米カリフォルニア州サンフランシスコ教育委員会は1月26日、歴史的人物らの名前を冠した44の公立学校の名称を変えることを決定した。人種差別などに関わったことがその理由だという。

 

多くの人を驚かせたのは、変更の対象に初代大統領ジョージ・ワシントンや独立宣言を起草した第3代大統領トーマス・ジェファソン、さらには奴隷解放宣言を出した第16代大統領アブラハム・リンカーンまで含まれていたことだ。

 

キャンセル・カルチャー」と呼ばれる風潮だが、左翼勢力は歴史的偉人までもキャンセルしようとしているのだ。「米国版文化大革命」と呼んでも過言ではない状況が生まれている。

 

その火付け役がニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の「1619プロジェクト」で、米国は奴隷制に基づき建国された邪悪な人種差別国家だというダークな歴史観を植え付ける試みに他ならない。各地の教育現場では、同プロジェクトを歴史教育の教材として取り入れる動きが広がっている。

 

1619プロジェクトを立ち上げたNYTのニコル・ハナジョーンズ氏は「最終目標は賠償法案を成立させることだ」と明言している。米国が今日、経済的繁栄を享受しているのは、黒人を奴隷として働かせた結果であり、米政府は黒人に賠償金を支払う義務がある、との考えである。

 

上下両院で主導権を握る民主党は、既に賠償法案を提出している。賠償法案は過去にも何度か提出されたことがあるが、採決に至ったことはない。だが、1619プロジェクトの影響により賠償論議はかつてないほど勢いづいている。

 

奴隷を所有したことのない現代の白人が肌の色が白いという理由だけで、奴隷になったことのない現代の黒人に賠償金を支払わせるのが賠償法案だ。共和党からは「この法案以上に国民を分断、二極化させる不公平な法案は想像できない」(トム・マクリントック下院議員)との反発が噴出しているが、全くその通りだろう。

 

「反米自虐史観の蔓延、歴史的偉人を「消去」」『ビューポイント』