わが国のエネルギー問題の解決につながる新展開として期待したい。

日本原子力研究開発機構の「高温工学試験研究炉(HTTR)」(茨城県大洗町)が今月末に再稼働する見通しだ。

HTTRは「高温ガス炉」と呼ばれるタイプの次世代小型原発だ。

高温ガス炉では普通の原発とは異なり、水の代わりに黒鉛とヘリウムガスを使う。空だきによる炉心溶融などの過酷事故は原理上、起こり得ず、安全性が極めて高い。

 

1998年に運転を始めたHTTRは、高温ガス炉の開発で世界の先頭に立っていたのだが、福島事故で国内の他原発同様、長期停止を余儀なくされていた。

今年に入って原発の新規制基準に沿った安全対策工事もすべて完了したことから、近日中に再稼働を迎える運びとなったのだ。

 

950度もの高温を生み出せる国産高温ガス炉は、高効率のガスタービン発電を行うと同時に水の熱化学分解で水素を生産するという一石二鳥の原発だ。熱源炉として使えば製鉄もできる。

しかも分散型電源に適した小型モジュール炉(SMR)の性格も備えている。2050年の「カーボンゼロ」を目指す日本にとっては不可欠の次世代原発だ。