ベッド数が人口比世界トップの160万床を誇る日本。だが主に公立系病院しかコロナ対応せず全国わずか2000人の重症患者で医療逼迫(ひっぱく)という事態を惹起(じゃっき)した。それでも国はオールジャパンの医療態勢を整えられず、ひたすら〝人流抑制〟を叫び続け、初期治療は軽視された。これに対し国会は全く無力で、なす術(すべ)がなかったことを私たちは忘れてはなるまい。

 

中国をタブー視してきた国会では、与野党が中国問題を深く掘り下げたことはない。通常国会最終日の6月16日、対中非難決議が葬り去られたことも記憶に新しい。

恒大グループ破綻で中国経済が崩壊しつつある中、専門家の間では「経済混乱で人民の不満が爆発するなら逆に台湾侵攻が早まる」との観測は根強い。不満のはけ口を〝外〟に向けるやり方だ。

 

ここに至るまで日本は中国が〝手出しできない〟集団安保体制を東アジアに築くことができなかった。アジア版NATOだ。憲法改正が未(いま)だできないからである。

今こそ現実に目を向け、与野党は真正面からこの問題で意見を戦わせなければならない。これ以上政治家が国民の「命」を守る使命から逃げることは許されない。