースが昨年のサッカーワールドカップ・カタール大会でスタンドのごみを拾う日本人サポーターの姿も放映、日本式ごみ拾いを広く紹介した。

 

ごみ拾いや清掃は、長く「街をきれいにする運動」を提唱し、職場で「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の5S運動を展開してきた日本文化の伝統である。

 

【正論】「スポGOMI」が世界の海守る 日本財団会長・笹川陽平 - 産経ニュース (sankei.com)